働きやすい環境をつくれるかどうかが、会社の将来を握るカギ/リコージャパン「働き方変革」

From: 働き方改革ラボ

2019年02月12日 07:00

この記事に書いてあること

いよいよ迫ってきた「働き方改革関連法」の施行。どんなアクションをどう進めればいいのか、頭を悩ませている企業も少なくないでしょう。そこで、リコージャパン株式会社(以下、リコージャパン)が実施している「働き方変革」について、担当者の加藤茂さんに取材。その背景や具体的な施策について、3本立ての短期集中連載で紹介します。

リコージャパンとは

リコーグループの国内販売会社として、リコー製品やICTソリューションの販売、保守サービスを担当。社員数は約18,500人。全都道府県に支社を置き、全国で354の拠点、401の営業所がある。

改革の主役は、会社ではなく社員

―まずは、リコージャパンが「働き方変革」に着手した背景を教えてください。

以前から、事業継続と成長のためには「生産性向上と働き手の確保」が欠かせない、という認識があったんです。世の中では少子高齢化が進み、労働力人口が急速に減少しています。また、高齢化に伴い、介護を必要とする方が増え、働きながら介護をする労働者が増加する予測があります。リコージャパンには現在、働きながら介護をする社員が9.2%いますが、今後介護をする可能性がある社員となると47.5%にものぼります。一刻も早い改革で、社員が働きやすく、成果を出しやすい状況をつくらなければいけないと考えました。

―具体的にアクションをとりはじめたのは、いつ頃のことですか?

ペーパーレスや労務管理システムの導入、ダイバーシティといった取り組みは、2000年代から徐々に始まっていました。当時のベースにあったのは「顧客満足度を上げるためには、従業員満足度も同時に上げなければならない」という思い。並行して世の中では「働き方改革」への機運が高まってきたこともあり、2016年6月の松石(前)社長就任からは、さらに力を注ぐようになったんです。でも、最初のうちは方向性がなかなか定まらなかったんですよね。

―方向性が定まらない、とはどういうことですか?

我々が最初に考えたコンセプトは「働き方改革で個人のワークスタイルを変えれば、人や事務所にかかるコストが削減できる」という、会社のメリットに注目したプランだったんです。でも、それを経営会議で答申したところ「この改革の主役は、会社ではなく社員だ」と指摘されて……つまり、そもそもの方向性が間違っていた。それからは他社の取り組みを参考にしたり、セミナーで学んだりしながら、社員が主役になれる改革案を考えていきました。

必要な人に、必要な仕組みを届ける

―「社員が主役」の施策とは、どのようなものでしょうか。

まず、コアコンセプトを「ワークライフ・マネジメント」と決めました。社員一人ひとりがいきいきと働き、よいパフォーマンスを発揮しながら、プライベートとの調和もとれている。そんな状態を実現していくために「働き方変革」がある、という考え方です。

たとえばテレワークを推進すると、働く場所や時間を選択できるようになって、社員それぞれに新たな時間が生まれますよね。以前の私たちは、そうして空いた時間でもう一件お客様のところに行ってほしい、と考えていました。これだと、社員は「会社は、働き方を変えさることで、空いた時間でもっと働けというのか」という反応。空いた時間を社員に還元しなければ、本当の意味での「ワークライフ・マネジメント」にはならないと気づき、方向を修正しました。

そういう意識のズレが残らないように、社内の声を拾いながら、細かな調整を繰り返したのがよかったと思います。具体的な施策を説明する際にも、社員たちには「生産性を上げる」というビジネス感の強い言葉を使わず、「働きやすさ」「自由なスタイルを選べる」といったメリットを打ち出すようにしているんです。

―確かに「生産性」だと少しプレッシャーがあるけれど、「働きやすさ」だと社員に優しい制度だと感じます。

自分たちにとってプラスになるプロジェクトだと感じてもらって、受け入れてもらわなければ、なにもはじまらないんですよね。

従来のように「同じ時間・場所で、毎日遅くまで、定年まで働く」スタイルは終わろうとしています。これからは「時間や場所にとらわれず、多様な働き方&限られた時間で成果を出す」時代。仕事以外のなにもかもを犠牲にして働くのは、持続的ではありません。夜まで会議をして、寝るためだけに家に戻り、翌朝早くからまた会議をしたって、いいアイディアはなにも浮かばない。プライベートを充実させて、新しい情報をインプットしたり気分転換したりしてもらうことが、結局は会社にもメリットをもたらすんです。

―細かい制度をつくっていくうえで、大切にしていることを教えてください。

全社員に一律ではなく、職種や役割に応じた働き方を用意することです。たとえば、営業職にはモバイルワーク、エンジニアにはシフト勤務、育児・介護中の社員には在宅勤務など、必要な制度はそれぞれに違います。営業職に欠かせない「直行直帰」ひとつとっても、都市部であれば、エリア内にいくつもサテライトオフィスがあることで、仕事がしやすくなるかもしれない。地方なら、社有車での通勤を許可することで、自家用車に乗り換える手間がなくなります。

目的は、社員に働きやすい環境を提供すること。形ばかりの制度を整えることではありません。一律で進める必要はなくて、困っている人・やりたい人に対して、本当に役立つ仕組みを導入していく。そうすれば少しずつ社員の意識が変わってきて、スムーズに制度が浸透していくと感じています。大きな改革だけど、結局は地道な変化を積み重ねていくことなんですよね。

―第2回は「生産性向上」、第3回は「働き方改善」という軸から、具体的な取り組みを追っていきます。

> 第2回  トップが率先して進めた、生産性向上の施策

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
「働き方改革って、こうだったんだ!」「こんな働き方、いいかも!」
そんなきっかけ『!』になるコンテンツを提供してまいります。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。

記事タイトルとURLをコピーしました!

https://www.ricoh.co.jp/magazines/workstyle/casestudy/ricoh-japan-01/

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

働き方改革ラボに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ