労働環境改善をサポート!働き方改革関連の助成金を紹介

From: 働き方改革ラボ

2020年04月14日 07:00

この記事に書いてあること

働き方改革の必要性を感じていても、資金に余裕がないため進められないという中小企業も多いのではないでしょうか。その中で、2020年4月からは中小企業に対しても時間外労働の上限規制がスタート。働き方の転換が急がれています。対策が進んでいない企業におすすめなのが、労働環境改善や人材に関する助成金の活用です。今回は、働き方改革を支える助成金について、その内容や申請期間、受領条件についてお伝えします。

こんなにある!働き方改革を支援する助成金

政府や自治体は、働き方の変革や多様な人材の活用を推進する目的で、各種の助成金を定めています。労働環境の改善を積極的に進める企業を、費用の補助で支援する仕組みがあります。ただ、意外と知られていない制度もあるのが現状。大企業と比べて、働き方改革に資金を投入しづらい中小企業でも、これらの支援制度を活用することで、働き方改革を推進することができます。

では次から、働き方改革に関連する主要な助成金について、紹介していきます。

時間外労働等改善助成金

時間外労働等改善助成金は、中小企業や小規模事業者向けの制度です。労働時間の削減など、労働環境の改善に積極的に取り組む事業主に対して助成金が支払われます。2019年度は、時間外労働上限設定コース、勤務間インターバル導入コース、職場意識改善コース、団体推進コース、テレワークコースの5つのコースが設定されましたが、2019年度分の受付は終了。現在は、新型コロナウイルス感染症対策として、次の2つのコースが時限的に設けられています。

新型コロナウイルス感染症対策のためのテレワークコース

新型コロナウイルス感染症対策として、テレワークを新規導入する中小企業を支援するコース。2020年2月17日から5月31日の間に、テレワーク用通信機器の導入・運用、就業規則・労使協定等の作成・変更、労務管理担当者に対する研修、労働者に対する研修、周知・啓発、外部専門家によるコンサルティングなどの取り組みを実施して、1人以上の労働者がテレワークを行えば、上限額100万円としてその費用の1/2が助成されます。交付申請の締め切りは5月29日。

職場意識改善特例コース

新型コロナウイルス感染症対策として、従業員の休暇の取得促進に向けた環境整備に取り組む中小企業事業主を支援するコースです。助成の条件は、特別休暇の規定を新たに整備すること。労務管理担当者に対する研修、労働者に対する研修、周知・啓発、外部専門家によるコンサルティング、就業規則等の作成・変更、労務管理用ソフトウェアの導入・更新などの取り組みが助成の対象です。事業実施期間は、2020年2月17日~3月25日まで。申請締め切りは3月13日ですが、3月14日以降に交付申請が行われたものに対しては、4月以降に申請開始する「働き方改革推進支援助成金」に従って交付決定が行われる予定です。

2020年度は「働き方改革推進支援助成金」に変更

時間外労働等改善助成金は、2020年4月からは「働き方改革推進支援助成金」に名称が変更される予定。テレワークコース、職場意識改善特例コースなど、働き方を改善する各種取り組みへの助成金が設けられ、交付申請受付がスタートする見込みです。

キャリアアップ助成金

非正規雇用労働者の処遇改善や正社員化など、企業内でのキャリアアップを推進する取り組みをする事業主に支給される助成金。支給を受けるには、雇用保険適用事務所の事業主であり、事業所ごとにキャリアアップ管理者を置く、キャリアアップ計画書を作成するなどの条件を満たす必要があります。各コースの概要は、以下のとおりです。

・正社員化コース
有期契約労働者等を、正規雇用労働者に転換、または直接雇用した場合に助成。

・賃金規定等改定コース
すべて、または一部の有期契約労働者等の基本給の賃金規定などを増額改定して、 昇給した場合 に助成。

・健康診断制度コース
有期契約労働者等を対象とする法定外の健康診断制度を新たに規定し、 延べ4人以上実施した場合に助成。

・賃金規定等共通化コース
有期契約労働者等に関して、正規雇用労働者と共通の職務等に応じた賃金規定を作成し、適用した場合に助成。

・諸手当制度共通化コース
有期契約労働者等に関して、 正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設けて、適用した場合に助成。

・選択的適用拡大導入時処遇改善コース
労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置により、有期契約労働者等を新たに被保険者とし、基本給を増額した場合に助成。

・短時間労働者労働時間延長コース
短時間労働者の週所定労働時間を延長して、新たな社会保険を適用した場合に助成。

支給申請期間は、それぞれのコースごとに設定されています。たとえば、正社員化コースの場合、申請は、転換または直接雇用した対象の労働者に対して、正規雇用労働者、無期雇用労働者としての賃金を6か月分支給した日の翌日から起算して、2か月以内に行う必要があります。詳しくは、厚生労働省らが作成したパンフレット「ャリアアップ助成金のご案内」 をご覧ください。

人材開発支援助成金

人材開発支援助成金は、事業主が従業員に専門知識や技能の習得をさせるための職業訓練などを実施した場合に、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部などが助成される制度です。その訓練や、育成の内容に応じた7つのコースが用意されています。

・特定訓練コース
労働生産性の向上に資する訓練、若年者に対する訓練、OJTとOff-JTを組み合わせた訓練など、効果が高い訓練を実施した場合に助成。

・一般訓練コース
特定訓練コース以外の訓練を事業主、もしくは事業主団体等が実施する場合に助成。

・教育訓練休暇付与コース
有給教育訓練休暇制度又は長期教育訓練休暇制度を導入し、労働者がその休暇を取得して訓練を受けた場合に助成。

・特別育成訓練コース
有期契約労働者に対して正社員転換又は処遇改善を目的として、計画に沿って訓練を実施した場合に賃金と訓練にかかった経費の一部を助成。

・建設労働者認定訓練コース
建設関連の訓練を実施した場合、経費や賃金を助成する制度。

・建設労働者技能実習コース
安全衛生法に基づく教習及び技能講習など、建築関連の技能実習を行った場合に助成。

・障害者職業能力開発コース
障害者に対して、職業能力開発訓練事業を実施する場合に助成。

一般訓練コース・特定訓練コースは訓練開始日から起算して1カ月前までに申請が必要。教育訓練休暇付与コースは、制度導入・適用の計画期間の初日から起算して6か月前から1か月前までの間に申請しなければいけません。コースによって申請期限が異なるため、詳しくは厚生労働省の情報ページをご確認ください。

両立支援等助成金

従業員の仕事と家庭の両立や、女性の活躍推進に取り組む企業を支援する制度です。雇用保険適用事業所の事業主ほか、 支給のための調査に協力することなどが対象企業となる条件です。

・出生時両立支援コース(子育てパパ支援助成金)
男性労働者が育児休業や育児目的休暇を取得しやすい職場風土作りに取り組み、育児休業や育児目的休暇を取得した男性労働者が出た場合に事業主に対して助成。

・介護離職防止支援コース
介護支援プランを策定し、プランに基づき労働者の円滑な介護休業の取得・復帰に取り組んだ中小企業または介護のための柔軟な就労形態の制度(介護両立支援制度)を導入し、利用者が出た中小企業に対して助成。

・育児休業等支援コース
中小企業が、策定した育休復帰支援プランをもとに、労働者の円滑な育休取得と職場復帰に取り組んだ場合、育休を取得した人の代替要員を確保して育休取得者を原職復帰させた場合、復帰後に仕事と育児の両立が特に困難な時期の労働者の支援に取り組んだ場合に助成する。

・再雇用者評価処遇コース(カムバック支援助成金)
妊娠、出産、育児、介護、または配偶者の転勤のため退職した人が、働けるようになったときに復職ができる再雇用制度を導入して、実際に希望者を採用した事業主に助成。

そのほか、女性活躍加速化コースや事業所内保育施設コースなど、女性や子育て中の労働者の活躍を促進するコースも設定。申請の期限は、育休の開始日などから起算されるためコースによって異なります。詳しくは、両立支援助成金支給申請の手引きをご確認ください。

65歳超雇用推進助成金

65歳以上の労働者を積極的に活用する企業に支給される助成金です。その内容は、3つのコースに分けられています。

・65歳超継続雇用促進コース
65歳以上への定年引上げ、定年の定めの廃止、希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入のいずれかを実施した企業に助成。

・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース
高年齢者の雇用推進を図るため、雇用管理整備の措置を実施した事業主に対して助成。

・高年齢者無期雇用転換コース
50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用労働者への転換を実施した場合に助成。

支給の申請期限は、65歳超継続雇用促進コースは、定年引上げ等実施後2カ月以内。高年齢者評価制度等雇用管理改善コースは、計画開始の3カ月前の日までに、高年齢者無期雇用転換コースは、計画開始の2カ月前の日までに、計画の申請が必要です。高年齢者評価制度等雇用管理改善コースと高年齢者無期雇用転換コースは、計画の申請と支給の申請がそれぞれ必要なため注意しましょう。

あなたの企業に合った助成金を活用しよう!

生産性向上を進める取り組みだけでなく、非正規雇用の労働者や子育て中・介護中の人材、高齢者など、多様な人材活用を進めることも支援してくれる助成金。さまざまなコースが用意されているので、自社の実情に合った制度を探してみてはいかがでしょうか。まとまった金額が支給される見込みが立てば、新たなチャレンジに踏み出せるかもしれません。積極的に助成金を活用して、労働環境の改善につなげましょう。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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