ワーケーションとは? 旅行先で働くメリットと注意点を解説

From: 働き方改革ラボ

2019年09月03日 07:00

この記事に書いてあること

「ワーケーション」という言葉を知っていますか? 休暇中に仕事をすることを認める制度で、テレワークや在宅勤務などとともに、新しいワークスタイルとして注目されています。とはいえ、休暇と仕事を一体化する考え方と聞いて、イメージがわかない方も多いのではないでしょうか。今回は、ワーケーションの基礎知識やメリット、注意点などを解説します。

ワーケーションとは?

ワーケーションとは、ワーク(仕事)とバケーション(休暇)を組み合わせた言葉。働く人が、休暇や旅行を楽しみながら、一部の時間を使って仕事をすることです。もしくは、部署やチームで旅行やキャンプに出かけ、旅先でミーティングなどの仕事をしながら、メンバーとのバカンスを楽しむスタイルもワーケーションのひとつです。

ワーケーションは、休暇中も仕事をすることを強制する制度ではありません。個人が、自分の好きなスタイルで、好きな場所で仕事をするための取り組みです。

オフィス以外の場所で働くスタイルとして普及しつつあるのが、テレワークです。ワーケーションとテレワークの違いは、仕事をする場所。テレワークは、自宅やサテライトオフィスなど、一般的に、会社に申請して許可された場所で仕事を行います。ワーケーションは、帰省先や旅行先など、場所を問わずにどこでも仕事をすることができます。

ワーケーション登場の背景

ワーケーションはもともと、アメリカで生まれた働き方と言われています。海外では、会社やチームの団結力を高めるため、メンバーでリゾート地へワーケーションに出かけることが普及しています。また、日常生活から離れ、心身をリセットして再スタートするための合宿である「リトリート」も人気を集め、採用されています。

日本でワーケーションが注目されるようになった背景には、有給休暇取得率の低さがあります。また、労働時間が長く休暇も取得できないことが、労働生産性を下げているという課題も。休暇中の仕事を認めるワーケーションが、働く人の有給取得を促進する方策として、期待を集めているのです。

ワーケーションのメリット

では、ワーケーションは、働き方にどんな影響を与えるのでしょうか?
主なメリットは次のとおりです。

外せない仕事があっても長い旅行ができる

働く人が休みをとって長期の旅行に出かけられない理由のひとつが、週次や月次の会議など、外せない仕事が定期的にあるということです。また、長い期間にわたり取引先や社内と連絡がとれなくなることへの懸念も、長期休暇の取得を妨げている要因です。

ワーケーションが認められることによって、休暇中でも、リモートによる会議の出席やメール対応などの連絡をすることができます。休暇中に予定していた時間のみ会議に参加したり、自分の都合のいい時間にメールをチェックしたりといった作業が許されることで、長期にわたる帰省や旅行が可能になります。

家族との時間が確保できる

まとまった時間の休暇が取得できることで、家族と過ごす時間が確保できるというメリットもあります。有給休暇が取得できずに旅行に出かけられなかった人も、休暇の合間に仕事ができれば、家族やパートナーと共に長期の休暇を楽しむことが可能です。

有給取得率の向上

ワーケーションによる有給休暇の取得推進も期待できます。2019年4月から施行された働き方改革法では、初めて一定日数の有給取得が義務化されました。ワーケーションは、社員の有給取得率が低いことに悩む企業に対してもメリットがあります。

旅先でリフレッシュすることで生産性が上がる

長期休暇の取得や、まとまった日数の旅行に出かけることは、仕事に良い影響ももたらします。旅先で心身ともにリフレッシュすると、仕事で新しい発想が生まれることも。また、ワークライフバランスが実現することで仕事へのモチベーションが上がり、生産性が向上するというメリットも期待できます。

ワーケーション導入への注意点とは?

ワーケーションは、旅先で仕事をするというこれまでにない働き方。導入する上では、注意しなければいけないポイントもあります。

オンとオフの切り替えが難しい

ワーケーションは、旅先で旅行の合間に仕事をすることで長期休暇を楽しめるというメリットがありますが、一方で、オンとオフの切り替えが難しいという課題があります。休暇にも仕事を持ち込むというワークスタイルは、仕事で休暇の時間が予定以上に削られるというリスクもありえます。休暇中のパソコンに向かう時間を決めるなど、休みと仕事の切り替えをしっかり行うことがワーケーションを快適に行うコツです。

また、休暇中は、仕事のことは忘れてリフレッシュしたいという人もいます。仕事中のメールチェックなど、ワーケーションを強制することはやめましょう。

旅先でのセキュリティ対策が必要

ワーケーションは、オフィスやあらかじめ申請した場所ではなく、出かけた先のどこでも仕事ができます。そのため、パソコンなどの機器を中心としたセキュリティ対策が必須です。パソコンの盗難対策や、Wi-fiアクセスの制限など、仕事環境のセキュリティ面を強化した上で実施しましょう。

労働時間が把握しにくい

ワーケーションを進める上で注意したいポイントのひとつが、勤怠が複雑になることです。旅行先では、上司が、部下がいつどのように働いているかチェックできません。旅先で仕事を行う上でのルールの整備や、リモートワークに対応した勤怠管理システムの導入も検討しましょう。また、仕事をした時間の長さではなく、仕事の成果を見る評価制度を採用するなどの対策も有効です。

コミュニケーション上で問題が起きることも

ワーケーションに限らずテレワーク全般に言えることですが、旅先で仕事をすることは、対面で仕事をすることに比べて、コミュニケーション上のミスや非効率が起きやすいという課題もあります。また、オフィスで働く社員とやりとりをすると、休暇中に予定していた以上の仕事を依頼されてしまうケースも。旅行中にストレスを感じないためにも、ワーケーションに入る前に、周囲に休暇中の仕事範囲を伝えておきましょう。

ワーケーションは働く人が選べるスタイルのひとつ

有給休暇取得だけでなく、社員のワークライフバランスや、満足度向上にもつながるワーケーション。メンバーで共にリゾート地へ出かければ社員同士の結束も深まり、会社にもメリットをもたらします。とはいえ、ワーケーションは、社員が自分らしく働いて能力を発揮してもらうためのスタイルのひとつ。会社で長く、生き生きと活躍してもらうために、ワーケーションという選択肢を制度に取り入れてみてはいかがでしょうか。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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