働き方改革を支援する助成金一覧

From: 働き方改革ラボ

2021年01月07日 07:00

この記事に書いてあること

働き方改革を進めるために活用したいのが、国や公共団体が支給する助成金。条件を満たした上で申請を行い給付が決まれば、テレワークやITツール導入など、労働環境を改善するための費用の面でサポートを得ることができます。今回は、2020年度分として受付がスタートした制度を中心に、働き方改革を進める上で利用したいおすすめの助成金の最新情報を紹介します。

助成金とは?補助金との違いを解説

助成金と補助金、その違いを知っていますか? どちらも費用面で事業をサポートする目的で、返済不要という点は同じです。違うのは、補助金は予算の上限が決まっているため、審査に合格しないと支給されないこと。募集期間も短く助成金に比べて支給を得る難易度が高く、金額も高めです。

一方、助成金は条件を満たした上で申請すれば、原則的に受け取ることができます。募集期間も長めで、通年で申請を受け付けている助成金もあるので、しっかり書類を準備すれば受け取れる可能性が高いです。職場環境向上のための設備にかかる費用や、雇用、人材育成関係の助成金が多く、中小企業にも利用しやすい制度です。

企業の働き方改革を支援する助成金を紹介

では、主に中小企業の働き方改革を支援する助成金について、2020年度の最新情報をお伝えします。

働き方改革推進支援助成金

中小企業の労働時間削減や、生産性向上を推進する目的で整備されている助成金。中小企業や小規模事業者、傘下の企業を支援する事業主が対象です。

労働時間短縮・年休促進支援コース

労働時間の削減や休暇の増加、特別休暇(病気休暇、教育訓練休暇、ボランティア休暇)の増設、賃金引上げといった目的に向けて、以下からひとつ以上の取り組みを実施することが条件です。

1.労務管理担当者に対する研修
2.労働者に対する研修、周知・啓発
3.外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など) によるコンサルティング
4.就業規則・労使協定等の作成・変更
5.人材確保に向けた取り組み
6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7.労務管理用機器の導入・更新
8.デジタル式運行記録計の導入・更新
9.テレワーク用通信機器の導入・更新
10.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

目標達成度合いに応じた額と賃金引上げの加算率から算出される金額の合計額と、取り組みにかかった経費の3/4(労働者数が30名以下かつ支給対象の取り組み6から10を実施する場合で費用が30万円を超える場合は4/5)のうち、低いほうの額が支給されます。申請締め切りは、2020年11月30日(必着)。

勤務間インターバル導入コース

勤務終了後から、次の勤務までに一定の休息時間を設ける「勤務間インターバル」の導入に取り組む企業を対象としたコース。下記のうちひとつ以上の取り組みを実施して、事業実施計画で指定したすべての事業所で、休息時間数9時間以上11時間未満、または11時間以上の勤務間インターバルを導入することを目指します。

1.労務管理担当者に対する研修
2.労働者に対する研修、周知・啓発
3.外部専門家(社会保険労務士、中小企業診断士など)によるコンサルティング
4.就業規則・労使協定等の作成・変更
5.人材確保に向けた取り組み
6.労務管理用ソフトウェアの導入・更新
7.労務管理用機器の導入・更新
8.デジタル式運行記録計の導入・更新
9.テレワーク用通信機器の導入・更新
10.労働能率の増進に資する設備・機器等の導入・更新

取り組みに要した経費の3/4(労働者数が30名以下かつ支給対象の取り組み6から10を実施する場合で費用が30万円を超える場合は4/5)を支給。達成度合いに応じた上限金額があります。なお、賃金引き上げを目標に加えることもでき、賃金引上げ人数に応じた金額の加算も。申請締め切りは、2020年11月30日(月)(必着)。

団体推進コース

中小企業事業主の団体やその連合団体が、傘下の事業主の労働条件改善のために、時間外労働の削減や賃金引上げを目指す取り組みを行う場合、その事業主団体などに対して助成をするコースです。支給対象となる取り組みは次のとおり。

1.市場調査の事業
2.新ビジネスモデル開発、実験の事業
3.材料費、水光熱費、在庫等の費用の低減実験の事業
4.下請取引適正化への理解促進等、労働時間等の設定の改善に向けた取引先等との調整の事業
5.販路の拡大等の実現を図るための展示会開催及び出展の事業
6.好事例の収集、普及啓発の事業
7.セミナーの開催等の事業
8.巡回指導、相談窓口設置等の事業
9.構成事業主が共同で利用する労働能率の増進に資する設備・機器の導入・更新の事業
10.人材確保に向けた取り組みの事業

上記のうちひとつ以上の事業を行い、事業主団体などが事業実施計画で定める時間外労働の削減、または賃金引上げを行い、構成事業主の1/2以上に対してその効果を活用することが目標です。事業の経費の合計額か、総事業費から収入額を控除した額、上限額500万円(都道府県単位または複数の都道府県単位で構成する事業主団体などは1,000万円)のうち、低い額が支給されます。申請締め切りは、2020年11月30日(月)(必着)。

テレワークコース

労働時間の削減や、ワークライフバランス実現のためにテレワークを実施する中小企業が対象。テレワーク用機器の導入・運用や、労務管理担当者や労働者に対する研修、外部専門家によるコンサルティングにかかる費用などが助成の対象です。取り組みにかかった費用の一部が、評価期間中のテレワーク導入の目標達成度合いに応じて支給されます。交付申請期限は、2020年12月1日(火)。

また2020年5月までに実施・交付申請をした中小企業を対象に、新型コロナウイルス感染症対策としてのテレワーク導入を支援するコースも設定されています。支給申請の締め切りは2020年9月30日(水)のため、交付申請をした方は忘れないように気を付けましょう。

なお、新型コロナウイルス感染症対策として、働く人の子どもの休校や病気などを理由にした特別休暇の規定を新設する企業を対象にした「職場意識改善特例コース」も整備されました。こちらは2020年7月に、申請が締め切られています。

業務改善助成金

中小企業の事業場内最低賃金の引き上げを目的とした助成金。 生産性向上のための設備投資などの取り組みを行い、最低賃金を一定額以上引き上げた場合にその費用の一部を助成する制度です。支給の条件は、賃金引き上げ計画を策定して、生産性向上のための設備投資や専門家の助言に基づいた業務フロー見直しを行い、引き上げ後の賃金を労働者に支払うこと。解雇や賃金引下げ等の不交付事由がないこと等の条件や、その他の書類が必要です。

25円コース、30円コース、60円コース、90円コースという引き上げ額に応じたコースによって、助成率や助成上限額が異なります。2020年度分の申請締め切りは2021年1月29日(金)。なお、この助成金は予算の範囲内で交付するため、申請期間内に募集が終了する可能性もあり注意が必要です。

IT導入補助金2020

IT導入補助金は、中小企業のITツール導入による生産性向上や売上アップを支援する制度。IT導入支援事業者のサポートを受けてソフトウェアやサービスを導入した場合、その費用や導入関連費の一部が補助されます。

補助の対象となるのは、業務プロセスを担うツール、自動化・分析、セキュリティなどを担うオプションツール、または導入コンサルティングなどの付帯サービスの3つに分類される、事務局指定のITツール。制度に登録されたIT導入支援事業者に相談して、自社の生産性向上に役立つ適切なツールを選んで申請する必要があります。

通常枠として申請できる類型は、ひとつ以上の業務プロセスを担うソフトウェアを導入する「A類型」、4つ以上の業務プロセスを担うソフトウェアを導入する「B類型」。新型コロナウイルス感染症対策のために前向きな投資を行う事業者向けに、通常枠よりも補助率を引き上げた「特別枠(C類型)」もあります。交付申請期限は、2020年12月下旬までの予定。現在、通常枠は8月31日(月)17時までの7次締め切り分、特別枠は8月31日(月)17時までの6次締め切り分の受付が実施されています。

エイジフレンドリー補助金

エイジフレンドリー補助金は、2020年度に創設された制度。?齢者が安心して働くことができるように、中小企業の安全衛生対策にかかる費用をサポートする補助金です。働く高齢者の身体機能低下を補う設備の導入や安全衛生教育、高齢者の健康や体力の把握など、高齢者のための職場環境改善にかかる費用が対象です。また、新型コロナウイルスの感染防止のために、高齢者と利用者・同僚との接触を減らす対策にかかる費用も補助対象です。補助率は費用の1/2で、上限額は100万円。交付決定には審査があるため、注意しましょう。申請期限は、2020年10月末日。

キャリアアップ助成金

キャリアアップ助成金は、非正規雇用労働者の企業内でのキャリアアップを促進するために、非正規雇用労働者の正社員化や処遇改善に向けた取り組みを行う中小企業をサポートする制度です。次の7つのコースがあります。

・正社員化コース…非正規雇用労働者を正規雇用労働者などに転換、または直接雇用した場合に助成

・賃金規定等改定コース…すべてまたは一部の非正規雇用労働者の基本給の賃金規定等を増額改定した場合に助成。

・健康診断制度コース…非正規雇用労働者を対象とする法定外の健康診断制度を新たに規定し、4人以上に実施した場合に助成。

・賃金規定等共通化コース…非正規雇用労働者について、正規雇用労働者と共通の職務などに応じた賃金規定等を新たに作成して、適用した場合に助成。

・諸手当制度共通化コース…非正規雇用労働者について、正規雇用労働者と共通の諸手当制度を新たに設けて適用した場合に助成。

・選択的適用拡大導入時処遇改善コース…労使合意に基づく社会保険の適用拡大の措置の導入に伴い、その雇用する有期契約労働者等について、働き方の意向を適切に把握し、被用者保険の適用と働き方の見直しに反映させるための取り組みを実施し、新たに被保険者とした事業主に対して助成。

・短時間労働者労働時間延長コース…短時間労働者の週所定労働時間を延長するとともに、処遇の改善を行い、新たに被保険者とした場合に助成。

人材開発支援助成金

事業主が、従業員に専門知識や技能の習得をさせるための職業訓練などを実施した場合、訓練費用や訓練期間中の賃金の一部が助成される制度です。育成の内容に応じた各コースがあります。

・特定訓練コース…労働生産性向上のための訓練、若手人材に対する訓練、OJTとOff-JTを組み合わせた訓練などを実施した場合に助成。

・一般訓練コース…特定訓練コース以外の訓練を実施する場合に助成。

・教育訓練休暇付与コース…有給教育訓練休暇制度または長期教育訓練休暇制度を導入、それを労働者が取得して訓練を受けた場合に助成。

・特別育成訓練コース…有期契約労働者に対して正社員転換又は処遇改善を目的として、計画に沿って訓練を実施した場合に、賃金と訓練にかかった経費の一部を助成。

その他、建設関連の訓練を実施した場合に助成する「建設労働者認定訓練コース」、建設関連の技能実習が対象の「建設労働者技能実習コース」、障害者に対して職業能力開発訓練事業を実施する場合に助成する「障害者職業能力開発コース」も整備されています。

65歳超雇用推進助成金

意欲と能力のある高齢者の活躍を推進するための65歳超雇用推進助成金には、次の3つのコースがあります。

65歳超継続雇用促進コース…65歳以上への定年の引き上げ、定年の廃止、希望者全員を66歳以上の年齢まで雇用する継続雇用制度の導入を実施した企業へ助成。

・高年齢者評価制度等雇用管理改善コース…高年齢者の雇用推進を図るため、雇用管理整備などの措置を実施した事業主に対して、その経費の一部を助成。

・高年齢者無期雇用転換コース…50歳以上かつ定年年齢未満の有期契約労働者を、無期雇用労働者に転換させた場合に助成。

受給額は、定年の引き上げ幅や対象者の人数などによって決定します。詳しくは、厚生労働省による案内資料をご覧ください。

助成金の活用で労働環境改善を進めよう!

生産性を上げる機器の導入やテレワーク推進、ITツールの活用など、さまざまな方法での働き方改革をサポートする制度が用意されています。働きやすい環境を実現するため、今、自社に必要な機器やツールは何かを把握して、適切に活用することが大切です。今年は企業の感染症対策を支援する助成金や補助金も準備されているため、まだ活用していない方はチェックしてみましょう。人材面で課題を抱える企業には、非正規雇用労働者や高齢者の活躍を支援する助成金もおすすめ。助成金をひとつのきっかけにして、生産性アップをぐっと前進させましょう!

※この記事の情報は2020年8月時点のものです。最新情報は各担当省庁のホームページなどでご確認下さい。

2020年8月公開の記事に資料を追加しました

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