人手不足の解消のための福利厚生施策とそのPR/豊田健一氏

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「楽しく働きたい」を求めている学生

就職・転職支援を行うマイナビが発表した「2019年卒マイナビ大学生就職意識調査」によると、2019年卒学生の就職観は、「楽しく働きたい」が2001年卒からみても不動の1位を継続しており、今年は3割(33.3%)を超える結果となったとのこと。この楽しく働きたいを、企業としてどのように理解し、アピールしていくかが重要となります。

一方、前年2位の「個人の生活と仕事を両立させたい」は順位としては前年同様でありましたが、13年卒以来6年ぶりに前年を下回っています。ワークライフバランスは充実させたいものの、それよりも実際にどのように働けるかを重視した結果のように感じます。

先にありました「楽しく働きたい」。働き方改革の先進企業であるサイボウズさん。青野社長も同様に、働き方改革について、次のように言っています。

「私はシンプルに『みんなで集まって働くことが楽しいかどうか』を問うべきだと思っています」。

今、いろいろと企業が対応している働き方改革。その主役は従業員であり、その従業員が楽しく働けないと、世に言われる「働かせ改革」となってしまうのです。いかに従業員が楽しく働けるか。これは、これから働こうと思っている学生もしかり、働き方改革の旗手である企業の経営者も同じように考えているのです。

「楽しく働く」とは?

では、キーワードである、楽しく働くとは、どのような状態なのでしょうか?

私が考える、楽しく働くとは、次の要素により構成されていると考えます。

  • 働き方において、従業員に裁量権がある
  • 働く場において、従業員が健康的である
  • 働きを通じて、従業員が成長できる

従業員に裁量権があるとは、働く場所と働く時間において、裁量権があるということです。つまり個々人が最も生産性の高まる働き方を自ら選べるということです。具体的には、フレックスタイムによる勤務制度、限定正社員制度、テレワークが使えるなどが挙げられるでしょう。働き方に裁量権があるということは、個々人のプライベートな事情に対して、対応できるという意味にもなります。

従業員が健康的に働けるということは、皆さんもご承知の健康経営の導入となります。定期健康診断、ストレスチェックはもちろんのこと、さらに、従業員同士のつながり、コミュニケーション活性化も大事となります。この健康経営、今は、Well-Beingという概念で、その実現が企業において求められています。身体的、精神的、社会的に良好な状態、という意味です。

最後の、働きを通じて、従業員が成長できるということは、スキルアップであり、自己実現が可能であるということです。人生100年時代と言われます。80歳まで仕事をする必要も叫ばれています。一方で、AIの進展もあり、従業員がさまざまなスキルを身に着けられる場を提供していかないと、言葉は悪いですが、従業員自身が「くいっぱぐれてしまいます」。この生きる力を身に着ける場を提供する必要があるのです。

楽しく働くを福利厚生的に整理する

以上の三つの観点を、福利厚生的に整理すると、以下のようになります。

  • 従業員の裁量権          → ワークライフバランス支援
  • 従業員が健康的          → ヘルスケア支援
  • 従業員の成長             → 自助努力支援

それぞれの項目として、具体的な施策は、次の通りです。

ワークライフバランス支援

下記の制度を構築し、それが利用しやすい働き方の裁量権を与える施策

・育児支援:託児施設の設置、託児施設・ベビーシッター利用の補助、託児施設までの交通費等の金銭補助、育児サービス・支援に関する情報提供

・介護支援:介護に関する情報提供、介護サービス・施設の割引利用、食材の宅配、介護のための住宅改修費用の補助、要介護者との同居のための費用補助

・共働きへの支援:家事代行サービスの提供や割引利用等

・その他:フレックス勤務制度、テレワーク等

ヘルスケア支援

直接的に健康維持、促進につながる施策。

・メタボ対策:社内にスポーツ施設・ジムの設置、フィットネスクラブの法人会員人間ドック・検診費用の補助、電話・web・面談による健康相談サービス

・メンタルヘルス:ストレスチェックやカウンセリング、ライン研修、職場内コミュニケーション活性化(懇親会・イベント開催費の補助、社内食堂の無料化)

自助努力支援

人生を生き抜く力をスキルと財産形成という観点でサポートする施策。

・自己啓発・キャリア開発:ライフプランセミナーの開催や参加補助、資格取得やカルチャースクール費用の補助

・財産形成:FP相談、保険相談、ローンの組み方に関する情報提供。財産貯蓄、確定拠出年金制度(企業型・個人型)等。情報提供、教育、啓発で従業員を支援する「支援型」も。

学生にどのようにアピールするか

学生は真剣に企業を研究します。その取っ掛かりが、各社のWebサイトです。多くの企業では、先に記したような福利厚生施策を掲載してアピールしています。しかし、実態はどうでしょうか? 自社の従業員ですら知らない施策が存在する、ということもあるのではないでしようか。

学生もその点は見極めようとします。ですから、制度の羅列だけでなく、実際に活用して「楽しく働いている」従業員の姿を掲載することが重要です。育児支援を活用して、仕事をし続けている従業員の姿。自己啓発のメニューを活用して、ステップアップした従業員の姿。

そのような、実際に福利厚生施策を活用して、まさに「楽しく働いている」従業員の姿をしっかりと掲載していくのです。その数が多ければ多いほど、信ぴょう性が増し、納得感を与えることが出来るでしょう。ぜひ、そのような姿を数多く掲載できるように、従業員への活用促進をしたいものです。

つまりは、既存の従業員を活性化することが、新卒採用にも良い影響を与えるのです。


< 第5回 健康経営促進のためにオフィスの力を最大限活用する

著者プロフィール

豊田健一(とよだ けんいち)

現職
株式会社月刊総務 取締役
『月刊総務』 編集長

経歴
早稲田大学政治経済学部卒業。株式会社リクルート、株式会社魚力で総務課長などを経験後、ウィズワークス株式会社入社。現在、日本で唯一の管理部門向け専門誌『月刊総務』の取締役、事業部長兼編集長。一般社団法人ファシリティ・オフィスサービス・コンソーシアムの理事や、総務育成大学校の主席講師、All Aboutの「総務人事、社内コミュニケーション・ガイド」も務める。

著作物
『マンガでやさしくわかる総務の仕事』
『経営を強くする戦略総務』

関連サイト
『月刊総務』 編集長Twitter
月刊総務オンライン

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