日本の労働時間は世界より長い?日本の残業がなくならない理由と対策とは?

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近年、過労死の問題や、社会の新たなニーズの発生と少子高齢化などに伴う人手不足の深刻化で作業量が増加、労働環境の悪化が進行している問題など、とくに長時間労働に関するトピックに関心が集まっています。日本はやはり働き過ぎの国なのでしょうか?

今回は、世界の労働時間と比較しながら、日本の労働について見つめ直し、その特徴や原因、対策方法を考えていきましょう。

※2018年公開記事を更新しました。

日本の労働時間は世界に比べて長い?

「24時間働けますか?」のキャッチコピーで有名な某栄養ドリンクのCMのように、日本といえば長時間労働というイメージが日本人のみならず、世界中に持たれているという話はよく耳にするかもしれません。

実際に現在の日本の労働時間は世界と比較してみると長時間なのでしょうか?

労働時間や残業の状況、労働現場における男女差といった様々な観点で、世界の働き方と比較をしてみましょう。

実は日本の労働時間は世界でも22位

まずは、世界主要国の労働時間を国別にランキング化したOECDによる統計データをみてみましょう。

世界各国の全就業者における平均年間労働時間を調べた結果、日本の労働時間は全体で22位の1,713時間でした。意外にも日本の労働時間は世界各国と比較してみると際立って長時間ではないようです。

世界1位の長時間労働であるメキシコ(年間2,255時間)と比べても、日本の労働時間は年間542時間も短いことになります。また隣国の韓国は世界全体の3位に位置し、その労働時間は日本の約1.2倍も長時間です。

次に先進国の労働時間と比較してみても、米国は16位で1,783時間、イタリアは21位で1,730時間と、こちらも日本よりも長時間の労働をしていることがわかります。

さらにカナダ(1,707時間)やスペイン(1,695時間)、イギリス(1,676時間)と比較してみても、日本の労働時間(1,713時間)はほぼ変わらない水準の労働時間であることがわかります。

このように世界の労働時間と比較してみると、「働き過ぎの国・日本」というイメージは過去のもので、現在の日本は余裕のある働き方をする国に変わったと言えるのでしょうか?

労働時間減少の理由は「短時間労働者」の急増

ここで注目をしたいことは、実はこの調査結果では全就業者が対象となっており、就業形態は問われていなかった点です。そのため正規雇用者だけでなく、非正規雇用、短時間労働のパートタイムワーカーも含まれています。

同じOECDの2016年の調査で、全就業者に占める短時間労働者の割合をみると、日本の短時間労働者の割合は世界5位の22.8%。世界的に見ても短時間労働者が高い割合を占めていることがわかります。

日本国内のデータによると、短時間労働者の労働時間は平均で年間1,093時間。一方でフルタイムの一般労働者労働時間は平均年間2,018時間です。つまり短時間労働者と一般労働者の平均労働時間の差は923時間も差があることが分かります。

この一般労働者における平均年間労働時間は、過去20年ほど2,000時間付近で推移しています。一方で短時間労働者の割合はここ数年で2倍ほど増加しています。

このことからも、全就業者を対象にした労働時間は短時間労働者が近年で急増したことによって、日本の労働時間が少なく計算されるようになったと考えられるのです。

男性単体の労働時間は世界1位

では短時間労働者を除いた男性の労働時間のデータを見ていきましょう。

2014年時点での15~64歳男性の休日も含めた1日あたりの平均労働時間データによると、日本の労働時間はOECD諸国で1位の375分でした。この労働時間は全体平均の259分と比べると、なんと2時間近くも長い労働時間であることがわかります。

このように近年で急増した短時間労働者を除いた男性の労働時間を比較すると、日本は世界で最も長時間労働をしている国です。

前述の通り、正規雇用者の労働時間は過去20年間減少していないことからも、長年に渡って日本は世界でも有数な長時間労働大国だったのです。

女性は家事労働時間が長かった?

男性の労働時間だけでなく、女性の労働時間の現状も確認していきましょう。

同じくOECDによる2014年の15〜64歳までの「女性の家事労働時間は、男性の何倍か」というデータによると、日本は全体3位でした。これは日本の女性は男性よりも4.82倍もの時間を家事労働に費やしていることになります。

この長時間に及ぶ家事労働は女性の睡眠時間に影響を及ぼし、2014年のOECDのデータによると、日本人女性の1日あたりの平均睡眠時間は世界で最も短いことが判明しました。

日本は夫婦で共働きをするケースが多く、日中仕事をこなした上での長時間に及ぶ家事労働によって睡眠時間が削られてしまい、仕事と家事の両立に苦しむ女性が後を絶たないというのが現実のようです。

そもそも日本の労働時間はなぜ長い?

日本の労働時間は世界でもイメージの通り長時間労働であることがわかりました。特に男性の1日あたりの労働時間は世界平均よりも2時間も多く労働に時間を費やしていることがわかります。

なぜそこまで日本の労働時間は長いのでしょうか?日本の労働時間が長時間化する3つの原因を見ていきましょう。

日本の長時間労働の原因は「待機」時間

実は日本の長時間労働の原因は「待機」時間にあったのです。この「待機時間」というものは、自分の仕事は片付いたものの、残業が確定してまだパソコン画面にはりついている仲間の存在や、帰る気配もない上司に気を使って何となく居座ってしまう日本人独特の習慣のようなもの。

1日の労働に関わる通勤と就業、待機時間を日本・イギリス・ドイツで比較してみましょう。

日本の労働環境をイメージする際にまず浮かんでくるのは、満員電車での「通勤時間」の過酷さでしょうか?

実は日本の通勤時間は、ドイツやイギリスと比較しても差がないことがわかっています。日本の出勤時間や通勤に要する時間は、欧米と比べても差が見られないのです。

では何が原因で日本の労働時間が長時間化してしまうのでしょうか。

まず就業時間で比較をしていきましょう。日本の就業時間は602分、ドイツが539分イギリスが535分と、就業時間単体では日本はドイツ・イギリスと比べても30分程度しか差がないことがわかります。つまり日本の就業時間そのものは、他の国と比較しても極めて長時間であるとは言えないのです。

しかし問題は「待機時間」です。日本の待機時間は51分であるのに対して、ドイツは18分、イギリスは19分と、日本の待機時間はドイツやイギリスと比較すると約2.7倍も長いことがわかります。イギリスやドイツと比較して日本の労働時間が伸びてしまう原因。それは「待機時間」の長さだったのです。

前述の通り、日本にはまだ帰れない仲間や上司に気を使って、自分の業務が終わっているのにも関わらず何となく居座ってしまう習慣があります。これがドイツやイギリスにはない「待機時間」というものなのです。

時代は残業ゼロを目指すも、残業せざるを得ない現実

それではなぜ日本の待機時間は長く、他の国と比較しても早く帰宅することが出来ないのでしょうか。

その原因はまず周囲の目がもたらす環境にあるでしょう。日本には今なお年功序列制度と終身雇用の考え方が色濃く残っています。この制度を築き上げたのは、戦後の日本の奇跡的な高度経済成長を支え、現在の豊かな日本の基盤を作り上げた世代。日本が急成長を遂げる中で、いつしか組織の中には労働そのものよりも残業時間をまず評価する空気が広がっていきました。

このようにして日本は徐々に残業時間と待機時間が長時間化した結果、世界一の長時間労働大国になってしまったと考えられているのです。

残業時間が伸びる原因とその対策とは?

世界の中でも日本は長時間労働大国であることがわかりましたね。日本の労働時間が伸びてしまう原因は、就業時間そのものが長時間化していることに加えて、「待機時間」が他の国に比べて2.7倍ほど長いことも挙げられます。

では日本は「待機時間」を短縮化していくことは出来ないのでしょうか?「待機時間」が発生することによる残業時間が伸びる根本原因と、その対策について見ていきましょう。

残業時間が伸びる原因は「上司指導力」が低いこと?

実は日本の残業時間が伸びてしまう主な原因の1つは「上司の指導力の低さ」にあったのです。

日経ビジネス アソシエ編集部が実施したアンケート調査によると、4人に1人が、上司に効率的な働き方を阻害させられている、と回答しています。

具体的に見ていくと、上司の指示内容が不明確で分かりづらいこと、上司の指示内容がなんらかの理由で変わってしまうことが挙げられています。

つまり上司の曖昧な指示や場当たり的な対応によって改修箇所が発生し、余計な工数が発生してしまうことが残業時間の長時間化に繋がっているというわけです。

残業の原因は上司がいつまでも残業をしていること

また上司が「いつまでも残業をしている」ことで、部下が帰ろうにも帰れないというケースも多く見られるようです。

上司は、多くの業務を抱えていることもあり、業務を終了させるためにやむなく残業を行っているかもしれません。しかし、上司がいつまでも残業をしていれば、部下は、仕事が終了したとしてもなかなか先には帰りづらいものです。

そもそも上司の役割とは、部下をマネジメントすることです。部下を上手にマネジメントするためにはまずは自らの業務をマネジメントする必要がありますね。上司が就業時間内に業務が完了しないのであれば、上司としてのマネジメント能力が不足している場合があるのです。

無駄な作業を発生させる上司には指摘も必要

上司の指導力やマネジメント能力の不足が原因で残業が発生している場合、まずはその状況を改善するためにも、上司の指導力を向上させる必要があるでしょう。

上司の問題点を指摘する必要があると考えいても、実際のところは直属の上司に対して面と向かって指摘するなんてことは難しいでしょう。

しかし上司は自分が残業のボトルネックとなっていることに気づいていない可能性もあるのです。残業が続く無駄な作業の原因が自分にあるのだと気づけば、長時間化してしまった労働時間も短縮していくかもしれません。

部下が自分の考えに自信を持ち、筋の通った発言をしたのであれば、上司は部下の本気度を感じ取り、部下の指摘に対してすんなりと従うこともあるのです。

まずは労働時間が長時間化してしまう残業の原因を突き止め、チームでディスカッションの場を設けることが、労働時間短縮化への第一歩です。

まとめ:生産性を向上させる手段は「無駄な残業」をしないこと

長時間化してしまった労働時間は「無駄な残業」をしないことによって生産性を向上させることが出来ます。まずは就業時間内でやるべきことを明確にすることで、1日の業務を終える流れや取り組みのイメージを具体的にチーム内で共有することが大切です。

業務の流れをビジュアル化することで、負担が偏っている部門が把握出来ればチーム内で業務を再分担させることで効率的に業務を進めることが出来るようになります。

チームの管理者は1日単位の他にも、長中期的なタスクや目標をチームに周知徹底することが大切です。長い目線で業務を捉えることで、部下は集中して自分の作業に取り組むことが出来るようになり、生産性は飛躍的に向上するでしょう。

業務の生産性が向上すると、長時間に及ぶ残業の必要性は自然と減っていくはずです。大切なことは自主的な残業をやめることです。残業時間の長さが評価に繋がる制度をやめ、時間を区切って作業をする環境構築が必要です。

モチベーションを上げて短時間集中型で取り組み、終わったら速やかに退社する、それが生産性の高い働き方であり、チーム内でも評価されるあり方だという雰囲気づくりが業務改善の大きな一歩です。

会社としても個人としても、長時間労働をやめて生産性こそ重視する。やるべきタスクが完了したら早く帰る。こうした環境を定着させることが、大切です。

チェックリストで現状把握 長時間労働の原因と対策

参考・出典

主要統計│OECD
ムダ残業増やす「ボトルネック上司」に批判はNG│日経ビジネス電子版

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