日本の労働時間は世界に比べて長い?短い?本当の問題点とは

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あらためて考える日本の働き方

近年、過労死の問題や、社会の新たなニーズの発生と少子高齢化などに伴う人手不足の深刻化で作業量が増加、労働環境の悪化が進行している問題など、とくに長時間労働に関するトピックに関心が集まっています。日本はやはり働き過ぎの国なのでしょうか。今回は、世界の労働時間と比較しながら、日本の労働について見つめ直し、その特徴や問題点を考えていきましょう。

まずは、世界主要国の労働時間を国別にランキング化した、OECDによる統計データをみてみましょう。

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各国の全就業者における平均の年間実労働時間を調べた結果、最新の2016年データで、1位はメキシコの2,255時間、2位がコスタリカの2,212時間、3位が韓国の2,069時間などとなっています。日本はというと、22位の1,713時間であり、際立った長さではありません。

米国は16位で1,783時間、イタリアが21位で1,730時間と、これらの国は日本よりも長く働いている結果になっています。カナダやスペイン、イギリスもそれぞれ1,703時間、1,695時間、1,676時間と、やや短い程度でさほど変わらない同水準であるといえるでしょう。

では”働き過ぎの国・日本”というイメージは過去のもので、実際はいまやそれなりに余裕のある働き方をする国に変わった、世界と比べればより厳しい環境も普通なのだと納得しなければならないということなのでしょうか。

データを他の角度から検証してみよう

ここで注目したいのが、調査方法です。OECDによるこの調査では、全就業者が対象となっており、就業形態は問われていません。そのため正規雇用だけでなく、非正規雇用、短時間労働のパートタイムワーカーなども含んだ値となっているのです。

同じOECDの2016年の調査で、全就業者に占める短時間労働者の割合をみると、日本は22.8%で5位となり、かなり高い位置にあります。短時間労働者に占める女性の割合も高く、2015年のデータで69.8%と8位です。派遣労働者の割合も高めで、CIETTの2015年発表調査によると、日本は2.0%で7位となっていました。

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日本国内のデータによると、短時間労働者の労働時間は平均で年間1,093時間、これに対しフルタイムの一般労働者労働時間は平均年間2,018時間で、かなりの差があることが分かります。

この一般労働者における平均年間労働時間は、ここ20年ほど変わることなく、2,000時間付近で推移していますが、全就業者数における短時間労働者の割合は、2倍近くにまで増加したと報告されていますから、全就業者を対象とした労働時間の減少は、短時間労働者の増加によるところも大きいと考えられるのです。

そして、15~64歳男性の平均労働時間を、休日も含めた1日あたりの時間で算出すると、2014年のデータで、日本はOECD諸国の中でトップの375分となり、全体平均の259分に比べ2時間近く長い結果となっています。

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一方、15~64歳女性の家事労働時間を、男性の何倍かで評価すると、2014年データで日本は4.82倍とインド、韓国に次ぐ3位になり、4位はポルトガルの3.41倍となっているため、インドと韓国、日本が突出して長い傾向にあることが判明しています。同じ2014年のOECDデータで、1日あたりの平均睡眠時間は、日本女性が最も短いと報告されていることから、仕事と家事の両立に苦しむ女性が多い可能性も強く示唆されるでしょう。

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日本の抱える問題点と今後について

これらのデータ結果を総合して考えると、日本は男性か女性か、正規か非正規かによる労働環境のあり方が、固定的かつ顕著に異なるものとなっており、柔軟性がきわめて少ない状態にあること、そうした偏りによるさまざまな問題を抱え、全体平均では決して長くない労働時間ながら、長時間労働も放置されたまま、全体として生産性の低い働き方の社会になっているということがみえてきます。

少子高齢化が進み、総人口も減少して労働生産人口の減少が顕著となる中、このような問題を抱えたままの社会では、一般労働者は疲弊する一方ですし、国際競争力が低下するほか、現在ある豊かさの水準も保つことが難しくなるでしょう。だからこそ、”働き方改革”が急務とされているのですね。

先のデータで、意外にも先進諸国中トップクラスに長い労働時間を記録していた米国は、時間や場所にとらわれない柔軟な働き方であるフレキシブルワークや、在宅勤務などのリモートワークの導入を拡大させていった結果、近年、業務とプライベートの区切りが曖昧になり、結果として労働時間が大幅に伸びたといわれています。

このように、ただ働き方を柔軟にするだけでなく、その労働時間管理の仕方などをしっかりと整備し、ワークライフバランスの観点から、ひとりひとりが無理なく、適材適所で自分にあった労働スタイルを実現できるようにすべきという点が、大きなポイントであり注意点になるといえますが、日本が抱える特徴的な問題や現況を踏まえ、まずできるところから変えていくことが必要でしょう。

ぜひ皆さんも働き方についてあらためて考え、職場でも話し合ってみてください。

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