ウェルビーイングとは?取り組むメリットから企業事例までを解説

From: 働き方改革ラボ

2023年01月20日 07:00

この記事に書いてあること

「働きやすさ」を考える上でのキーワードのひとつが、ウェルビーイングです。とはいえ、ウェルビーイングという言葉は聞いたことがあるものの、意味を詳しく知らない方もいるのではないでしょうか。そこでこのコラムでは、ウェルビーイングの意味や、企業が取り組む意義を解説。働き方改革におけるウェルビーイングの位置付けや、SDGsとの関係性に加えて、社員のウェルビーイング向上に積極的な企業の取り組み事例もご紹介します。

ウェルビーイングとは?

ウェルビーイング(well-being)とは、身体的、精神的、社会的に満たされている状態を指す言葉です。心身が健康であるだけでなく、社会的にも良好であることを意味し、「幸福」と訳されることもあります。世界保健機関(WHO)憲章でこの言葉が使われたことから、注目されました。

ウェルビーイングな状態にある人は、創造性や仕事のパフォーマンスが高く、組織の生産性やイノベーションにも良い影響を与えます。そのため、従業員のウェルビーイングは、企業での人事戦略においても近年、重視されています。

企業がウェルビーイングを重視すべき理由

では、企業にとって今、ウェルビーイングへの意識が求められている理由とは何なのでしょうか。

働き方改革のニーズの高まり

働き方改革を積極的に進める企業の間で、その取り組みの一環として、ウェルビーイングを向上させる施策が進められています。働きやすさは、従業員の人生における幸福にもつながります。そのため、労働時間を含むワークスタイルや、雇用形態、待遇、福利厚生などの面で、従業員が心身ともに満足した状態で、幸せに働くことができる環境作りが求められています。

SDGsの目標のひとつに定められている

ウェルビーイングは、SDGs(Sustainable Development Goals)の観点からも重視されています。2015年に国連総会で採択されたSDGsの17のターゲットのひとつに、「Good health and well being=すべての人に健康と福祉を」という項目が掲げられました。そのほか、「貧困をなくそう」「飢餓をゼロに」「ジェンダー平等を実現しよう」などのターゲットも、人々が身体的、精神的、社会的に満たされて生きるための重要なテーマとして、企業活動でも重視されています。

健康経営への意識の高まり

従業員の心身の健康を守る「健康経営」とも、ウェルビーイングは密接に関わっています。心と体が健康であることは、ウェルビーイングの重要な要素です。従業員の健康管理が人材の安定やモチベーションアップ、生産性向上につながるという健康経営の意識からもウェルビーイングが注目されています。

また、新型コロナウイルスの影響でテレワークが普及し、運動習慣への意識が高まったことや従業員の感染対策が求められるようになったことも、企業のウェルビーイング施策推進を後押ししています。

企業がウェルビーイングに取り組むメリットは?

次に、企業が経営にウェルビーイングの観点を取り入れることで生まれる主なメリットを解説します。

生産性が向上する

従業員の心身が健康に保たれることで、体調不良や、メンタルの不調による休職や離職を防ぐことができます。従業員が安定して働き、成果が生まれる職場を作るために、ウェルビーイングが求められています。

また、従業員の心身の状態が満たされることで、集中力が高まりミスが減り、職場の生産性が高まります。業務への意欲が高まることで創造性の高い仕事ができ、会社を成長させる新しいアイディアが生まれることも期待できます。

優秀な人材を獲得できる

従業員のウェルビーイングを目指すことは、人材獲得の面でもメリットがあります。ウェルビーイングへの意識が高く、従業員が健康に、幸せに働いている会社は、求職者にとって魅力的です。人材難が進む中でも、働きやすい職場を求める優秀な人材を獲得しやすくなるでしょう。

従業員満足度の向上と人材の定着

従業員の心身の健康を実現するために、労働時間の削減や、多様な働き方を認める施策を進めることで労働環境が改善され、従業員満足度が高まります。会社に対するエンゲージメントが向上するため、離職率が低下します。人材定着のほか、社員のモチベーションアップによる生産性向上も見込めます。

ウェルビーイングを推進する企業の取り組み事例

では実際に企業では、ウェルビーイング施策によってどのようなメリットが生まれているのでしょうか。成功を収めている企業の取り組み事例をご紹介します。

健康チェックと充実した設備で社員のウェルネスを実現

楽天グループは、従業員が心身ともに健康で、最大限の力を発揮できる職場作りを企業の責任ととらえ、また、生産性向上の観点からもウェルビーイングを重視。「楽天健康宣言:Well-being First」に従った取り組みを推進しています。

従業員の健康状態をチェックするための「ウェルビーイングサーベイ(調査)」を実施し、運動不足や睡眠の質、体重管理の課題を感じる従業員の割合を、年間30%削減させることに成功。また、衛生委員会や、マインドフルネスを通じた健康増進の活動のほか、健康相談窓口設置や、無料で利用できるカフェテリア、フィットネスジムなど、従業員の健康をサポートする環境整備を行っています。

社員の幸せを測る「幸せ度調査」をベースにした環境整備

住宅メーカーの積水ハウス株式会社は、「『わが家』を世界一 幸せな場所にする」という企業ビジョンの前提として、社員の幸せを追求。2020年11月、グループ全従業員を対象に「幸せ度調査」を実施し、幸福経営学の専門家とともに従業員の幸せを多面的に分析し、ウェルビーイングを推進しています。

幸せ度調査の結果をもとに、コミュニケーションが活発で、心理的安全性が高い職場風土を作るための社員間のワークショップや対話を実施。また、多様な働き方の支援、男性育休の推進、ロボットなどを活用した住宅点検スタッフの労働環境改善など、社員が仕事と人生を充実させるための取り組みを進めています。

心身を癒やすカフェテリアの新設でウェルビーイングを促進

食品粉体関連の機器などを提供する愛知県のメーカー、ツカサ工業株式会社は、SDGsに対する取り組みの一環として、社員の健康に配慮し、安定して働ける職場環境の実現を目指しています。年齢や性別、国籍に関わらず、本人の能力や技能に応じて評価される人事制度を導入。また、メンタルヘルスチェックの実施や、有給休暇取得率向上の取り組みなどによって、健康経営を推進しています。

また自社ビル内に、仕事に対するエンゲージメントを向上させる目的でカフェテリアを新設。食事エリア、食後にゆっくりコーヒーが飲めるエリア、雑談ができるソファエリア、マッサージチェアで疲れを癒せるエリアを設けたカフェテリアが、社員のコミュニケーション活性化と、健康増進を促しています。

社員の「幸せ」を目指すことで働き方改革を進めよう

働く環境の改善、健康経営など、働き方改革をさまざまな角度から推し進めるウェルビーイング。まずはその意義やメリットを理解して、自社ができる取り組みを始めてみてはいかがでしょうか。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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