タニタが取り組む「日本活性化プロジェクト」とは

From: 働き方改革ラボ

2021年01月15日 07:00

この記事に書いてあること

株式会社タニタが2017年から取り組んでいる「日本活性化プロジェクト」。希望する社員を「雇用」から「個人事業主(フリーランス)」との業務委託に切り替えるという取り組みです。新たな働き方の一例として、その内容をご紹介します。

導入までの取り組みを伺ったインタビューはこちらからご覧ください
株式会社タニタ 社員の個人事業主化への道のり
前編  日本活性化プロジェクトの軌跡
後編 日本活性化プロジェクトに学ぶ働き方のヒント?

日本活性化プロジェクトとは?

社員を対象に雇用関係から「個人事業主(フリーランス)」との業務委託契約に転換する取り組み。希望する社員は誰でも手を挙げることができ、会社と合意に至れば個人事業主として独立し、会社から業務を受託して働くという仕組みです。

プロジェクトの背景

過労死を招くような長時間労働はなくすべきですが、残業を減らすことのみにフォーカスした「働き方改革」では、少子高齢化で労働人口が減少している日本において、全体としての生産性を減らしてしまい経済全体の衰退を招きかねません。

そうではなく、一人ひとりが仕事に対して、やりがいを感じて主体性を持つことで、労働生産性が上がり、かつ自分がやりたいことをできることで心身ともに健やかに働ける。それこそが会社が目指す「健康経営」にも繋がると考え、プロジェクトを進めています。

取り組みへの想い

業務委託の契約ベースで仕事をすることにより、会社からの「やらされ仕事」ではなく「自分の仕事をする」という”主体性”を生みだすことで、個人がライフステージやライフスタイルに合わせた働き方を選択できるようになってほしいと考えています。

また、個人が独立し、それぞれが経営者の視点で物事を考えられるようになり、会社と対等な関係で長く付き合っていける状態を作り上げることも狙いです。

メリット・デメリット

個人のメリット・デメリット

<メリット>
・手取り収入が増える可能性が高い。
・幅広い仕事を経験することで、スキルの向上や能力開発に繋がる。
・業務委託契約は毎年見直すので、仕事の内容や分量を変えることができる。
・働く時間や場所を自分で決められる。行動の自由度が上がる。

<デメリット>
・収入の安定が確保されない。
・確定申告の手間がかかる。
・自己コントロール力やライフプランニングの能力が問われる。

企業のメリット・デメリット

<メリット>
・定年までの保障がなくなるので、働く人の「主体性」に磨きがかかり、緊張感を持って仕事をしてもらえる。
・「頑張った分だけ報われる」と感じもらえれば、個人の利益と会社の利益が一致し、シナジー効果が期待できる。
・個人が社内外の仕事を新たに請け負うことによってスキル向上や人脈の広がりが期待でき、それが会社にもプラスの効果をもたらす。
・自由度の高さに惹かれて、優秀な人材が集まることが期待できる。

<デメリット>
・個人事業主として他社の仕事をすることを止められない。

業務委託契約(標準形)

移行初年度の契約内容

社員が活性化プロジェクトメンバーになる場合、退職して会社と業務委託契約を締結。その際、メンバーになる直前まで社員として取り組んでいた基本的な仕事を「基本業務」、その枠に収まらない仕事を「追加業務」として委託業務を決定します。

報酬

「基本業務」に対する「基本報酬」(固定)と、「追加業務」に対する「成果報酬」(変動)に分かれます。「基本報酬」は社員時代の給与・賞与などをベースに決定し、基本業務以外の成果に対する報酬は別途「成果報酬」を支払う仕組みとなっています。

契約期間

複数年契約(タニタの場合は3年契約)の1年更新で、安定性を確保。直近1年間の業務成果に基づき、次の契約期間と業務内容・報酬額を、協議・調整する。更新しないこととなっても、残り2年の契約が存続する。そうすることで、個人にとっては急激な収入減を回避でき、会社にとっては業務が中断してしまうリスクを回避できます。

「日本活性化プロジェクト」の現状

プロジェクトメンバーの推移

2017年に8名の希望者でスタート。2021年で5期目となり、社員から転じたメンバーは30名を超えました。

1期メンバーの経済効果検証

1期メンバーの手取り現金は、平均で28.6%(最小16.3%?最大68.5%)増加。
1期メンバーに対する会社の負担総額は1.4%の増加。

タニタ共栄会

プロジェクトメンバー全員で構成する相互扶助の団体として設立。運営資金はメンバーの会費から。共栄会の会員になることで、「会社の施設・備品等の利用可能」「会社の各種イベントに、社員と同様に参加可能」「確定申告について、税理士法人のサポートを受けられる」というメリットを享受できます。プロジェクトメンバーが抱える「ローン」問題をはじめとした、個人事業主の社会的信用度を担保する取り組みも検討中です。

これからの働き方を考えよう

株式会社タニタで行われている「日本活性化プロジェクト」の内容について解説しました。新しく、魅力的な取り組みでしたね。この「日本活性化プロジェクト」について、「働き方改革ラボ」では担当者の二瓶さんにインタビューを行い、導入時の苦労や進めていく上での工夫など、生の声をいただきました。以下のリンクより、是非ご覧ください。

株式会社タニタ 社員の個人事業主化への道のり
前編  日本活性化プロジェクトの軌跡
後編 日本活性化プロジェクトに学ぶ働き方のヒント?

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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