過重労働はどう防ぐ?制度で減らす時間外労働

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国をあげた時間外労働削減のための取り組みが行われる中でも、長時間労働をする社員はまだ多いのが現状。働き方改革の観点からも重要な課題ですが、社員ひとりあたりの作業量が減らないケースは特に、現実は厳しいと実感している方も多いのではないでしょうか。そこで今回は、現場の作業面からではなく、制度の面から労働時間削減にアプローチする取り組みを紹介します。

時間外労働削減が企業にもたらすメリット

長時間労働を防ぐことは、ひとりひとりの社員だけでなく、企業にとっても以下のようなメリットがあります。

仕事の効率化が実現し生産性が向上する

労働時間が限られる中で、効率よく作業を進めようと意識することで、社員の生産性アップが見込めます。また、社員の時間外労働を減らすことで、残業代を削減できます。

社員のワークライフバランスの推進

時間外労働を削減することで、社員のワークライフバランスが実現できます。育児や介護を理由に社員が離職することは企業にとっての損失です。私生活との両立を図り社員の満足度を上げることは、モチベーションのアップを見込めるほか、社員の定着率にもつながります。

社員の健康管理に役立つ

長時間、また休日に働くなどの過重労働は、社員のメンタルヘルス不調や、深刻なケースは過労自殺といった事態を引き起こします。また、長時間労働による心身の不調は、毎日の作業効率の低下につながります。社員の健康に関する重大なトラブルや企業の損失を防ぐためにも、労働時間の削減は重要です。

優秀な人材が確保できる

時間外労働を減らして働きやすい職場を作ることで、社員の定着率が上がります。また、長時間労働による心身の不調や、私生活との両立ができないことを理由に離職する社員を減らすことができます。長時間労働を避ける傾向にある新入社員や若手社員を確保する上でも、時間外労働削減は有効です。

長時間労働の主な原因

厚生労働省が発表した「平成27年度過労死等に関する実態把握のための社会面の調査研究事業」によると、時間外労働が必要になる理由として次のような事態が挙げられています。

・業務量が多いため

・人手が足りないため(仕事量が多いため)

・仕事の繁閑の差が大きいため

・顧客からの不規則な要望に対応する必要があるため

このような調査結果からも、時間外労働が多い職場では、業務過多が常態化していることがわかります。作業効率の改善を図ることも解決策のひとつですが、今回は制度面から問題を解決する方法を探っていきます。

長時間労働を防ぐために制度面からできること

企業内の人事制度の変更や、新たな仕組み作りによって時間外労働削減を目指す主な方法は次のとおりです。

ノー残業デーの設定

残業時間で業務をこなすという意識が高い環境には特に、ノー残業デー、ノー残業ウィークを設定しましょう。時間外労働をしない日を設けることで、社員の集中力や、作業効率がアップします。仕事内容によっては決められた曜日に定時で仕事を切り上げることが難しいというケースは、各自が毎週1日、月1日のノー残業デーを決めて実行することもおすすめです。

年次有給休暇取得促進の取り組み

過重労働を防ぐためにも、年次有給休暇の取得を促進する取り組みを進めましょう。厚生労働省は、有給休暇を計画的に割り振って取得することができる「計画的付与制度」といった新たな制度の導入を勧めています。また、属人的な仕事が多いため、制度はあっても休暇が取得できないというケースも多いため、ひとりの社員が休んでも代わりに別の社員が対応できる環境を整えることも重要です。

勤務間インターバル制度の導入

勤務間インターバル制度とは、勤務終了後に数時間の「休息時間」を設定することで、労働者の生活や睡眠の時間を確保する制度です。たとえば、12時間の勤務間インターバルを設定すれば、前日に23時まで勤務した場合、翌日の出社は11時となります。休息時間を確保することで、時間外労働の削減のほか、ワークライフバランスが実現できるため、社員の健康管理にも有効です。

フレックスタイム制・朝型勤務制の導入

フレックスタイム制は、決められた労働時間の中で、出勤時間や退勤時間を自由に設定できる制度です。社員ひとりひとりの生活に応じた働き方を可能にすることで、効率アップや労働時間の削減が見込めます。

効率の良い働き方を目指し、朝型勤務制を取り入れる企業もあります。2013年から朝型勤務制度を本格的に取り入れた伊藤忠商事では、22時以降の残業を原則禁止にし、午前5時~8時に勤務した場合は、深夜残業と同様の割増賃金を支給しています。夕方に早く帰宅できるなどのメリットもありますが、朝早く出勤した分、残業時間が増えてしまうリスクもあるため、慎重に検討しましょう。

時間管理が評価される人事制度の導入

長時間働くのではなく、適正な時間管理をすることが評価される人事制度を導入することで、一般社員の意識や管理職の指導方法の変化が期待できます。

時間外労働をする場合は上司に報告を行う、労働時間を部署ごとに集計し適正かどうかを協議するなどの取り組みが有効です。また、管理職の評価項目に部下の労働時間の管理を組み込み、給与や賞与に影響する人事制度を取り入れることで、管理職の時間外労働削減への意識を高めることができます。

給与体系の見直し

働いた時間数に応じて賃金が決まる給与体系から、成果に応じて賃金が決まる給与体系に移行することも、有効な対策のひとつです。ただ、残業代が減ることで給与が下がると、社員のモチベーションが低下してしまうリスクがあります。時間外労働の削減によって浮いた残業代や効率アップによって得た収益を、ボーナスなどの形で社員に還元する取り組みも検討しましょう。

パート・アルバイトの能力向上のための教育制度

パートやアルバイト社員の能力を向上することで、社員の業務負荷を軽減させ、時間外労働を削減することが期待できます。教育制度を充実させ、パートやアルバイトの能力や意欲を向上させることで、部門全体の作業効率アップにつながります。また、能力向上によってさらに広い範囲の業務を任せられるようになれば、社員の業務上の負担が軽減します。

育児中の社員やシルバー人材を活用する

育児中の社員やシルバー人材など、長時間労働を前提にした職場では働きづらい人材もいます。社員の労働時間削減のためには、こういった人材を活用することも有効です。

自宅で働くことができるテレワークやフレックスタイム制などを整えることで、育児中の社員が柔軟に働きやすくなります。また、シルバー人材の活用によって、社員の業務負荷軽減が期待できます。

アウトソーシングの活用

ひとりひとりの業務量が多い職場や人材不足が問題になっている企業においては、アウトソーシングを活用することも有効です。利益を生み出すための重要な「コア業務」と、サポート的な「ノンコア業務」を分け、ノンコア業務は積極的にアウトソーシングしていくことで、社員の過重労働を防ぐことができます。

視点を変えれば時間外労働は削減できる

時間外労働の削減には、ひとりひとりの社員の作業効率アップを図るだけでは限界があります。制度面の変革や、アルバイト社員の活用など、さまざまな視点から問題にアプローチすることで、長時間労働を防ぐ第一歩を踏み出すことができるでしょう。そして、ルールを決めた後は、徹底して実践していくことが結果につながります。

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