【5分でわかる】働き方改革のガイドラインとは?4つのポイントを丁寧に解説!

From: 働き方改革ラボ

2021年10月09日 07:00

この記事に書いてあること

政府の重要政策のひとつである働き方改革は、労働環境を大きく見直す取り組みとして推進されています。働き方改革関連法が順次施行される中で、改めてその内容を詳しく知っておきたいという人も多いのではないでしょうか。そこで今回は、働き方改革のガイドラインの内容や重要なキーワードについて、わかりやすく解説します。働き方改革を本格的に進める上で、ぜひ参考にしてください。

※2020年7月に公開された記事のタイトルを変更いたしました

働き方改革におけるガイドラインとは?

厚生労働省は、働き方改革の推進のため施行された働き方改革関連法の内容をふまえ、その実現を促すためのガイドライン『働き方改革~ 一億総活躍社会の実現に向けて ~』を制定。また、働き方改革に関して、現状の課題や対応策、施策の実行時期などを示したロードマップも公開しています。

働き方改革関連法とは?

働き方改革関連法の正式名称は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」です。2016年より政府は、少子高齢化に伴う労働力不足や、働く人のニーズの多様化という日本の課題の解決を目指し、「働き方改革実現会議」を開催。この会議や業種別の働き方改革に関する連絡会や協議会を経て、2018年に働き方改革関連法案が成立、2019年4月より順次施行されています。

働き方改革関連法の主なポイントは、労働時間法制の見直しと雇用形態に関わらない公正な待遇の確保です。この措置によって、雇用形態に関わらず、働く人それぞれが将来の展望を持ちながら、健康的に働ける環境を作ることを目指しています。

働き方改革について特に知っておきたいポイント

では、政府が推進する働き方改革とは、具体的にどのような内容なのでしょうか。働き方改革を理解する上で、特に重要なポイントを解説します。

労働時間法制の見直し

働き方改革関連法の内容でもっとも注目を集めたのが、労働時間法制の見直しです。下記のルールによって、長時間労働の防止やワーク・ライフ・バランス推進、柔軟な働き方の実現を目指します。

残業時間の上限規制

1947年の労働基準法の制定以来初めて、残業時間の上限が規制されます。2019年4月から、基本は月45時間・年間360時間以内、また臨時的な事情があっても複数月平均80時間以内(月100時間未満)・年720時間以内という上限が設けられました。これまでは大臣告示による目安はあったものの法律の縛りはなく、社員に上限なく残業をさせることが可能でした。長時間労働に依存していた企業は、生産性向上や人員の補強など、ひとりひとりの労働時間を減らすための対策が必要です。

勤務間インターバル制度の導入

勤務終了後から翌日の出勤までの間に一定時間の休息を設ける「勤務間インターバル制度」の導入が、努力義務として定められました。社員の睡眠や生活の時間を確保して健康を保つのが目的です。終業時間を過ぎて仕事をする社員がいる職場では、始業時間より出社が遅れた分は出勤とみなす、始業時間の繰り下げを認めるなどの対応が求められます。

年5日の有給休暇取得

年10日以上の有休を付与する社員に対して、最低5日間の有休を取得させることが企業に義務付けられました。これまでは、社員が自ら申し出ないと有給休暇は取得できませんでした。使用者側から有休の取得を推進していなかった企業は、取得タイミングの希望を聞き取る体制や、休暇がとりやすい労働環境の整備を進めましょう。

60時間以上の残業での割増賃金引き上げ

これまで、月60時間を超える残業については、大企業は50%、中小企業は25%の割増賃金を支払うというルールでした。2023年4月からは、中小企業の60時間超分の割増賃金率も大企業と同じ50%に引き上げられます。今後は、残業60時間以下は25%、60時間以上は50%で割増賃金を計算する必要があります。

労働時間の客観的把握

働く人の健康管理のため、すべての人の労働時間を客観的方法で確実に把握することが法律で義務付けられました。これまで、裁量労働制をとる人や管理監督者は規定の対象外でした。社員の出勤・退勤時間を正確にカウントしていなかった企業は今後、タイムカードやPCのログイン状況など客観的に計測できる方法によって、労働時間を把握しなければいけません。

フレックスタイム制の拡充

フレックスタイム制をより柔軟に運用することが企業に推奨されます。フレックスタイム制は、労働者が始業・終業時間や労働時間を自分で決めることができる制度です。これまで労働時間の調整が行える期間(清算期間)は1ヵ月でしたが、実労働時間が所定の時間に足らず欠勤や減給扱いになるケースもありました。法改正で清算期間が3ヵ月に延長され長いスパンでの調整や相殺が可能になったため、より柔軟に働き方を選べるようになります。企業には、子育てや介護などの私生活と仕事を両立させたい従業員の希望に応じられる体制作りが求められます。

高度プロフェッショナル制度の新設

自由な働き方を希望する専門職のために、高度プロフェッショナル制度が新設されました。収入と職種の条件に合致する希望者に対して、法律で定められた労働時間などの規定を適用しない制度です。対象者が時間の使い方を制限されず、裁量を持って働くことができます。制度の導入には、労使委員会の決議、所轄労働基準監督署長への決議の届出、労働者本人の同意などの手続きが必要。また、休日の確保など、過重労働を防ぎ、適用者の健康を守るための対策も必須です。

同一労働同一賃金

2020年4月に(中小企業は2021年4月1日)、同一企業内での正規・非正規の間の不合理な待遇差が禁止されました。雇用形態に関わらず、仕事内容が同じ場合は、基本給、ボーナスなどの賃金のほか、研修や福利厚生などの待遇においても差をつけることはできません。

また今回の法改正で、非正規雇用労働者の待遇差の問題が、事業主と労働者との間の紛争を裁判以外の方法で解決する「裁判外紛争解決手続」の対象となりました。事業主と労働者の双方、または一方からの申し出に応じて、都道府県労働局が無料・非公開で紛争解決を支援します。

なお、非正規雇用労働者は待遇内容や正規雇用社員との待遇差の理由を会社に説明を求めることができ、会社は説明する義務を負います。非正規雇用労働者にとっても働きやすい環境を作るために、企業には、厚生労働省が制定したガイドラインに沿ったルールの整備が求められます。

テレワークの推進

厚生労働省は、働く人が場所や時間を選んで柔軟に働けるテレワークも推進しています。雇用されて働くケースと、雇用契約を結ばずに働くケースに分けて、ガイドライン等でそのポイントを明示。テレワークに取り組む中小企業をサポートする働き方改革推進支援助成金(テレワークコース)の制度を設けるなど、広い活用を推奨しています。

雇用型テレワーク

従業員にオフィス外での勤務を認める雇用型テレワーク。社員にとっては、通勤時間の削減や、育児や介護などと仕事を両立できるというメリットがあります。テレワークをスムーズに導入するためには、働く場所や賃金についての労働条件の定め、労働時間を適正に管理する体制作りなどが必要です。また、アクセス制限や時間外労働の許可制など、長時間労働を防ぐための対策も欠かせません。厚生労働省は、テレワークを推進する上での留意点などを「情報通信技術を利用した事業場外勤務の適切な導入及び実施のためのガイドライン」で詳しく解説しています。

自営型テレワーク

雇用契約なしで委託を受けて自宅などで仕事をするのが、自営型テレワークです。厚生労働省は、仕事を発注する側向けに「自営型テレワークの適正な実施のためのガイドライン」を制定。仕事をスムーズに依頼して活用するための方法をまとめています。自営型テレワークを始める人のための「自営型テレワーカーのためのハンドブック」も公開。契約から納品・請求までのステップや、トラブルの対応策など、自営型テレワークを希望する人を支援するために情報を提供しています。

副業・兼業の推進

働き方改革の一環として政府が力を入れているのが、副業・兼業の普及促進です。厚生労働省は、「副業・兼業の促進に関するガイドライン」で、副業や兼業を認めていない会社が8割に上るという現状を伝えた上で、副業・兼業にさまざまなメリットがあると説明。働く人にとっては、離職せずとも別の仕事でスキルやキャリアを磨くことができる、収入が増加するといった利点があります。企業にとっても、労働者が新しい情報やノウハウを得ることで事業拡大のきっかけを得られたり、優秀な人材の流出を防いだりといったメリットが期待できます。

一方で、働く人の労働時間が長くなる、企業には秘密保持や競業避止の対策が必要といった注意点も。副業・兼業を許可する場合は、業務内容や形態の範囲、上司が副業・兼業の状況を把握するための仕組み作りなどの対策を進めましょう。働く人も、就労時間や健康状態の自主的な管理、また確定申告の知識を得るなどの準備が必要です。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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