運輸業で行うべき働き方改革とは?対策や労働基準法の改正点など詳しく解説

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運輸業で行うべき働き方改革とは?対策や労働基準法の改正点など詳しく解説

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2019年4月にスタートした働き方改革は、新型コロナウイルス感染症の蔓延により推進が加速、業種を問わず働き方改革への対応が必要になっています。特に対応が難しいといわれる運輸業では、対応に困っている担当者も多いのではないでしょうか。

この記事では、運輸業が対応するべき働き方改革の対策を解説します。働き方改革における運輸業の問題点を改善するヒントにしてください。

働き方改革とは?

働き方改革は、一億総活躍社会の実現にむけた対策の一つです。多様な働き方を可能にし、労働生産性を上げて働き手を増やすための重要な政策です。

働き方改革には、3本の柱があります。「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」「柔軟な働き方の実現」です。働き方改革を推進するための根拠となる法律は「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」と「改正労働基準法」などになります。

運輸業での働き方改革|最大の問題点は時間外労働の多さ

運送業での働き方改革の大きな問題点は、時間外労働が多く、中小企業ほど顕著に現れていることです。事業規模は問いませんが、自動車運転業務における法定時間外労働60時間を超える最長の者は40%を超えていて、100時間を超えている最長の者は9%もいます。

トラックドライバーの年間労働時間を全産業と比較すると、大型トラックドライバーでは約1.22倍です。中小型トラックドライバーでも約1.16倍と国土交通省より発表されています。

運輸業における労働時間や休日に関する労働基準法の改正点

2019年に改正された労働基準法において、運輸業の労働時間や休日がどのように変わったのかを知ることが大切です。改正された労働基準法によると、1日の拘束時間は13時間であり、1時間の休憩時間も含まれます。

36協定を結んだ場合でも、月に45時間を超える時間外労働や、年間に360時間を超える時間外労働は原則としてできません。

2024年から残業時間の罰則付き上限規制が適用される

2019年の労働基準法改正では、運送業の特性を考慮し、一般企業とは別枠で2024年4月からの改正法が施行されます。つまり、運送業は5年間の準備期間が与えられているのです。法改正施行後の一般企業との違いは下記のようになります。

一般企業運輸業特例
年間時間外労働時間720時間960時間
1ヶ月あたりの上限(時間外)100時間未満上限なし
複数月平均規制(時間外)平均80時間規制なし
月45時間超え上限(時間外)6ヶ月まで上限なし

一般企業と比較すると厳しい労働環境ですが、年間960時間関連の法改正にかかわる規則に違反した場合は、6カ月以下の懲役または30万円以下の罰金を課せられます。

月60時間以上の時間外労働に対する割増賃金の支払い義務

改正労働基準法では、月に60時間を超える時間外労働に関して、法定割増賃金が50%以上に引き上げられます。さらに、深夜の時間帯労働で、1カ月に60時間をこえる労働に関しては、深夜割増賃金率25%以上に時間外割増率50%以上を加算して賃金を支払うように改正されています。

つまり、雇用側に対して、75%以上の加算した賃金支払いを義務付けられているのです。深夜労働とは、22時から翌朝5時の時間帯労働のことを指します。

この法改正の施行は、2023年4月1日ですが、中小企業には上記の割増賃金支払いの猶予があるのです。該当する中小企業には猶予があり、施行3年経過後に再検討すると定められています。

ドライバーの労働時間や休日に関する扱い

ドライバーの労働時間や休日に関する扱いも、どのように変わったのかを確認しておきましょう。

拘束時間の扱い

ドライバーの拘束時間は給与の対象です。なお、ドライバーの拘束時間の特徴としては、休憩・仮眠時間が含まれることがあげられます。

また、労働時間の上限は1日13時間です。仮眠時間や休憩時間を差し引いて考えることは禁止されています。仕事が終わると拘束時間ではなくなり、休息が始まりますが、休息時間についても扱いが決まっています。

休息時間は、仕事の終わりから次の仕事が始まるまでの時間です。休息時間は1日8時間以上と労働基準法で定められているため、8時間以内の場合は法律違反となります。

荷待ち時間の扱い

荷待ち時間は、運輸に携わるドライバー特有のものです。荷物の積み下ろしや指示待ち時間をはじめ、荷主や物流施設の都合でドライバーが待機している時間を指します。

荷待ち時間は拘束時間です。荷待ち時間が長くなることが、ドライバーの長時間労働の要因の一つになります。また、荷待ち時間が長くなれば、労働効率が下がり配送業務に影響が出る場合もあるため、効率化が進められています。

問題は、運輸企業によっては荷待ちを休息時間とみなすケースがあることです。荷待ち時間を休息時間に含めることは法律で認められていません。

休日に関するルール

ドライバーの休日に関するルールには、運輸業特有の決まりがあります。基本的なルールは、「休日=24時間+1日の休息時間」です。休息時間は、最低でも8時間と定められているため、拘束外時間が32時間以上で1日の休日とみなされます。

隔日勤務の場合は、さらに複雑なルールが定められています。隔日勤務とは、1日おきに勤務する形態です。

隔日勤務の基本的なルールは、「休日=24時間+20時間の休息時間」です。24時間については連続してなければなりません。44時間以上の拘束外時間をあたえることで休日と認められます。

働き方改革に対応しながら労働生産性を向上させるための施策

運輸業界でも、政府が進める働き方改革に対応しながら労働生産性を向上させる施策を実行しなければなりません。労働生産性を向上させなければ、高齢化による人員・人材不足を解消することも難しくなります。

生産性の向上には、積極的に人材育成に取り組み、先端技術を導入し技術革新しなければなりません。そのような仕組みづくりができれば、労働環境が改善され、長時間労働が是正されます。

労働環境が良ければ、おのずと多様な人材が集まります。人材の多様化を受け入れることで、人材も育つのです。人材不足が解消されれば、運輸業の付加価値を増大させることができます。

運輸業における働き方改革の対応はどう進めるか

運輸業における働き方改革の対応はどう進めるべきなのでしょうか。ここでは3つの項目について解説します。

現状を把握する

ドライバーの現状を把握しなければ働き方改革を進めることは難しいでしょう。しかし、ドライバーの現状は、社内にあるのではなく社外にあるため、ドライブレコーダーなどを利用し、改善基準告示違反がないかを確認する必要があります。

改善基準告示のチェックポイント

  • 運転日報の確認
  • 労働時間の確認
  • 拘束時間の確認
  • 休息時間の確認
  • 運転時間や連続運転時間の確認
  • 休日及び休日労働の確認

肝心なことは、改善基準告示を違反しているドライバーへの指導です。会社側が違反を促すようなことがあってはなりません。

課題点を明確にする

改善基準告示が守られていることを確認できれば、次に課題点を明確にする必要があります。課題点を洗い出す方法として、現場の現状把握だけではなく、ドライバーの声を直接聞くようにしましょう。

ドライバーに対して、アンケート調査などを行えば現場の声を拾うことができます。課題点が集まればその原因がどこにあるのかを明確にします。自社にあれば、すぐに改善策を講じ、ドライバーにあれば教育訓練を繰り返し行います。荷主などの場合は、粘り強く交渉して課題を改善しましょう。

アクションプランを立て、実行する

課題が浮き彫りになれば、アクションプランを立てます。アクションプランは、必ず改正労働基準法の厳守がベースであり、政府の行動計画に沿ったものにしましょう。政府の行動計画では「環境整備」の促進に対して「労働生産性の向上」・「多様な人材の確保」・「取引環境の適正化」が掲げられています。

プランを実行すれば、進捗状況を確認し成否の判断を下します。成否の要因を分析し、新たなアクションプランを立てて実行することを繰り返せば、良い結果を得られるでしょう。

運輸業が注意したい働き方改革対応のポイント

運輸業が注意したい働き方改革のポイントは「長時間労働の是正」「同一労働同一賃金」「柔軟な働き方の実現」であり、働き方改革の3つの柱と同じです。

時間外労働の罰則付き上限規制に注意する|長時間労働の是正

長時間労働の是正には、現行の拘束時間上限を月平均で20時間短縮する必要があります。改正労働基準法では、2024年4月から時間外労働の上限を超えた場合、罰則規定が適用されます。

この罰則規定は、時間外労働が年間960時間を超えた場合に適用されます。しかも、ドライバーだけではなく運行管理者、点呼担当者なども対象となることを知っておかなければなりません。

ただし、1人のドライバーが乗務前点呼・乗務後点呼を行っている場合は、上限規制が猶予されるなどのケースもあるため注意が必要です。

雇用形態による待遇を解消する|同一労働同一賃金

同一労働同一賃金は、運輸業だけでなく日本の労働全体の問題です。同一労働同一賃金とは、同じ企業や団体で働く正規雇用者と非正規雇用者の間の不合理な格差解消を目指すものです。

運輸業では、過去の訴訟などの判例から、労働賃金の相違の不合理性を判断する際には各賃金項目を個別に考慮すべきとの判断が示されています。つまり、住宅手当や通勤手当などの各種手当を含めて、雇用形態による格差の解消が求められているのです。

手当の種類が多い運輸業では難しいかもしれませんが、働き方改革を推進するために積極的に取り組みましょう。

ドライバー不足を解消させる|柔軟な働き方の実現

柔軟な働き方の実現は、慢性的なドライバー不足を解消させる手段でもあります。少子高齢化に伴って、生産人口・労働人口は減少しています。当然ながら、大型免許を取得している人も減っているのです。

運輸業は、長時間労働の問題が顕著に現れているため、女性や高齢者雇用を生み出すことが難しくなっています。長時間労働を解消し、ダブルワークや定年の引き上げなどの柔軟な働き方を導入しましょう。

また、職場環境を整え、労働生産性を向上させることで、多様な人材の確保が可能となります。退職者を減らす対策も重要です。

まとめ

運輸業は、特殊な労働環境をもつため、働き方改革の施行が5年猶予されて2024年4月からのスタートになります。改正労働基準法でも、他の業種と違った内容となるため確認が必要です。

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参考・出典

この記事を書いた人

リコージャパン株式会社
リコージャパンは、SDGsを経営の中心に据え、事業活動を通じた社会課題解決を目指しています。
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