テレワーク時代のOJTとは?新入社員育成成功事例も紹介

From: 働き方改革ラボ

2021年10月19日 07:00

この記事に書いてあること

2020年4月の緊急事態宣言によって広がったテレワークが、定着しつつあります。そんな中、普段の業務だけでなく、リモートでの新卒採用やOJT研修を行い成功している事例も出ています。しかし実際は、テレワークでOJTを進めることにまだ不安を感じている人も多いのではないでしょうか。そこでこのコラムでは、テレワークで行うOJTの成功のポイントを解説。企業の成功事例や、リモートでのOJTや研修に役立つツールもご紹介します。

フルリモート時代のOJTとは?

OJTとはOn the Job Trainingの略で、新入社員や若手社員に対して、上司や先輩が実際の仕事を通じて教育を行って人材を育成する方法です。テレワークが定着する中で、OJTや研修もリモートで行う必要性が高まっています。

オンラインでの新人教育を行う際は、実際に顔を合わせて話をしたり、取引先訪問に同行したりといった対面での指導の機会が減ります。そのため、トレーナーが自分の仕事ぶりを見せて教えることや、新入社員の状況や育成の度合いを把握するのが難しくなります。人となりを知るための雑談や、表情から様子を読み取ってフォローをするなど細かいケアがしにくいため、新人とトレーナーの信頼関係が築きにくいという課題もあります。

ただ、ポイントを押さえて進めれば、テレワークでもOJTは可能です。また工夫次第では、効率的で、成果につながる育成をすることができます。フルリモート時代においても新人を育て、さらには人材を定着させるために、テレワークのOJTの課題とその解決策を知ることが大切です。

テレワークでのOJTを成功させるポイント

では、テレワークでのOJTを成功させるためには何が必要なのでしょうか。主なポイントを解説します。

ツールを活用して定期的なコミュニケーションを実施

テレワークでのOJTにおいては、他のリモートで進める業務と同様に、コミュニケーションが重要です。Web会議ツールやチャットツールを活用して、対面時以上に密なコミュニケーションを行うように意識しましょう。毎日、仕事の終わりに、課題の達成率や業務の進捗を報告する時間を設けたり、ミーティングの時間や曜日を決めたりと、定期的に話をする場を作ることも有効です。OJT担当者は新人の不安を解消するために、雑談や私生活の悩みなど、業務以外の会話も積極的に行うことが大切です。

オンラインコミュニケーションツールを使えば、画面共有でさまざまな資料を見ながら話ができたり、取引先との打ち合わせに新人を同席させやすくなったりと、対面での指導にはないメリットを受けることもできます。

オンラインでのコミュニケーションでは、対面時以上に、目標を共有して共に歩むスタンスを持つことが重要です。一緒に目標を設定したり、学んだことをふまえて仕事の手順書を新人主体で作ったりすることで、新入社員が、OJT担当者への信頼感と安心感を持って成長へと進んでいくことができます。

ステップアップ可能な課題を定期的に設定

オンラインでのOJTは、新人の課題をできるだけ細かく設定することも大切です。テレワーク中は対面時に比べて、新人の状況を細かく観察することが困難です。仕事の進め方や習得レベルをこまめにチェックするためにも、課題はコンスタントに設けましょう

ハードルが高すぎる課題ではなく、新人の現在のレベルに合った現実的な課題を課すことも重要です。課題の達成を重ねることで、成功体験を得てモチベーションが高まります。在宅勤務中で新人ができる仕事が少ない状況でも、自宅でできる課題やワークを与えましょう。

課題は、クリアするごとに難易度を上げていきます。課題に取り組んだ過程や、成果を褒めることも大切です。新人は先輩からの評価を通じて自信をつけながら学び、着実にステップアップすることができます。

課題の進捗とフィードバックを重視

与えた課題に対する進捗の確認と、フィードバックも重要です。テレワーク中は、OJT担当が新人と共に行動をしてサポートや助言をすることが難しくなります。そのためテレワークでのOJTは、新人が自ら考えて動く姿勢を養うことが求められます。

新人に課した課題や、新人の仕事に対しては、必ず毎回フィードバックを行いましょう。上司や先輩からの評価やアドバイスを頻繁に受けることで、新人は自分の仕事の進め方を自ら見直し、考えて修正していくことができます。

課題を与えたままでフィードバックを行わないことは、モチベーションの低下をうながします。自分を見てくれているという安心感を失うことにもつながるため注意しましょう。

録画・録音機能を活用して進捗をチェック

テレワークでのOJTでは、オンラインならではのツールを指導に活かすこともできます。Web会議ツールを使って行った新人とOJT担当者とのミーティングやトレーニングの内容を、録画・録音して、一緒に振り返ることが可能です。トレーニング内容の復習や、課題の進捗状況の記録をすることもできます。

OJT担当者側も、録画した動画を見直すことで、トレーニングや声のかけ方が適切であったかを振り返り、次の指導に活かすことができます。OJTの取り組みの効果を測り、フルリモート時代のOJTノウハウを蓄積していくためにも、録画機能の活用は有効です。

テレワークでのOJTに有効なツール

コミュニケーションや、課題に対するフィードバックが対面時以上に求められるテレワークでのOJT。そんなリモートならではのケアが大切なOJTをサポートするツールをご紹介します。

shouin+

shouin+?は、OJTや研修業務を効率化するクラウドサービス。新人がスマートフォンで資料や動画を使ってトレーニングができる学習コンテンツや、従業員のスキルチェック、また拠点ごとのトレーニング状況をグラフで可視化する機能など、オンラインでの育成をサポートする機能が充実しています。

報告や評価がクラウド上で行える日報や、仕事ぶりを動画で撮影して上司に報告し、習得状況をフィードバックできる機能も。ゲーム感覚でクイズに挑戦しながらトレーニング内容をおさらいすることもできるため、テレワーク中の新人の時間を有効活用できます。

gamba!

gamba!は、パソコンやスマートフォンを使ってグループに投稿することで日報をメンバーに共有できるSNSアプリです。営業日報やミーティングなど、投稿したい内容に応じたテンプレートが用意されているため日報作成がスムーズ。ファイルや写真、動画も添付ができ、詳細な報告をすることができます。

目標達成度合いをグラフ化できる機能もあるため、目標を意識した業務の遂行にも役立ちます。日報に対するコメントやアドバイスもアプリ上で簡単に行えるため、OJTだけでなく、グループ内でのコミュニケーション活性化にもつながります。

OJT Builder

OJT Builderは、OJT担当者を育成する研修と、オンラインでのOJT運用をサポートする育成支援システムをセットにしたサービスです。まずは、対面やオンラインによる研修で、上司や先輩がリモートでのマネジメントの考え方や手法を習得。そのスキルを活かして、テレワークでのOJTを実践します。育成支援システムの日報機能によって、学習状況や新人の課題、体調などをチェックしながら、OJTを有効に進めることができます。

ひとりひとりに応じた目標設定と進捗の把握ができる目標管理など、機能をアレンジすることも可能。研修とシステムの活用によって、成果につながるリモートマネジメントを体系化できます。

テレワークでのOJT成功事例

次に、テレワークでのOJTに成功している企業の事例をご紹介します。

3種類の定例ミーティングで新人を即戦力化

ZOZOTOWNなどの技術開発・デザインなどを行う株式会社ZOZOテクノロジーズは、コロナ禍に入る前から、新入社員とのコミュニケーションを増やすための取り組みを実行。新入社員の心理的安全性を高めるため、メンター制度に加えて、メンバーの要望や悩みを解決する場である2週間の1度、30分の1on1ミーティング、振り返りのフレームワークを導入した月1回2時間のチームミーティング、週1回50分のチームでの定例ミーティングを行ってきました。

オンライン飲み会も実施し、メンター以外のチームメンバーにも気軽に相談ができる環境作りを推進。新入社員はメンターと他のメンバーからのサポートを受け、入社から数ヵ月で、配属先で即戦力として活躍できるまでに育っています。

メンター×管理職の体制で新人を育成

企業のデジタルマーケティングを支援する株式会社メンバーズは、2020年4月から全社一斉で原則的な在宅勤務を導入。4月に入社した約240人の新入社員は、Web会議ツールでオンライン研修を受講しました。

5月の配属後には、部署ごとに作成した新入社員教育プログラムに従って、メンターと部署のマネージャーのフォローのもと新入社員を育成。新入社員の課題や相談したい内容に応じて、新人とメンターの1on1、マネージャーを含む3名、マネージャーとメンターの1on1というように参加メンバーを変えてオンラインでのトレーニングを実施しました。メンターが新入社員の悩みをマネージャーに報告し、各部署が適切な対応を行うなど、新人の不安を解消する取り組みも実施。新入社員全員が在宅勤務をして9ヵ月が経った時点で、各部署での仕事は滞りなく進み、退職者1人という低い離職率にもつながりました。

オンライン交流アプリの活用で会社とのつながりを醸成

モバイルコンテンツの提供などを行う株式会社サイバードでは、緊急事態宣言を受けてテレワーク中心の働き方に移行。社員間や、新入社員と既存社員の交流を促すために、オンライン交流アプリを導入しました。

テレワークに移る前に行われていたクリスマスパーティーやゲーム大会などのイベントに変わる交流の場として、オンライン上で、ワークショップや、メンバーの考えを知るためのプログラムを実施。共にプログラムを行うことで会話が生まれ、仕事ではやりとりのない社員間でのコミュニケーションも促進されました。今後もアプリを活かしながら、新入社員や中途入社社員との関係性を深めていく予定です。

テレワークでも人は育つ!オンラインならではのOJTを進めよう

テレワークではOJTは難しいと諦めていませんか?必要な準備とテレワークならではの工夫を行えば、オンラインでも信頼関係の構築や人材の育成は可能です。自社に合ったツールやルール作りを進めて、テレワークのOJTを成功させましょう。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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