トップが率先して進めた、生産性向上の施策/リコージャパン「働き方変革」

From: 働き方改革ラボ

2019年02月18日 07:00

この記事に書いてあること

リコージャパン株式会社(以下、リコージャパン) が実施している「働き方変革」の、具体的な取り組みを見ていく短期集中連載。第1回は、プロジェクトがはじまった背景や進め方のポイントなどを、担当者・加藤茂さんに取材しました。第2回となる今回は、“生産性向上”にフォーカスした施策を紹介します。

リコージャパンとは

リコーグループの国内販売会社として、リコー製品やICTソリューションの販売、保守サービスを担当。社員数は約18,500人。全都道府県に支社を置き、全国で354の拠点、401の営業所がある。

時間をとられる会議とメールは、大幅にスリム化

―「働き方変革」でリコージャパンが掲げるコンセプト「ワークライフ・マネジメント」は、生産性向上とどのように結びついていますか?

「ワークライフ・マネジメント」は、仕事と生活を両方とも充実させて、お互いに好循環を呼ぶための考え方です。作業効率化や多様な働き方を促す仕組みによって、仕事の生産性がアップすれば、業務時間が短縮されます。社員はその余剰時間で家族と過ごしたり、スキルを磨いたりできるようになりますよね。プライベートで得た刺激は、仕事にも還元されるはず。「生産性の向上」と「個の充実」は、働き方変革の“両輪”なのです。

―生産性を向上させるため、コミュニケーション面ではどんなアプローチをしましたか。

大きな施策は、会議スタイルの変革です。社内の調査によると、コーポレート部門のスタッフは一日のうち32%、リーダーは57%、部長は75%もの時間を、会議に費やしていました。そのうえスタッフは、上司が出る会議の資料をつくることに、26%の時間をとられていたのです。そこで、会議時間は1テーマにつき15分、資料は原則A4サイズ1枚。すべての会議は月曜にまとめる、というルールをつくりました。

―効果的でしょうが、大胆な改革ですよね。スムーズに実践されたのでしょうか?

社長が率先してルールを守ったため、社員もついてきた、という流れでしたね。会議が業務を圧迫しているというのは、10年も20年も前からわかっていたこと。折々で、スリム化も試みられてきました。でも、手間のかかった資料が評価される空気が残っていたりして、社員もルールを信じきれず、なかなか実現しなかったんです。

今回も、ルールができた数ヶ月後に、とてもよくつくりこまれた企画書の提出がありました。出来はすばらしいけれど、A4サイズ1枚に収まっていないし、かなり時間が費やされている。それを見た社長が「こんなにたくさん資料を作る必要はない」という苦言を呈したことで、ようやく社員もルールを実感でき、改革が軌道に乗ったように思います。

―スリム化による成果も感じられていますか?

そうですね。月曜の会議に向けて土日返上で資料を作成する、といったことが一切なくなりました。時間や資料のほかに、会議室を用意する手間を省くためにも、いろいろと手を打ったんです。立ち会議室用のテーブルを設置したり、難しい設定が要らないWeb会議システムやインタラクティブホワイトボードを導入したり……。おかげで、月に一回地域の責任者が東京に集まっていた会議なども、テレビ会議に切り替わり、ぐっと負担を減らせています。

―コミュニケーションに欠かせないメールも、数を減らす工夫をしたと聞いています。

本部からの情報発信を、メールではなく掲示板に切り替えました。これまでは事例や商品の仕様変更といったメールが、リーダークラスには一日100件以上届くこともあったんです。なので、それらの情報をすべて掲示板に集約し、社員がパソコンの電源を入れたときにポップアップでお知らせする仕組みも導入しました。おかげで、リーダークラスのメール対応は2/3に減少。情報を送信する側にはしばらく戸惑いがありましたが、受信側のセールスやエンジニアからは一度も問い合わせがなく、これまでの情報発信がいかに本部都合だったか痛感する出来事でもありました。

テレワークや事務作業の自動化によって、仕事の創造性を高める

―次に、生産性をアップする環境づくりについて聞かせてください。

まずは、フリーアドレスとテレワークを推進しました。役員も全員が島席に座り、キャビネットをなくしたことで、合理的なオフィスレイアウトが実現されたと思います。そのために個人の紙資料を減らしてもらう必要はありましたが、そこは段階を踏んで。最初に引き出しを一段減らし、次にキャビネットをまるまるなくし……というふうに少しずつ進め、いまは個人ロッカーだけで足りるようになりました。テレワークでは、モバイル機器やソフトウェア、チャットツールの導入を図り、どこでも自由に働ける環境を目指しています。

もうひとつ特徴的なのは、RPA(Robotic Process Automation)の活用。経理財務や給与・福利厚生、営業事務の中の単純な処理作業を、ロボットが担います。

―RPAの活用によって、具体的にはどんな効果がありましたか?

事務ミスが激減し、作業スピードは150~200倍になりました。じつに30~75%の効率化です。たとえば経理財務部門では、財務諸表の作成で月17時間、部門別の経費管理資料作成で月120時間、受取手形取立業務についてはアウトソーシングとの併用で月165時間も、人間が作業する時間を削減できました。そうして生まれた時間は、より高度で創造的な仕事に充てられます。

―さまざまな施策で生産性が上がり、余剰時間が生まれてきた。結果、人が担う業務はどのように変わってきていますか。

今はまだ、無駄な時間をとことん削減しているフェーズ。本格的に仕事の創造性が上がるのは、これからだと思っています。でも、兆しは見えてきていますよ。これまでは自分の席の周りとしかコミュニケーションを取っていなかった社員が、チャットツールを活用して他地域・部署の社員とやりとりしたり、フリーアドレスで隣り合ったメンバーと交流したりしはじめているんです。地方でお客様と打ち合わせをする際、Office365を通じて本社から私が参加したり、また別の地域から商品・サービスの担当者が加わったり、という場面もありました。こうしたコミュニケーションから、また新しくお客様に提供できる価値が生まれてくると思います。

> 第3回 必要な人に、必要な制度を。個を充実させる勤務体系

< 第1回 働きやすい環境をつくれるかどうかが、会社の将来を握るカギ

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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