週休3日制のメリット・デメリットとは? 現状や事例を解説

From: 働き方改革ラボ

2023年07月03日 10:19

この記事に書いてあること

働き方改革の一環として「週休3日制」を取り入れている企業が増えています。とはいえ、週休3日制は社員数が多い大企業だからこそ検討できるというイメージをお持ちの方も多いはず。はたして、中小企業や地方企業にとっても週休3日制の導入は現実的なのでしょうか。

そこで今回は、週休3日制の具体的な導入イメージや、会社側と従業員側にとっての週休3日制のメリット・デメリットについて解説します。あわせて導入事例も解説するので、ぜひご参照ください。

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中小企業でも注目が集まる週休3日制とは? 現状を解説

現在、1週間のうちの休日の数は週休2日が主流ですが、働き方改革推進の影響から、1週間のうち3日を休日とする「週休3日制」を採用する企業が増えてきつつあります。

代表的な事例としては、2015年にはユニクロが、2017年には佐川急便が、2020年にはSMBC日興証券やみずほフィナンシャルグループが、2022年にはLIFULが週休3日制・4日制の採用を発表しました。

週休3日制導入の流れは、大手企業以外でも広がっています。インターネットサービスプロバイダーの株式会社インターリンク、ITビジネスを手がけるネクストビートなどの東京都内の企業はもちろん、福岡県で介護事業を展開するウチヤマホールディングスや、食品の加工機械を製造・販売する広島県のサタケなど、地方企業でも週休3日制の導入が進んでいるのです。

「選択的週休3日制」について議論が続いている

そもそも、なぜ「週休3日制」の導入に注目が集まっているのでしょうか。そこには、先述した働き方改革はもちろんのこと、2021年6月に内閣府が発表した『経済財政運営と改革の基本方針2021』が関係しています。

『経済財政運営と改革の基本方針2021』において、政府は、選択的週休3日制度を「育児・介護・ボランティアでの活用、地方兼業での活用などが考えられることから、好事例の収集・提供等により企業における導入を促し、普及を図る」と述べています。このことから、政府の週休3日制による意欲が伺えます。

休日を増やす企業が増加している

また、休日を増やす企業が増加していることがデータからもわかります。

厚生労働省発表の「令和4年就労条件総合調査」によると、2022年において、完全週休2日制を導入している企業は48.7%、完全週休2日制よりも休日日数が多い企業は8.6%であることがわかりました。

平成24年度のデータでは完全週休2日制より休日日数が実質的に多い制度を導入している企業は4.8%だったため、4.2%増えています。「週休3日制度」とは明言されていませんが、従業員の休日を増やす企業が増加しているのは事実でしょう。

さらに、企業規模が1,000人以上の導入割合は中小企業よりも多く、10%を超えています。企業全体では10%にも満たないため、週休3日制の全体の普及率はまだまだ低いですが、これから増えていくと考えられます。

週休3日制の導入パターンは3つ

ひとえに「週休3日制」といっても、そのパターンはさまざまです。この章では、週休3日制の導入パターンを3つご紹介します。

1.1日の労働時間と給与は同じで休日が増えるパターン

まず1つ目が、1日の労働時間と給与が同じで休日が増えるパターンです。これは、所定労働時間が「1日8時間、週5日、週40時間」だったものを、「1日8時間」はそのままに「週4日」とすることで「週32時間」と労働時間のみを減らす方法になります。

総労働時間が減少しているにもかかわらず従業員の給与額は変動しないため、従業員にとってはもっとも理想的な内容といえるでしょう。ただし経営を成り立たせるためには、短い時間のなかで成果をあげる必要が出てきます。

2.1日の労働時間が増えて収入が変わらないパターン

2つ目が、1日の労働時間が増えて収入が変わらないパターンです。たとえば、「1日8時間、週5日、週40時間」としていたものを、1日当たりの労働時間を増やして「1日10時間、週4日、週40時間」などとする方法を指します。

1日の労働時間は増えるものの所定労働時間の週40時間は満たしているため、給与は変わらず、週休2日制から移行しやすい内容ともいえるでしょう。実際にユニクロなどはこのパターンを採用しています。ただし、従業員のなかには負担に感じてしまう人もいるかもしれないため、フォロー体制を整える必要があります。

3.1日の労働時間は変わらず収入が減るパターン

3つ目が、1日の労働時間は変わらず収入が減るパターンです。LIFULなどが導入しており、1つ目のパターンと同じように、「1日8時間、週5日、週40時間」だったものを「1日8時間、週4日、週32時間」とし、減った8時間分(20%)の給与を減らす方法になります。

従業員には週4日分の給与を支払うことになるため、これまで週5日働いていた従業員からは不満が出るかもしれません。導入前に説明し、同意を得ることが大切です。

企業側の週休3日制のメリットとデメリット

具体的に、週休3日制にはどのようなメリットがあるのでしょうか。企業側・従業員側それぞれのメリットとデメリットを解説していきます。

企業側のメリット

まず、企業側のメリットから見ていきましょう。

1.離職率の低下や人材確保につながる

週休3日制を導入することで企業側が得られる1つ目のメリットとして、離職率の低下や人材確保につながることが挙げられます。働き方改革の影響もあり、会社を選ぶ際にワーク・ライフ・バランスを重視する求職者が増えています。週休3日制を導入することで働き方改革の推進をアピールでき、人材確保はもちろんのこと、離職率の低下にも効果が期待できます。

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2.従業員の生産性や収益性の向上を見込める

2つ目のメリットとして、従業員の生産性や収益性の向上を見込めることが挙げられます。休みが増えることで従業員がリフレッシュしやすくなり、業務にメリハリがついて、生産性や収益性の向上を見込めるのです。

3.    コストを削減できる

3つ目のメリットとして、コストを削減できることが挙げられます。会社の休日を増やすと、それだけオフィスの光熱費などを減らすことができます。生産性と相まってコストの削減を見込めるのは、週休3日制の大きなメリットといえるでしょう。

企業側のデメリット

一方で、企業側にとってのデメリットも考えられます。

1.従業員の業務に偏りが出る

週休3日制の導入による企業側の1つ目のデメリットとして、従業員ごとの業務に偏りが出てしまうことが挙げられます。もし従業員全員が一律で週休3日制を導入するのではなく選択制にした場合、タスクの量や成果に差が出てきてしまいます。従業員から不平不満が出ないよう、仕組みを整える必要があるでしょう。

2.機会の損失が出る

週休3日制の導入による企業側の2つ目のデメリットが、機会の損失が出ることです。もしクライアントとやりとりをする職種の場合、労働時間が減ることでクライアントとの円滑なコミュニケーションが取りにくくなり、機会損失につながってしまいます。そのため、事前に週休3日制の導入について案内をする、複数人で業務を共有し、コミュニケーションの抜け漏れがないか確認するなどの対策が求められます。

従業員側の週休3日制のメリットとデメリット

続いて、従業員側から見た、週休3日制のメリットとデメリットを解説します。

従業員側のメリット

まず、従業員側のメリットから見ていきましょう。

ワーク・ライフ・バランスの実現に役立つ

週休3日制を導入することで従業員側が得られるメリットとして、ワーク・ライフ・バランスの実現に役立つことが挙げられます。

休日が一日増えることで、十分な休養を取ることができ、心身のリフレッシュやストレスの軽減が期待されます。また、空いた時間を旅行や趣味、自己啓発などの時間に充てるなど私生活の充実を図ることができ、満足度向上にも効果があるでしょう。自己啓発の内容によっては仕事のスキルアップにつなげることも可能なため、従業員自身の仕事への意欲が高まることも期待できます。

また、一週間に2日しかなかった休みが1日増えることで、家族との時間が取りやすくなり私生活の充実を図ることができます。介護や育児と両立をしている従業員にとっては、休日が増えることで介護や育児との調整をしやすくなります。

従業員側のデメリット

次に、従業員側のデメリットを解説していきます。

1.給与が減る可能性がある

週休3日制の導入による従業員側の1つ目のデメリットが、給与が減る可能性があることです。これは、週休3日制の導入パターンのうち、1日の労働時間は変わらず収入が減るパターンで該当するデメリットとなります。

これまで「1日8時間、週5日、週40時間」の勤務だったものを1日減らすことで、その分の給与が下がるため、従業員からするとデメリットになります。

2.長時間労働になりやすい

勤務日数が減ったとしても業務に変更が無ければ、勤務する日の業務が増え、一日当たりの業務時間が長くなり長時間労働に陥りやすくなります。

週休3日制の導入方法3ステップ

続いて、週休3日制の導入方法を3つに分けて解説していきます。週休3日制を導入したいとお考えの企業の方はぜひ参考にしてください。

1. 週休3日制を導入する目的を明確にする

まず、週休3日制を導入する目的を明確にしましょう。たとえば、従業員の離職率低下を目的とするならば、従業員の不満につながらないような導入パターンを考えなければなりません。収益との兼ね合いもあるため、どうしたら実現可能かを考えるためにも、まずは目的から明確にしていくことをおすすめします。

2.対象となる従業員を決める

週休3日制を導入する目的を明確にしたあとは、対象となる従業員を決めましょう。正社員のうち新入社員にも適用するのか、就業後数年経っている従業員のみにするのか……など、職種や目的によって導入対象は変わります。全員に適用するのではない場合は、どう従業員の満足度を保っていくか考えながら対象を決めましょう。

3.副業や休日など規程を決める

また、下記で挙げるように副業や休日などの規程を決めることも大切です。

1.有給休暇や賃金はどうするか

まず、有給休暇や賃金はどうするのかを考えましょう。日数を減らし、その分の賃金は減らすのか、1日の労働時間を増やして賃金を下げずにいくのか……など、さまざまなパターンが考えられます。有給休暇の取得条件も同じく、自社の業績や目的と照らし合わせた上で決めましょう。

2.副業は解禁するか

週休3日制を導入する場合、さらなるスキルアップや収入アップを目指して副業を志望する従業員が出てくるかもしれません。目的に沿った上で、副業の解禁について検討しましょう。

現在は副業を禁じているものの、賃金を減らすパターンの週休3日制の導入を考えているのなら、従業員から不満が出ないようにするために副業を解禁する手もあります。その際には「競合他社はNG」などを決める必要があるので、しっかり考えましょう。

3.休日はいつにするか

さらに、休日は全員一律にするのか、ローテーションしていくのかなども決めなければなりません。週休3日制の対象を全員にしていない場合はとくに、固定の曜日だけ仕事が回らないようになってしまっては対象外の従業員に負担がかかってしまうので気をつけましょう。

4.利用期間はどのくらいにするか

対象となる従業員を決めた場合は、利用期間についても規程を設けましょう。たとえば閑散期だけにするのか、1年のうち半年間と決めるのか、利用期間は制限しないのかなど、職種や自社の成績によって決める必要があります。

その際に、「なんとなく○ヶ月にする」などと決めるのではなく、明確な根拠を考えることで、従業員に説明をする際に説得力を持たせることができるのでおすすめです。

週休3日制の導入事例

週休3日制にはさまざまなパターンがあり、規定も会社によって異なるため、どう決めたらいいのか迷う人もいるかもしれません。そこで最後にこの章では、企業で実際に週休3日制を導入した事例を紹介していきます。

1.LIFUL

LIFULは、2022年に同年10月1日から2023年3月31日までの半年間、正社員が「週休3日制度」または「短時間勤務制度」を選べる制度のテスト運用を開始しました。週休3日制度では金曜日を固定休日とし、その分の給与や賞与は減額とするパターンを導入するとしています。対象者は全正社員のうち希望者を募って会社が承認するそうです。

また、短時間勤務制度も週休3日制度と同様、給与は減額になります。ただ、これまでは育児や介護など理由がなければならなかったものを「理由を問わない」取得が可能となりました。

2.ユニクロ(株式会社ファーストリテイリング)

ユニクロを運営する株式会社ファーストリテイリングでは、2015年10月以降、「変形労働制」を利用し、1日の労働時間を8時間から10時間に増やすことで給与を変えないパターンの週休3日制度を導入しています。出勤は土日を含む週4日で、休日は平日の3日取得することができます。

ユニクロは、1日の労働時間を長くすることで集中して業務を取得でき、育成面においても効果があるとコメント。公式サイトでは、介護や育児にかぎらず、資格取得などに時間を充てている従業員の体験談を掲載しています。

3.SMBC日興証券株式会社

SMBC日興証券株式会社では、2020年4月に「週3日勤務(週休4日)」もしくは「週4日勤務(週休3日)」を選べる制度を導入しました。

当初は年齢制限がありましたが、2022年からは引き下げられ、「週3日勤務」に関しては「①欠勤・休職中でない60歳以上の社員、②介護理由のある40歳以上の社員」が、「週4日勤務」は、「①欠勤・休職中でない40歳以上の社員、②育児・介護理由のある入社4年目以降の社員」が対象になりました。

勤務時間に比例して給与が支給されますが、休日を副業に充てることを許されており、セカンドライフのためのキャリア形成を支援しています。

まとめ

週休3日制の具体的な導入イメージを知ると、中小企業にとっても不可能な制度ではないとわかるでしょう。1日10時間の勤務に適した仕事があるなど、週休3日制がフィットしやすい企業もあります。子育て中の社員や女性が多い職場では、人材活用が進むという効果も期待できます。自社の状況と週休3日制のメリットとデメリットを照らし合わせて、導入を検討してはいかがでしょうか。

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