証憑管理の期間と方法は?証憑の基本から解説

From: 働き方改革ラボ

2023年02月28日 07:00

この記事に書いてあること

証憑はビジネスにおいて頻繁に聞く言葉ですが、証憑の具体的な意味や管理についてわからない人もいることでしょう。この記事では、証憑の概要や4つの種類、管理の期間と方法、管理する目的などについて解説しています。自社での証憑の管理について悩んでいる人は、参考にしてください。

証憑の基本

そもそも、証憑とはどのようなものでしょうか。概要や目的、帳票との違いについて解説します。

証憑の概要

契約書や納品書などは取引が成立したことを証明する書類であり、証憑書類とも呼ばれます。会計においても、取引時の会計処理における正確性を担保してくれます。なお、証憑の読み方は「しょうひょう」です。

証憑の目的

取引が口約束ではなく、お互いの合意があり決定・実施されたことを証拠として残すことが目的です。対外的な取引はもちろん、社内での取引を含めて、正確に記録・集計します。証憑は取引における重要な資料であり、二重チェックして徹底的に管理している企業も数多くあります。

証憑と帳票の違い

帳票とは、帳簿と伝票を合わせて作られた会計用語です。取引や会計といった記録書類全体のうち、企業経営に関係する事柄をいいます。おもに、社内文書である入金伝票・出金伝票、現金出納表、売掛金台帳などが当てはまります。証憑は取引のたびに作成するもので、帳票はおもに取引が完了したあとに作成するものです。

証憑の種類

証憑には、どのような種類があるのでしょうか。「売上関係」「仕入れ関係」「雇用・給与関係」「その他」の4つについて、解説します。

売上関係の証憑

金銭的な取引の内容を示す契約書・請求書・領収書などの書類はすべて、証憑に当てはまります。証憑の存在によって、取引や経費などへの妥当性の有無が見極められます。契約や業績に直接関係するため、作成と管理を徹底しなければなりません。適切な管理ができているかが、経営状況や業績への信頼性につながります。

仕入れ関係の証憑

取引の際のトラブルを避けるには、仕入れ関係の証憑が欠かせません。ミスが発生した場合に、口頭での約束だけではどちらに責任があるかわかりません。発注書や納品書などの証憑を作成することによって証拠となり、トラブルを避けられます。発注書や納品書といった証憑は、発注や納品という流れを伝えるためにも重要です。

雇用・給与関係の証憑

従業員との間の取引内容を証明する、履歴書や雇用契約書、退職届、給与支払の明細書などが証憑となります。労働者と使用者にも取引という面があり、従業員を雇用する際に条件や給与などに相違がないことを証明するために作成します。従業員の個人情報が多分に含まれるため、徹底した管理と適正な処分が必要です。

その他の証憑

ここまでに挙げたものの他でも、取引に関係するものはすべて証憑に当てはまります。例としては、利用明細・口座の通帳・事務所の賃貸借契約書・融資への返済予定表などです。種類別、日付順にまとめておき、契約の変更時や税務調査時といった必要な際に素早く見つけられるよう管理しておきましょう。

証憑管理の期間と方法

証憑は一定期間、管理しなければなりません。期間と方法を、守らなかった場合の罰則と合わせて解説します。

管理の期間

企業は証憑をどれくらいの期間、管理しておかなければならないのでしょうか。税法と会社法といった法令ごとに、証憑を管理しなければならない期間について解説します。

税法の期間

貸借対照表や損益計算書といった計算書類には、当該事業年度の確定申告書の提出期限の翌日から7年間の保存義務があります。青色申告書を提出し欠損金が生じた事業年度、または青色申告書を提出せずに災害損失金額が生じた事業年度は、10年間の保存期間になります。ただし、平成30年4月1日前に開始した事業年度は9年間で構いません。

会社法の期間

会社法に関する書類は、株主や債権者などによる閲覧・謄写の請求に対応する「備置き」の期間と、保存しておくための期間があります。備置きの書類である計算書類・事業報告・監査報告・会計監査報告などは5年間、会計帳簿や事業に関する重要な資料・計算書類などは10年間保存しなければなりません。

管理の方法

証憑は紙の形式で受け取るケースが多く、原本をファイリングしておくと手軽に保管できます。ただし、どの証憑がどこに保管されているかわかるように整理して、ファイリングする必要があります。個人事業主や小規模な企業など、証憑の量が少ない場合にはファイリングによる保管が適しているでしょう。一方で、電子保存する企業も増加しています。

管理期間を守らなかった場合

保存期間を守らなかった場合は、以下の罰則が科されるため注意しましょう。

  • 青色申告を取り消される

  • 欠損金を繰越できない

  • 仕入れ時の消費税額が控除されない

  • 税務署に有利な、推計課税が課される

  • 100万円以下の過料

悪質でなければ、罰則はなく指導が入るだけのこともあります。

証憑を管理する目的

証憑はなぜ管理する必要があるのでしょうか。3つの目的について、それぞれ解説します。

証憑の管理義務

税務調査の際には、伝票や帳簿などの確認だけでなく、会計処理の真実性・正確性を保証する証憑を提出しなければなりません。たとえば、売り上げを確認する際には、納品書や検収書、契約書など売買取引を保証する証憑も確認されます。

監査への対策

監査とは、法令や社内規定などが遵守されているか、確認することです。証憑やデータを収集・分析・評価することで、毎日の業務が適正に実施されているか判断します。監査には時間がかかり、一定の頻度で実施されます。対応のために、証憑をはじめとする書類を一定期間保存することが必要です。

第三者とのトラブルを避ける

事業を行うなかでは第三者とトラブルが発生することがあります。支払い遅延や債務不履行などをはじめ、訴訟に発展することも少なくありません。トラブルの際に自社の主張を裏付けるために、証憑を保存・管理することが大切です。

証憑書類を電子化で効率的に保存する

証憑をファイリングで保管する場合、管理の人的・時間的なコストが必要です。企業の規模が大きいほど証憑が増えて、業務の負担になるでしょう。そのため、証憑をPDFや画像データに変換し、デジタルな形式で保存する企業が増加しています。電子化の形式で保存することのメリットとデメリットについて、解説します。

電子化のメリット

電子化すると、都度紙をファイリングしたり、印刷したりする手間とコストを省けます。紙であれば証憑を置く保管庫や書類棚が必要ですが、そのスペースも不要となります。データとして管理すると、リモートワークや出張時など、社外からでも書類を見られるため使い勝手が向上するでしょう。

電子化のデメリット

電子化にはデメリットもあります。電子化するには、はじめに専用のシステムを構築したり、電子化したりするためのスキャナなどを用意しなければなりません。データ化して社外からも見られるようにすると、不正アクセスや情報漏えいのリスクがあります。パスワードを設定して、セキュリティソフトを導入するといった対策をしましょう。

まとめ

証憑とは、取引が成立したことを証明する書類です。会計においては、取引での会計処理の正確性、真実性を担保してくれます。税法においては7年間の保管義務があり、青色申告書を提出し欠損金が発生した年度は10年間保存しなければなりません。この保管には多くのコストがかかります。

電子帳簿保存法も施行され、電子保存の流れが進んでいる今、証憑も電子管理を検討されてはいかがでしょうか。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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