SDGs取り組みから4年半。見えてきた企業の取り組みスタンスと展望

From: 働き方改革ラボ

2020年07月30日 07:00

この記事に書いてあること

2015年に国連サミットで採択されたSDGsは、2016年1月1日の取り組み開始から4年半が経過しました。最初は手探りだったこの取り組みも、大きな目標が見えてきて、取り組み方の方針が固まってきた企業もあるかと思います。今回は、企業のSDGsへの取り組み方について考えていきましょう。

SDGsとは

SDGsとはSustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の略で、地球上の「誰一人取り残さない」持続可能で多様性と包摂性のある社会の実現のために、2030年までの達成をめざす国際目標のこと。2015年9月の国連サミットにて、全会一致で採択されました。SDGsは、17のゴール(大きな目標)と、具体的な169のターゲット、232の指標で構成されています。

17のゴール(大きな目標)

1  貧困をなくそう
2  飢餓をゼロに
3  すべての人に健康と福祉を
4  質の高い教育をみんなに
5  ジェンダー平等を実現しよう
6  安全な水をトイレを世界中に
7  エネルギーをみんなに そしてクリーンに
8  働きがいも 経済成長も
9  産業と技術革新の基盤を作ろう
10 人や国の不平等をなくそう
11 住み続けられるまちづくりを
12 つくる責任 つかう責任
13 気候変動に具体的な対策を
14 海の豊かさを守ろう
15 陸の豊かさも守ろう
16 平和と公正をすべての人に
17 パートナーシップで目標を達成しよう

SDGsの前身として、2001年に策定された「ミレニアム開発目標(MDGs)」がありました。MDGsは発展途上国向けの開発目標であり、達成期限である2015年までに一定の成果をあげました。その内容を引き継ぎ、発展させたものがSDGsです。SDGsは発展途上国だけでなく、先進国を含めた全ての国が行動すべきものとして掲げられています。

2020年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」

世界経済フォーラム(WEF)の年次総会(ダボス会議)では、SDGsの観点で世界各国の企業を評価するセッションがあり、このセッションの結果が、カナダの出版社Corporate Knightsによって「Global 100」(ランキング)として発表されます。

2020年のランキングでは、日本でも知名度の高い6つの企業が100位以内にランクインしました。それらが、12位の積水化学工業株式会社、68位の武田薬品工業株式会社、72位のコニカミノルタ株式会社、86位の花王株式会社、89位のパナソニック株式会社、92位のトヨタ自動車株式会社です。

SDGsへの取り組み

SDGsには17の目標がありますが、100位以内にランクインした企業はすべての目標を網羅した取り組みを行っているわけではありません。業種によっては、企業として取り組むことが難しい目標もあるため、自社でできる目標を見定めて取り組んでいることが多いようです。

その中で、ランクインした企業すべてが取り組んでいる目標が、
「3 すべての人に健康と福祉を」、
「12 つくる責任 つかう責任」、
「13 気候変動に具体的な対策を」
の3つです。

また、グローバル・コンパクト・ネットワーク・ジャパンおよび地球環境戦略研究機関が行った2017年の調査によると、上記の3つに加えて
「5 ジェンダー平等を実現しよう」、
「7 エネルギーをみんなに そしてクリーンに」、
「8 働きがいも 経済成長も」
などの目標に重点的に取り組む企業が多いとの結果が出ています。

企業の事例

ここからは、各企業の取り組み方を見ていきましょう。

積水化学工業株式会社

日本で最上位にランクインした積水化学工業株式会社は、2006年に環境貢献製品認定制度を導入するなど、早くから環境経営に取り組んできました。SDGsが採択されてからは、「地球環境の向上」に貢献するため、SDG6、7、12、13、14、15に取り組んでいました。

2017年からは、自然環境のみでなく「世界のひとびとのくらしの向上」といった社会環境への貢献に関する取り組みもスタート。今では、SDG3、9、11を加えた9つの目標に取り組んでいます。

トヨタ自動車株式会社

2020年3月期の決算説明会で、社長が「SDGsに本気で取り組む」と宣言したことでも話題のトヨタ自動車株式会社。2019年に「サステナビリティ推進室」を新設してから、SDGsやESG(環境・社会・ガバナンス)に取り組む体制づくりを進めてきました。

企業サイト内には「トヨタのSDGs」というページが公開され、CO2削減のための取り組みや交通死傷者低減への取り組み、持続可能な街づくりやモビリティ向上など、自動車企業らしい取り組みが紹介されています。さらに、トピックスおよび具体的な事例として、SDG3、4、6、7、9、11、12、13、15、17に関する取り組みが掲載されています。

リコーグループ

リコーグループでは、サステナビリティメッセージ「Driving Sustainability for Our Future」を掲げ、サステナビリティ向上に向けた活動を推進しています。経済、社会、地球環境の3つのバランスが保たれた持続可能な社会の実現に向け、「事業を通じた社会課題解決」「経営基盤の強化」「社会貢献」の3つの活動に取り組むことで、SDGsの達成に貢献しています。

2020年度からは、「事業を通じた社会課題解決」とそれを支える「経営基盤の強化」の2つの領域で、 “はたらく”の変革、生活の質の向上、脱炭素社会の実現、循環型社会の実現、ステークホルダーエンゲージメント、共創イノベーション、ダイバーシティ&インクルージョンの7つのマテリアリティ(重要社会課題) を特定。各マテリアリティはSDGsの目標と関連付けられており、具体的にはSDG3、4、5、7、8、9、10、11、12、13、16、17に関する取り組みを行っています。

株式会社リクルートホールディングス

株式会社リクルートホールディングスは、SDGsに関する事業やサービスを競うビジネスコンテスト「The Global SDG Awards 2018」において、SDG10のテーマで受賞しました。

リクルートグループでは、ユーザーとクライアントが出会う場を作り出し、より多くの最適なマッチングを実現する「リボンモデル」を基盤とし、ビジネスを展開しています。この「リボンモデル」は、情報の非対称性をなくし選択肢を広げること、つまりSDG10「人や国の不平等をなくそう」を軸としており、SDG10をドミノの中心に置くことで、SDG1、4、5、8にも波及効果をもたらします。また、これらの目標を支えるものの一つとして、SDG13を根源に置いています。この「リボンモデルが生むSDGsドミノ」が、SDG10のカテゴリーにおいて選出されました。

リクルートがもつユーザーとクライアントのチャネルを活かしたビジネスモデルであり、リクルートならではの取り組みといえます。

今こそ積極的な取り組みを

SDGsで掲げられた17のテーマの中で、企業が重点的に取り組んでいる目標は絞られており、どの企業でも同じ目標に力を入れていることが多いのが現状です。

最近では企業の独自性を出すため、目標の拡充や業種のオリジナリティを出した取り組みも見られるようになってきました。一方で、世界的にも企業のSDGsへの取り組みはいまだ不十分という認識も。各企業がSDGsへの取り組みを本格化させている現在、SDGsに取り組んでいない企業は消費者からマイナスのイメージを持たれてしまう可能性も少なくありません。

企業によっては、本業に関係する取り組みに絞らず、CSR活動や社会貢献活動から始めるという手段もあるでしょう。具体的な企業の取り組み事例については、この記事で取り上げたもののほかにも、外務省のサイトにさまざまな事例が掲載されています。同じ業種の例を参考にしながら、SDGsへの取り組みを進めてはいかがでしょうか。

引用・参考

いまさら聞けないSDGs。働き方改革との関係とは? | 働き方改革ラボ
SDGsとは? | JAPAN SDGs Action Platform | 外務省
JAPAN SDGs Action Platform | 外務省
【ランキング】2020年 ダボス会議「Global 100 Index: 世界で最も持続可能な企業100社」 | Sustainable Japan
未来につなげるSDGsとビジネス~日本における企業の取組み現場から~ | IGES
SDGsへの取り組み| CSR|積水化学
トヨタ自動車がSDGs強化を宣言 │ サステナブル・ビジネス・マガジン「オルタナ」
サステナビリティの考え方 | リコーグループ 企業・IR | RICOH
リクルートグループの『リボンモデルが生むSDGドミノ』が『The Global SDG Awards』において受賞 | リクルートホールディングス

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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