新型コロナ対策で助成金も!在宅勤務導入のステップを解説

From: 働き方改革ラボ

2020年03月17日 07:00

この記事に書いてあること

日本での新型コロナウイルス感染症の拡大を受けて、企業に勤める人の在宅勤務に注目が集まっています。運用体制が整っておらず、今すぐに実施することは難しくても、導入を検討している企業もあるのではないでしょうか。そこで今回は、在宅勤務の実施を決めたら知っておきたい、導入のステップを解説。中小企業向けに新設されたテレワーク関連の助成金の概要や、在宅で仕事の生産性を落とさないコツについてもお伝えします。

感染症対策としても在宅勤務の導入が急務

在宅勤務とは、オフィス以外の場所で働くテレワークのひとつで、従業員が自宅で仕事をすることです。生産性向上や通勤が困難な人材の確保、また災害などの非常時でも業務を続行できるBCP(事業継続計画)対策の面でもメリットがあり、導入する企業が増えています。

2020年に入ってからは新型コロナウイルス感染症の症例が日本で増加していることを受けて、在宅勤務の必要性がさらに注目されています。人が集まることを避けるために、政府が企業にテレワークや時差出勤を推奨。これまで在宅勤務を積極的に進めていなかった企業の間でも、リスクを抑える観点から、社員に在宅勤務を促す動きが出ています。

中小企業対象のテレワーク助成金が新設

政府は2020年3月3日に、新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークに関する助成金の特例を発表しました。2019年度の時間外労働等改善助成金のテレワークコースと職場意識改善コースの受付はすでに終了していましたが、特例コースを新たに設定。要件を簡素化した上で、申請受付を開始しました。

特例コースの内容は次のふたつ。どちらも事業実施期間は、2020年2月17日~5月31日です。

テレワークの特例コース

■対象事業主:新型コロナウイルス感染症対策としてテレワークを新規で導入する中小企業事業主
■助成対象の取り組み:テレワーク用通信機器の導入・運用、就業規則・労使協定等の作成・変更など
■要件:事業実施期間中にテレワークを実施した労働者が1人以上いること
■支給額:費用の1/2を助成(上限額は100万円)

職場意識改善の特例コース

■対象事業主:新型コロナウイルス感染症対策として休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主
■助成対象の取り組み: 労務管理担当者に対する研修 、 労働者に対する研修、周知・啓発など
■要件:事業実施期間中に新型コロナウイルスの対応として労働者が利用できる特別休暇の規定を整備すること
■支給額:費用の3/4を助成(事業規模30名以下かつ労働能率の増進に資する設備・機器等の経費が30万円を超える場合は、費用の4/5を助成。上限額は50万円)

特例コースの新設は3月3日に発表されましたが、厚生労働大臣が会見でテレワーク等の推進を呼びかけた2月17日以降に行った取り組みであれば、助成の対象となることが話題になっています。大企業と比較すると、テレワークを進める環境が整っていないことが多い中小企業。導入費用を理由に推進をストップしている企業は、助成金の活用を検討しましょう。

厚生労働省からの発表はこちら

在宅勤務の心配ごとは?

新型コロナウイルス感染症の問題を受けて、この機会に初めて在宅勤務をする人も多くなっています。これまでオフィスでの勤務しか経験がなかった人たちの間では、在宅勤務に対する不安の声もあがっています。

「会社の情報への安全なアクセス方法や、インターネットへの接続方法を確認したい」、「在宅勤務中のセキュリティ対策は大丈夫?」、「コミュニケーション手段は確保できる?」「始業・終業の報告はどうする?」など、業務の進め方やリスク対策に関して情報を求める声が多く聞かれます。急に在宅勤務を行うことになった従業員たちが安心して自宅で仕事ができるように、時間がない中でも、しっかりと導入までの準備を進めることが大切です。

在宅勤務導入のステップをチェック

では次から、在宅勤務を導入するためのステップを確認していきましょう。

在宅勤務のルール作り

安全で生産性の高い在宅勤務を行うために、在宅勤務に関するルール作りを行いましょう。まずは、在宅勤務の対象者や対象業務、実施する頻度や日数を定めます。裁量労働制をとるのか労働時間を定めるのかといった決まりや、出退勤の報告方法など業務上のルール、使用可能ツールなどを決めて、社員に周知します。在宅勤務を長期的に導入するケースは、人事評価制度の見直しも必要です。

ICT環境の整備

在宅勤務実施に欠かせないのが、ICT環境の整備です。まずは、在宅勤務中に使用する端末とネットワーク環境を確保しましょう。社員の私物のパソコンやスマホを使用するのか、会社貸与のノートパソコンを使用するのか決定します。私物の端末を使う場合は、会社が用意する専用システムにアクセスして作業を行います。在宅勤務中に使用する、安全が確保されたインターネット回線も準備しましょう。

従業員の勤務状況を把握するための勤怠管理ツールやプレゼンス管理ツールも必要です。在宅勤務中の社員の仕事ぶりを可視化するために、予定や仕事の状況を確認できる業務管理ツールの導入もおすすめです。

コミュニケーション手段の確保

在宅勤務中でもスムーズかつ効率的に連絡がとれるように、各種コミュニケーションツールを導入しましょう。携帯電話や固定電話は、オフィスにいる社員や取引先と連絡する手段として必須です。インターネットで通話できるアプリは、固定電話の代わりとして使えます。

顔を合わせて資料も投影しながらミーティングができるウェブ会議ツールは、実物や情報を確認しながらの打ち合わせに便利です。また、グループでのスピーディな連携に便利なチャットツールの導入もおすすめ。

セキュリティ対策

在宅勤務や自宅以外の場所でのテレワークは、重要なデータの物理的な紛失やウイルス感染による情報漏洩など、セキュリティ上のリスクにさらされる機会が増えます。まずは、在宅勤務を想定したセキュリティ上のガイドラインを作り、資料やデータの持ち出しや、管理方法について定めましょう。同時に、ウイルス対策ソフトの導入や情報の暗号化などの技術的なセキュリティ対策も必須です。

在宅勤務する個人に必要なものは?

では、実際に在宅勤務をする人は、どんなものを準備すればいいのでしょうか。在宅勤務に最低限必要なのは、ノートパソコンやデスクトップなどの業務用パソコンと、コミュニケーションに必要なツールです。主な備品は次のとおり。

・業務用パソコン
・マウスなどパソコン周辺の備品
・電話、インターネット通話ツール
・モバイルルーター(スマホのテザリング機能でも可)
・筆記用具やファイルなどの文具
・WEBカメラ(パソコン内蔵カメラでも可)

紙の資料や本を仕事で多く使う人は、それらを整理する棚など収納用品もあるとより便利です。また、自宅外で仕事をする可能性のある人は、パソコンのディスプレイに貼ることで別確度から画面を見えなくする、のぞき見防止フィルターを使いましょう。第三者の目視による情報漏洩のリスクを減らせます。

在宅勤務で生産性を落とさないポイント

在宅勤務を始める人の中には、自宅でちゃんと仕事ができるのか心配している人も多いのはないでしょうか。生活をする自宅というスペースでも集中して仕事をするためには、適切な準備やコツが必要です。そのポイントをお伝えします。

外に出なくても服は着替える

オンとオフの切り替えをはっきりさせるためにも、仕事を始める前に、寝間着や部屋着から外に出られる服装に着替えましょう。生活の延長というルーズな気分のまま仕事を始めると集中できません。急に動画でのウェブ会議をしなければならないケースもあるため、自宅での仕事中は、人と顔を合わせられる程度の身だしなみを整えておくのが大切です。

仕事用スペースを整える

自宅で仕事に集中できる作業用のスペースを確保しましょう。机と椅子を用意して、オフィスと同じようなスタイルで働ける環境を確保するとベストです。姿勢が悪い状態でパソコンを開かなければならないような場所は避けましょう。資料や使う文具も近くに用意して、整理整頓した働きやすいスペースを作ります。暗い環境は、目に負担をかけて疲労の原因になるため、明るい場所で仕事をしましょう。

会議参加や報告など積極的なコミュニケーションを

自宅で仕事をしていると、周りに人がいない環境でダラダラと過ごしてしまいがちです。また、ひとりで働くことが、孤立感につながることも。特に、連携が必要な業務に携わる人は、仕事の生産性を下げないためにウェブ会議に積極的に参加しましょう。コミュニケーションツールも活用して、上司や同僚に、こまめに仕事の進捗報告を行って、情報共有することも大切です。

スピーカーをオンにするなど気が緩まない工夫も

一緒に働く人が周囲にいないことで、気が緩んで仕事の生産性が落ちてしまうことも。その防止策として、ウェブ会議ツールを使ってチームのメンバーが同じ場所にいるような環境を作ることもひとつの方法です。集中して作業を行う時間以外は、ウェブ会議ツールのスピーカーをオンにしておけば、お互いにいつでも声をかけられる状態にできます。仕事の緊張感をキープするためにも有効です。

「すぐにやる」からこそ導入ステップが大切

社員への持ち出しできるノートパソコンやスマホの貸与が一般的になったため、在宅勤務は「とりあえず」でも導入ができます。ただ、ルール決めや、スムーズな業務のための準備をしておかなければ、トラブルや非効率を生むことも。緊急事態で導入を決めたとしても、在宅勤務でも社員がしっかり仕事の成果を出せれば、今後のさらなる活用につなげることも可能です。手順やコツをおさえて、丁寧に導入を進めましょう。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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