テレワーク導入の全体像と意識すべきことを網羅「テレワーク導入 虎の巻」

From: 働き方改革ラボ

2022年04月12日 07:00

この記事に書いてあること

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働き方改革ラボではテレワークに関する「導入までの全体像」、導入時に重要な3つの観点(「人事・労務の観点」、「ICTの観点」、「実施の観点」)を整理した資料を作成しました。導入前の準備に、社内でご活用いただける資料です。是非右のフォームからお申込みください。

コロナ禍でのテレワーク実施率

新型コロナウィルス感染症の大流行により、テレワークを導入した企業が業種・職種問わず多くあります。テレワークを本格導入する前に、まずは日本全体のテレワーク導入企業の割合と実施状況を見ていきましょう。

コロナ禍を背景にテレワーク導入が促進

総務省が実施している「テレワーク導入やその効果に関する調査結果」によると、2018年までのテレワーク導入率は20%を切り、ごく少数の企業が導入している制度の一部にすぎませんでした。

しかし新型コロナウィルスの流行が始まった2020年4月にはテレワーク導入率が62.7%まで急上昇し、半数以上の企業がテレワークを実施しました。特に2020年4月に実施された緊急事態宣言前後では、1ヶ月でテレワーク導入率が2.35倍に上昇。コロナ禍を背景にテレワークの導入が促進されました。

導入企業の約45%が週3日以上テレワークを実施

日本国内の企業のうち約60%の企業がテレワークを導入していますが、そのうち約45%の企業が週3日以上のテレワークを実施しています。

2020年4月からコロナウィルスの感染者数は増減を繰り返していますが、テレワークを導入する企業の多くは、コロナウィルスの感染者数の増減に関わらず一貫してテレワークメインの働き方を進める企業が多いです。

テレワーク導入に伴う6つの課題と解決方法

テレワークの導入をする際には、企業が解決するべき課題が多くあります。ここではテレワーク導入の際によく取り上げられる「6つの課題」に絞って、その「解決方法」を見ていきましょう。

課題1:遠隔でのコミュニケーションが困難

テレワークを導入すると従業員同士がそれぞれ離れた場所で業務に取り組むことになるため、遠隔地でのコミュニケーションが困難になってしまうという課題があります。

解決策1:テレワーク時の対話をサポートするシステムを導入する

テレワーク時の遠隔コミュニケーションをスムーズに行うために、テレビ会議やチャットツールといった対話をサポートする新システムを導入するとよいでしょう。

解決策2:ミーティングを定期的に行う

テレワークでは同じ職場での業務と比較してコミュニケーションの濃度が落ちてしまうため、社員間の連携が難しくなるケースがあります。そのため定期的なミーティングをあらかじめ設定し、テレビ会議ツールを利用した対面コミュニケーションを行い社員間で信頼を得ながら働くことができる仕組みを作るとよいでしょう。

課題2:勤怠管理が難しい

テレワークでは従業員の勤怠状況が確認できないため、管理や評価をしにくいという管理者目線での課題があります。

解決策:勤怠管理の方法を確立する

テレワーク社員の労働時間を正しく把握するためには、勤怠管理の方法を確立しましょう。業務開始の際にはメールや電話で勤怠報告をするルールの設定や、スマートフォンやモバイル端末を利用した勤怠管理ツールの導入、またパソコンの操作ログによって勤怠を記録するシステムの導入がおすすめです。

課題3:オンオフの切り替えが難しい

管理者側の目線では従業員の勤怠管理が難しいという課題がある一方で、従業員側の目線では業務のオンオフの切り替えが難しいという課題があります。


解決策:労働時間に関するルール作りを徹底する

適正な勤怠管理と併せて、労働時間に関するルールを作り徹底することで、テレワーク社員が安心して働ける仕組みを作ることが重要です。またパソコンの使用状況を確認できる操作ログ機能は、サービス残業や深夜労働の防止にも役立ちます。

課題4:上司が部下を管理できないという懸念

管理者目線の課題として、従業員が遠隔地で業務をすることで上司が部下を管理できないという懸念があります。

解決策:指示の出し方や仕事の納期設定方法をあらかじめ決めておく

上司が部下を管理できないという懸念について、まず常に部下を目の届くところに置いて監視すべきという考え方を改める必要があります。その上で、顔を合わせていなくても適切な指示が行えるように、指示を受けるテレワーク社員の状況を踏まえて、指示の出し方や仕事の納期の設定方法をあらかじめ決めておくとよいでしょう。

課題5:指示の受け方や評価に対する不安

管理者側が部下を管理できないという懸念がある一方で、従業員側は指示の受け方や評価に対して不安が発生するという課題があります。

解決策:仕事の成果を評価する人事制度を採用する

テレワークを実施する際には、従業員の業務を過小評価、過大評価しないように業務の工数や難易度を管理側が把握することが重要です。またテレワークなどの多様な働き方をする社員を正当に評価するために、労働時間の長さを評価するのではなく、仕事の成果を評価する人事制度を採用する必要があります。

課題6:セキュリティに関するリスク

テレワーク導入の際にあげられる最後の課題は、セキュリティに関するリスクです。従業員が遠隔地で作業することによって、使用しているコンピューターにウィルス感染へのリスクや情報漏洩のリスクが高まります。

解決策:セキュリティ対策と社員のセキュリティに関する意識を高める

テレワーク導入の際には、運用を想定した社内のセキュリティポリシーの見直しが必要です。その上で、ウィルス対策ソフトの導入やパスワード管理の徹底など、セキュリティ対策を万全に行いましょう。

また端末の紛失や盗難といったリスクに対しては、テレワーク端末の所在や利用者の管理、機密性の高いデータは暗号化する、データのバックアップを取るといった対策が有効です。

セキュリティ対策と並行して、テレワーク対象社員には情報セキュリティやトラブル時の対応に関する研修を行い、社員自身がセキュリティに関する意識を高めることが、情報管理上の事故を防止するのに重要です。

テレワーク導入の全体像

テレワークの導入を検討する際には、まずテレワーク導入に関する全体像を理解する必要があります。ここではテレワーク導入に関する「プロセス」で全体の流れを理解し、「ポイント」で気を付けるべき点を解説していきます。

プロセス1:推進体制の構築

テレワーク導入の際には、まず経営トップが経営方針としてテレワークの実施と積極的な活用を宣言し、リーダーシップを取ることが理想です。

次にテレワーク導入に関するチーム編成を行います。チームは、経営企画部門、人事・総務部門、情報システム部門など、テレワークに関わる制度や施策を担当する部門を中心メンバーとし、導入対象部門の代表者も加え、全社横断チームを組織します。労働組合がある場合は、労使協議も必要です。

プロセス2:導入目的の明確化

テレワーク導入の際の第二段階として、テレワークの導入そのものが目的となってしまわないように、導入の目的を明確にし、全社員へ共有をする必要があります。この際にテレワーク導入の目的は複数でも構いません。具体例として、「ワークライフバランスの実現」や「出産や介護などライフイベントによる従業員の離職抑制」があげられます。

テレワーク導入の目的を明確化する際には、テレワークを導入することによって得られるベネフィットを軸に設定するとよいでしょう。テレワーク導入の効果として、一般的には下記の5つが挙げられます。

1「働き方改革」
2「生産性の向上」
3「人材の確保・育成」
4「コストダウン」
5「事業継続」

プロセス3:対象範囲の決定

テレワーク導入の目的が明確になった次の段階として、テレワーク推進チームやテレワーク導入対象部門が中心となってテレワークの対象範囲の決定をします。対象範囲として下記の3つの決定が必要です。

テレワークの対象者

テレワークの本格導入の前に、特定部署で試験導入と効果検証を行います。はじめは対象者数と対象部門を限定的に行い、効果検証を行いながら段階的に対象の範囲を広げていくようにしましょう。

テレワーク対象業務

テレワーク導入の前には業務の洗い出しを行い、テレワークを「実施できる業務」「今は実施できない業務」「実施できない業務」に分類します。テレワーク導入の初期段階では「テレワークで実施できる業務」のみを対象とし、段階的に対象業務を広げていくようにしましょう。

テレワーク実施頻度

テレワーク導入の初期段階では、実施頻度を少なく設定して始めるようにしましょう。特に初期段階では各部門ごとの調整も必要になることが予想されるため、週1日程度で試験的に実施し、段階的に実施頻度を高めていくとよいでしょう。

プロセス4:労務管理制度の現状把握と整備

テレワークの対象範囲が決定したら、次は人事・総務部門が中心となって労務管理制度の現状把握と整備が必要です。

まずテレワークを導入する場合には、就業規則に「テレワーク勤務に関する規定」を定める必要があります。従来までの就業規則の改定と合わせて、テレワークの申請と承認方法、勤怠管理や業務管理といった労務管理方法、人事評価方法、コスト負担、安全衛生対策といったテレワークに関するルールを定め、就業規則に記載した上で社員全体に共有するようにしましょう。

プロセス5:ICT環境の現状把握と整備

ルールや制度の設定と同時進行で、情報システム部門が中心となって、テレワーク用のICT環境の整備が必要になります。

ICT環境の整備には、まず現在利用している利用端末やネットワーク、サーバーといったシステム環境を整理する必要があります。その上で、業務を円滑に進めるために必要な、労務管理ツールやコミュニケーションツールの導入状況を確認し、必要に応じてツールの導入を検討するとよいでしょう。

プロセス6:セキュリティ対策

ICT環境の整備とともに情報システム部門が中心となってセキュリティ対策の対応が必要となります。

セキュリティ対策としては、まずテレワーク時におけるセキュリティガイドラインを策定し、資料やデータの持ち出し、管理方法についてルールを定めます。具体的なセキュリティ対策としては、ウィルス対策や情報の暗号化といった技術的なものと、人的ミスによる情報漏洩防止といった物理的なセキュリティ対策を実施する必要があります。

プロセス7:説明会・研修会

テレワーク導入に関する準備が整い始めた段階で、人事・総務部門が中心となってテレワーク導入に関する説明会や研修会を実施します。参加者はテレワークの利用者だけでなく、利用者の周囲の上司や同僚、関係部署を含めて説明を行うようにしましょう。

説明会・研修会では、「テレワーク導入の目的・必要性」「社内運営体制(社内規定および手続き、勤怠管理方法、人事評価など)「テレワークで使用するツールの使用方法」を理解してもらうことを意識しましょう。

プロセス8:テレワークの試行

テレワーク実施のための準備、説明会・研修会を経ていよいよテレワークの試行です。

テレワークの初期段階では、可能であれば6ヶ月間、少なくとも3ヶ月以上の試行期間を設け、定量的・定性的な評価を行いましょう。評価の際には、テレワークを実施している本人や上司、同僚、チームで評価を行い、現状のままテレワークを継続するか、規模と範囲を拡大/縮小して継続するか検討します。

プロセス9:本番施行評価と改善

テレワークが開始されたら、事前に設定していた期間で定期的に導入目的と照らし合わせた評価と改善を実施しましょう。都度あがってくる課題を改善しながら、対象範囲を段階的に広げていきましょう。

テレワーク導入の3つの観点

テレワークを導入する際に意識するべき観点を、「人事労務」「ICT」「実施」の3つに分けて解説します。

人事労務の観点

人事労務が中心となるテレワークの観点では、テレワーク実施者がテレワークを利用する場合も適切な労働環境で働けるようにルールを整備することがミッションとなります。

主なタスクとして、労務管理制度の現状把握と整備が必要になります。具体的には下記の10点に着目して整備を進めていきましょう。

  1. 1.

    労働基準法に則った就業規則の変更

  2. 2.

    テレワーク実施者の人事評価方法

  3. 3.

    テレワーク実施者の社内教育・研修方法

  4. 4.

    テレワークを実施する際の申請・承認方法策定

  5. 5.

    テレワーク時の労務管理方法(勤務管理、プレゼンス管理、業務管理)の整備

  6. 6.

    テレワーク時のコスト負担ルールの策定(情報通信機器費用、通信回線費用、文具消耗品費用、水道光熱費等)

  7. 7.

    テレワーク時の安全衛生対策

  8. 8.

    テレワーク時の作業環境管理

  9. 9.

    テレワーク時の健康管理

  10. 10.

    テレワーク時の労災保険の適用

ICTの観点

情報システム部門が中心となるICTの観点では、テレワーク実施者がオフィス以外でも安全で快適なシステム環境で働けるようICTのシステムやツールを選択し、導入できるようにすることがミッションとなります。

主なタスクとして、「ICT環境の現状把握と整備」と「セキュリティ対策」の大きく2つの整備が必要になります。

ICT環境の現状把握と整備

  1. システム環境(利用端末、ネットワーク、サーバ)の現状把握とテレワークへの耐性
  2. テレワーク環境におけるシステム方式の選択
  3. 労務管理ツールの検討
  4. コミュニケーションツールの検討(会議システム、ビジネスチャット、データ共有ツール、グループウェア等)
  5. セキュリティ対策

    1. ルールによるセキュリティ対策(セキュリティポリシーの策定等)
    2. 技術的なセキュリティ対策(アクセス管理・制限、暗号化管理、ウィルス対策、ネットワークのセキュリティ対策等)
    3. 物理的なセキュリティ対策(入退出管理、施錠棚等)
    4. 実施の観点

      経営企画部門や人事・総務部門が中心となるテレワーク実施の観点では、テレワークを導入する上で用意するべき体制や理解を得る方法と、その後普及させていくために必要な体制を整え、実行することがミッションとなります。

      主なタスクとしては下記の3点となります。

      1. 説明会・研修会の実施
      2. テレワークの評価・改善方法の確立
      3. テレワーク導入に役立つ補助金・助成金

        中小企業がテレワークを導入する際に、申請によって得られる国や自治体からの助成金や補助金の制度があります。

        「助成金の概要」や「対象要件」、「補助内容」をチェックして、申請可能な制度がないか確認するとよいでしょう。

        人材確保等支援助成金(テレワークコース)

        テレワーク導入時に申請できる助成金が「人材確保等支援助成金(テレワークコース)」です。対象は、「良質なテレワークを制度として導入・実施することにより、労働者の人材確保や雇用管理改善等の観点から効果をあげた中小企業事業主」となります。

        助成内容は下記の2点です。

        機器等導入助成

        テレワーク実施計画が管轄の労働局より認可を受け、テレワーク実施状況が基準を満たしている場合に支給される助成金です。

        1企業あたり支給対象となる経費の30%が助成金として支給されます。(その他詳細要項あり)

        目標達成助成

        テレワーク制度の整備の結果、評価時の離職率が評価時離職率が30%以下であり、計画時離職率以下の場合に支給される助成金です。

        1企業あたり支給対象となる経費の20%が助成金として支給されます。(その他詳細要項あり)

        IT導入補助金

        テレワークの導入に必要なITツールやソフトウェアといったIT導入の際に申請できる助成金が「IT導入補助金」です。

        中小企業や小規模事業者等が自社の課題やニーズに合ったITツールを導入する経費の一部を補助することで、業務効率化と売上アップをサポートすることを目的としています。補助対象の経費は、ソフトウェアや導入関連費等です。

        申請の条件

        補助金申請の条件は下記4点です。

        • 中小企業。小規模事業者の定義に該当すること。
        • 日本国内で事業を行っていること。
        • 交付申請の直近月において、事業場内最低賃金が地域別最低賃金以上であること。
        • gBizIDプライムを取得していること。

        IT導入補助金の種別

        IT導入補助金は2種類あります。

        A類型

        サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局が定める業務プロセスを保有するソフトウェアを1種類以上導入した際に支給対象となる助成金です。

        助成金額の補助額は30万円?150万円までで、助成率は1/2以内となります。

        B類型

        サービス等生産性向上IT導入支援事業事務局が定める業務プロセスを保有するソフトウェアを4種類以上導入した際に支給対象となる助成金です。

        助成金額の補助額は150万円?450万円までで、助成率は1/2以内となります。

        興味はあるけど、導入のハードルが高い?

        導入・活用が進み、満足度も高い「テレワーク」ですが、導入前の企業にとっては、導入までの手順や全体像がつかみづらく、導入のハードルを高く感じている場合もあるのではないでしょうか?

        そこで働き方改革ラボでは、「テレワーク導入 虎の巻」を作成しました。表面では「導入までの全体像」、裏面では、導入時に重要な3つの観点(「人事・労務の観点」、「ICTの観点」、「実施の観点」)を整理した資料です。是非右のフォームから資料ダウンロードをお申込みください。

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