在宅勤務を実施してわかったメリット・デメリット/リコージャパン株式会社

From: 働き方改革ラボ

2020年06月12日 07:00

この記事に書いてあること

新型コロナウィルス感染症の流行を受け、感染症対策として多くの企業でテレワークの導入が増えています。リコージャパン株式会社では、以前から「働き方変革」の一環として在宅勤務ができる環境整備を整えていましたが、4月の緊急事態宣言を受け、スタッフの原則在宅勤務の取り組みを進めました。

今回は全員が在宅勤務となった本部スタッフの部門で行ったアンケートから、在宅勤務を行ったことでわかったメリット・デメリットについてお伝えします。

リコージャパン株式会社とは

リコーグループの国内販売会社として、リコー製品やICTソリューションの販売、保守サービスを担当。社員数は18,240人。全都道府県に支社を置き、全国に354の拠点を配する。(数字はともに2019年4月1日時点)

アンケート概要

・4月の新型コロナ対応特別体制下での在宅勤務実施に関するアンケート
・回答者 リコージャパン株式会社 本部スタッフ部門勤務社員
     対象部署内 64人中62人
・実施期間 2020年4月27日-5月1日 
・複数回答可能な設問については、合計は100%になりません

在宅勤務の環境

リコージャパン株式会社では、在宅業務をする上での環境は以下となっています。

・自宅から社内ネットワークへ接続可能
・ワークフローについてはほぼ電子化
・グループウェアMicrosoft 365 が導入されており、Teams を活用することで在宅でもチームでの作業が可能
・勤怠管理ツール導入済
※緊急事態宣言下での対応は、通常の在宅勤務の規定と変更になっている点があります。

アンケート結果

在宅勤務を実施してから仕事の効率はどうなった?

「上がった」が3割、「変わらない」と答えた人が半数以上。在宅でも出社と変わらず、もしくは効率良く業務できていると感じている人が多い。

効率上がった・下がった その理由

効率が上がった理由は?

・集中できる (70%)
・移動時間なし (35%)
・通勤負担なし、ストレス軽減 (20%)
・会議開催の準備軽減 (15%)
・グループウェアで情報共有の効率向上 (5%)

上がったと回答した人の7割が静かな環境で集中できることを挙げています。これは電話の取次ぎや、作業中に話しかけられることによる作業の断絶が無いことが大きかったようです。会議については、移動時間が無くなり遠方とのやり取りが頻繁にできるようになった・予定調整がしやすくなった・会議室の広さや空き状況に左右されなくて良い、などの回答がありました。他に、通勤しないことでのストレス軽減を効率アップに転化できているという回答もありました。

効率が下がった理由は?

・コミュニケーションがとりづらい、時間がかかる (50%)
・子供のケアに負荷がかかる (20%)
・PC画面は紙の視認性に劣る (20%)
・会社と同じ環境が作れず作業しづらい (20%)
・メール増加 (10%)
・遠隔での会議過多 (10%)

半数が「コミュニケーションがネックで効率が下がっている」という回答でした。些細なやり取りがしづらいことや相手の顔色や反応が見えづらいことが要因となっている模様。緊急事態宣言下では、通常の規定では不可となっている「子供が自宅にいる中での業務」ということもあり、断続勤務※3やシフト勤務※4が認められているものの、子供へのケアに負荷がかかるという回答がありました。また、オフィス環境とは異なり、プリンターや増設ディスプレイが無いなどで環境要因で仕事がしづらいという回答もありました。

※3 断続勤務…育児/介護で業務を一時的に中断する場合もあるものとし、育児/介護で完全に業務を離れる場合は「断続勤務」として勤務を行うことが可能
※4 シフト勤務…7:00-20:00の間で7.5時間勤務することを可とするもの

効率を上げる、もしくは下げないために工夫していることや実施していること

・自己管理強化・仕事の進め方を工夫 (31%)
・グループウェア通話や電話での積極対話・活用 (22%)
・環境整備・工夫 (14%)
・定期的に体を動かしたり気分転換 (14%)
・チャット等の活用でコミュニケーションUP (8%)

在宅勤務に合わせた仕事の進め方や自己マネジメントを工夫することで効率の維持向上を図る努力をしているという回答が多くありました。グループウェアを活用した通話や電話を組み合わせて対話をしたり、チャットで些細なやり取りを交わすなど、ツールをうまく活用してコミュニケーションを図ることに務めているという回答も。効率を上げる工夫としては様々なものが上がっていたので、個別にご紹介します。

自己管理強化・仕事の進め方を工夫例

・細かいことでも数日間のやることリストを書き出し、気づいたら追加する。常にやり残しのないよう進めるようにしている。
・集中力が切れないように、1日にやらなければいけない作業の一つ一つの作業時間を短めに設定して、ローテーションを組んでやるようにしている。
・Web会議の打ち合わせの前に使う資料を事前準備や事前共有しておき、資料投影や共有に時間をかけないこと、また、資料は極力横型のフォーマットで作成すること。

環境整備・工夫例

・仕事中は身の回りに業務に関係の無いものを置かない。
・ずっと座りっぱなしにならないように作業場所を変更してみたり、適度にストレッチをしています。
・気分転換用に自宅用のコーヒーサーバーを設置しました。

自由な時間は増えた?減った?

自由時間が増えた理由

・通勤時間短縮 (97.6%)
・会社の休み時間有効利用 (2.4%)

通勤時間がなくなったことが自由時間の拡大に直結しています。

自由時間が減った理由

・家事や子供のケアなどの負担時間が増えた (57.1%)
・仕事と家事の隙間時間がなくなり、自分の時間がなくなった (28.6%)
・疲労がひどく、自由時間を活発に利用できなくなった (14.3%)
・仕事が増えたため (14.3%)

緊急事態宣言下では子供が常に自宅にいることでケアが増えたという家庭も。また、テレワークでのやりとりで神経を使い、疲労を蓄積させる方がいることも注意すべき点と言えます。

在宅勤務を実施して良かった点

・通勤時間なし、ストレス回避 (39.7%)
・自由な時間の確保、健康な生活・規則正しい生活ができる (32.8%)
・家事や家族との時間確保 (24.1%)
・業務に集中できる (20.7%)
・コロナ感染回避での安心感 (17.2%)
・仕事の効率化 (10.3%)
・社内インフラが在宅で問題なく利用できることを確認できた (6.9%)

その他意見

外部との会議でもWeb会議が可能なのを確認できた/パソコンの持ち運びが無くなりなり体への負担軽減 /朝礼や会議でメモをとったり、その場で調べることができ、理解が深まるようになった/子供の休校に対応して、特別有給など会社が迅速に体制を整えてくれたので助かった/今までのペーパーレスやフリーアドレスの取り組みが、こんな時に役に立つという事が実感できた、など。

通勤時間がなく、ストレス回避と自由時間が確保されて、家族との時間を確保出来るなど、ワークライフバランスが改善されている点は大きく評価されていました。また、在宅環境は業務に集中しやすく、それを支えるツールをうまく活用することで業務効率が上がったことが良い点としてあげられています。本質としてのコロナ感染不安が解消され、安心して仕事ができる点も評価されています。

在宅勤務を実施して悪かった点、困っている点

・運動不足や首・肩・腰の不良になりがち (29.5%)
・情報伝達がしづらい、時間がかかる (27.3%)
・家庭の仕事環境が十分でなく、仕事がしづらい (11.4%)
・光熱費や生活消耗品の過剰消費が不安 (9.1%)
・些細な情報(会話・電話の漏れ聞こえや立ち話、雑談)が全く入ってこないので情報に疎くなる懸念あり (9.1%)
・集中しすぎることでのストレスの蓄積/メリハリがつけづらい (6.8%)
・子供の面倒と在宅の両立が難しい場合がある(教育上も悪影響の懸念) (6.8%)
・コミュニケーション不足 (6.8%)

その他意見

顔色を見ながら実施するような打ち合わせはWeb会議では難しい/残業=ダラけやサボりと捉えられる懸念あり/新任にはいきなりテレワークは厳しい/長時間のWeb会議や勉強会はやりづらい、など。

運動不足や、首・肩・腰の痛みや精神的な疲れの蓄積など、連続して在宅をし続けることでの、心身への影響が懸念されています。また、ツールを駆使するものの、情報伝達やコミュニケーション、情報入手が十分できないと感じる部分もあり、不安や不満もある模様。その他、会社との環境の違いから仕事がしづらいことも挙げられています。

これからの働き方を考えるチャンス

これまでの働き方・生活様式を大きく変えた緊急事態宣言。通勤時間の削減等で自由な時間が増えたという一面があった一方で、運動不足が発生し体に負担が発生することも。短期間の準備で在宅勤務を開始した社員にとっては、慣れない環境に不便を感じることもあったようです。

状況が刻々と変わっていく中、リコージャパン株式会社では様々な勤務管理規定の改定が行われ、ガイドラインとともに、社内に発信を行いました。このアンケートは4月末に行われたものですが、ここで不便・不満と挙がっていたことも、実際の働き方に合わせて既に改善されていたり、改善が進んでいることもあります。

緊急事態宣言は解除されても、これまでと同じ働き方はできないと感じている方も多いでしょう。今回のアンケートではテレワークで仕事の効率が上がったという回答が多くありました。不便と感じることを改善することで、更なる効率化や生産性の向上が見込めます。「新しい生活様式」への対応を、新しい働き方へ変えるチャンスと捉え、変革を進めてみてはいかがでしょうか。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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