健康経営とは?注目されている理由やメリット、導入手順などを詳しく解説

From: 働き方改革ラボ

2022年12月21日 07:00

この記事に書いてあること

健康経営とは、従業員の健康に配慮することで業務効率を改善し、企業の業績向上につなげる経営手法です。近年、健康経営に取り組んでいる企業が増えています。この記事では、導入を検討している企業の経営層や担当者に向けて、健康経営について詳しく解説します。政府の取り組みや健康経営のメリット、導入の手順などについても解説します。ぜひ参考にしてください。

健康経営とは

健康経営とは、企業が従業員の健康管理に積極的に取り組み、従業員の業務効率を改善・向上させることで、企業の業績や組織の価値をアップさせる手法のことです。

アメリカの経営心理学者のロバート・ローゼン博士は、1994年2月に著書「ヘルシー・カンパニー」にて、「健康な従業員こそが収益性の高い会社をつくる」という思想を述べています。日本では、経済産業省が健康経営を推進し、NPO法人健康経営研究会が普及に向けた啓発活動を行っています。

健康経営が注目される理由

健康経営が注目されるようになった最大の理由は、少子高齢化による労働人口の不足から労働環境が悪化し、従業員の負担が増えているためです。また、従業員の高齢化により、社会保険料の企業負担が増加して、経営に大きな影響を与えていることも理由といえます。

従業員が体調を崩すと企業の生産性が低下するだけでなく、優秀な人材を失ったり、確保できなかったりする恐れもあります。健康経営を導入すると、従業員の負担が軽減されて、多くのメリットが得られるでしょう。具体的なメリットについては、後ほど解説します。

特に健康経営に取り組むべき企業

健康経営を重点的に取り組むべき企業の特徴は以下の通りです。紹介する特徴が多く当てはまる企業ほど、健康経営を検討しましょう。

  • 従業員のストレスチェックの結果が悪い

  • 体調を崩して長期休職の従業員がいる

  • 従業員の平均年齢が高い

  • 長時間労働や休日出勤が多い

  • ケアレスミスやヒューマンエラーが多発している

健康経営に向けた国や政府の取り組み

健康経営に向けて、国や政府はどのような取り組みを行っているのでしょうか。以下で解説します。

健康経営銘柄

健康経営銘柄は、経済産業省と東京証券取引所が共同で実施している認定制度です。東証一部上場企業から原則1業種1社が、「健康経営」に優れた企業として選ばれます。健康経営銘柄に選ばれるには、健康経営度調査に答える必要があります。

健康経営優良企業認定制度

健康経営優良企業認定制度は、未上場の大企業や中小企業等に、健康経営を推進する制度です。大企業が対象の大規模法人部門と、中小企業が対象の中小規模法人部門で構成されています。特別称号の「ホワイト500」と「ブライト500」については、下記で解説します。

健康経営優良法人ホワイト500

健康経営優良法人ホワイト500は、大規模法人部門で健康経営度調査結果の上位500法人に認定されると与えられる称号です。健康経営優良法人ホワイト500の対象になるには、「健康経営優良法人」に認定される必要があります。

健康経営優良法人ホワイト500とは?要件やメリット、企業の取り組み事例を解説 | 働き方改革ラボ

健康経営優良法人ブライト500

健康経営優良法人ブライト500とは、「健康経営優良法人」の中小規模法人部門で優良な上位500法人に与えられる称号のことで、2021年度に新設されました。健康経営優良法人の中でも優良で、地域にて健康経営の発信を行っている企業が認められています。

日本健康会議2025

日本健康会議2025は、政府支援のもと民間組織と連携してつくられた組織です。経済の活性化を目指すために、勤労世代の健康増進や高齢者の就労などを進めています。実行委員メンバーには、経済団体や医療団体の会長のような、影響力のある人物が多数在籍しています。

健康経営を導入するメリット

健康経営を導入した企業は、どのようなメリットを得られるのでしょうか。ここでは、5つのメリットについて解説します。

生産性・業績が向上する

健康経営を導入すると、生産性や業績が向上するメリットがあります。健康な従業員が増えると、社内が活気的になり業務が効率化されて、生産性の向上が期待できるでしょう。また、従業員が健康になると、仕事へのモチベーションも高まります。生産性やモチベーションの向上は、結果的に企業の業績向上につながります。

優秀な人材を確保できる

健康経営の導入は、優秀な人材確保にもつながります。健康経営により、従業員の心身の不調を予防できると、健康上の理由による休職や離職を減少でき、定職率が上がります。また、企業が従業員の健康に配慮すると、従業員の企業への貢献意識が高まるでしょう。

企業イメージの向上につながる

企業イメージの向上も、健康経営を導入するメリットといえます。健康経営を導入して、取り組みについて情報発信できると、世間からは働きやすい企業というイメージを持たれます。また、「健康経営銘柄」や「健康経営優良法人」に選出されると、社会的評価を受けるため、より企業イメージの向上につながるでしょう。

医療費の削減効果がある

医療費の削減効果も、健康経営を導入するメリットの1つです。従業員が健康になると、医療機関にかかる割合が下がります。従業員の医療費は企業が一部負担しているため、医療機関にかかる従業員が減ると、医療費の削減につながります。少子高齢化の影響で、今後医療費はさらに値上がりする恐れがあるため、医療費の削減効果は企業にとって大きなメリットです。

ワークライフバランスがとれる

健康経営とワークライフバランスは密接な関係にあります。ワークライフバランスとは、仕事とプライベートのバランスがとれて、働き方や生き方が充実していることです。健康経営により、企業が従業員の健康面を配慮して問題を解決すると、ワークライフバランスが実現できます。

健康経営を導入するデメリット

健康経営の導入にはメリットが多い反面、デメリットもあります。ここでは、2つのデメリットについて解説します。

データ収集が難しく効果がわかりにくい

健康経営の効果に対するデータの収集や検証は難しく、分析専用のシステムの導入やデータの管理にはコストがかかります。健康経営は長期に渡る取り組みのため、施策によっては初期段階での効果がわかりにくい場合もあります。健康経営は、日々データの収集を行い、検証していくことが大切です。

従業員の負担になる

企業が健康経営を導入すると、従業員が取り組むべき課題が増えます。例えば、従業員の健康状態を把握するために定期健康診断やストレスチェックなどです。しかし、課題が多すぎると従業員の負担は増えて、ストレスにつながります。従業員のストレスにならないためにも、企業は健康経営の計画を明らかにして、従業員が安心して施策に取り組めるようにしましょう。

健康経営を導入する手順

健康経営の導入は、どのように進めるべきなのでしょうか。健康経営を導入する手順について解説します。

1.健康経営の導入を告知する

健康経営を導入する際には、株主総会や社内報、プレスリリースなどを活用して、社内外へ健康経営に取り組むことを告知しましょう。全国健康保険協会や健康保険組合に「健康企業宣言」を行い、一定の効果を上げられるとサポートが受けられます。

2.健康経営に取り組む組織をつくる

健康経営に取り組むためには、産業医や専門家を含めた組織づくりが必要です。健康経営のプロジェクトチームの設置や選任担当者の任命などを行うと、従業員は健康経営を身近に感じやすくなります。

3.従業員が抱える課題を確認する

健康経営の課題は企業により異なるため、自社の従業員が抱える課題を確認することが大切です。健康には身体だけでなく心も含まれ、見た目にはわかりにくい部分もあります。健康診断やアンケートなどで、従業員が抱える課題を把握しましょう。

4.計画立案後に実行する

自社の課題を確認できたら、解決するための計画を立てます。計画には、「健診受診率100%」「週1回はノー残業デーにする」など、具体的な数値を入れると実行しやすいでしょう。全従業員に健康経営の目的や計画について、周知してから実行してください。

5.結果の検証を行う

健康経営に取り組んだ結果は、必ず検証してください。検証は、従業員によるアンケートや収集したデータから分析します。結果はよくも悪くも、次の取り組みに活かせますが、結果が悪い場合には、施策内容の見直しが必要です。

健康経営で注意すべき点

健康経営を導入するには、まず注意すべき点が2つあります。以下で解説します。

企業トップの理解を得る

健康経営を導入するには、企業のトップにあたる経営陣の理解を得る必要があります。経営陣の理解が得られないと導入は難しいため、健康経営が注目される理由やメリットについて具体的に伝えましょう。

従業員への認知と協力を得る

健康経営の導入には、従業員への認知と協力も不可欠です。企業トップへの理解と同様に、従業員へも健康経営の重要性を周知しましょう。健康診断やアンケートの結果など、社内に知られたくない従業員もいるため、個人情報の取り扱いには、細心の注意を払いましょう。

まとめ

健康経営は、従業員の生産性や企業の業績が向上したり、ワークライフバランスがとれたり、多くのメリットが得られます。効果が出るまで長期に渡りがちですが、自社の課題を明確にして、実行や分析を繰り返すことで、結果的に企業の業績アップにつながります。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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