11月は働き方改革「しわ寄せ防止キャンペーン月間」!その内容と狙いとは?

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大企業を皮切りに「働き方改革」が加速する今日。中小企業においてもより良い働き方を実現すべく、中小企業庁・厚生労働省・公正取引委員会は「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者へのしわ寄せ防止のための総合対策」(以下、「しわ寄せ防止総合対策」)を定めました。なお2019年11月は、「しわ寄せ防止キャンペーン月間」とされています。

こちらの記事では、そのキャンペーンの内容と狙いについて紹介していきます。

しわ寄せ防止キャンペーンとは?

「しわ寄せ防止総合対策」は、「働き方改革」を進めている大企業や親事業者における残業制限によって、残った仕事を中小企業や取引先へ丸投げすることで生じる“しわ寄せ”を防ぐために生まれたもの。具体的な“しわ寄せ”の内容については以下で具体的に説明しますが、適正なコスト負担を伴わない短納期発注や、急な仕様変更などのことを指します。

このような“しわ寄せ”により繁忙期に追われがちな中小企業ですが、2020年4月からはこの中小企業においても「時間外労働の上限規制(罰則付き)」が実施されます。そのタイミングを前に、すべての企業に適正な働き方を浸透させるため、厚生労働省はこの11月を「しわ寄せ防止キャンペーン月間」に設定。キャンペーンは、主に大企業を対象に、取引のある中小企業や子会社との仕事の進め方を見直す機会の創出を狙っています。

具体例でみる“しわ寄せ”

これまで省庁の調査において“しわ寄せ”事例と見受けられるケースが11件、“しわ寄せ”防止・改善対象の事例が17件あったという報告が挙がっています。内容としては、下請法や、独占禁止法で定める禁止行為に該当するケースが多いよう。具体的に5つのケースを見ていきましょう。

1)買いたたき

「買いたたき」とは、下請代金の額を決定するときに、発注した内容と同種又は類似の給付の内容に対して、通常支払われる対価に比べて著しく低い額を不当に定めることをいいます。

たとえば、「金曜日夕方に業務を依頼し、月曜朝一に納品および修了」という、費用の変更なしで短納期発注するといった場合。受注者は、時間的にも労働力的にも余裕がない状態で仕上げなくてはならず、従業員の給料を上げて対応せざるを得ない場合もあるでしょう。本来であれば、休日出勤も発生する特急案件のため、割増でコストを請求したいところですが、これが通常の費用で運用されるといったケースが「買いたたき」にあたります。

また、発注者が受注者に社外秘である原価資料や労務管理資料などを半ば強制的に提出させ、内容を一方的に分析し「利益率をもっと下げて」「この部分を値下げして」など要求するケース。こうした発注者の身勝手な主張によって一方的に著しく低い取引対価を決められる場合も「買いたたき」に該当します。

2)不当な減額

発注者側の一方的な減額も“しわ寄せ”といえるでしょう。たとえば、発注者側が契約書にて短納期発注を「特急料金」で定めていたにもかかわらず、予算不足などの理由で「特急料金」ではなく、通常の料金を支払うといったケースが該当します。

3)不当な給付内容の変更とやり直し

発注後、発注者側が契約内容を急遽変更して費用を負担しなかったり、納品後に注文内容を受注者に変更させてやり直しを要求したりすることも“しわ寄せ”に該当します。また、発注者側が納期の直前に一方的にキャンセルし、その分の対価を支払わないといった行為も“しわ寄せ”の一例として挙げられるでしょう。

4)受領拒否

発注者側が、発注後に一方的に納期を短くし、受注者側は長時間勤務で対応したものの、「納期が間に合わなかった」という理由で発注者側が納品物の受け取りを拒否するといったケースも“しわ寄せ”に該当します。

5)不当な経済上の利益の提供要請

本来発注者側が行うべき作業を、長時間労働を避けるためなどの理由で受注者側に無償で行わせるような場合も“しわ寄せ”にあたります。具体的には、納品後に受注者が、発注者側の社内システムへのデータ入力を無償で依頼されるといった例があります。

ここまで具体的に5つの“しわ寄せ”のパターンをみてきました。このほかにも、納期を過度に年度末に集中させることや、適正なコスト負担を伴わない多頻度の配送、発注者側の人手不足や長時間労働削減による検収体制不備に起因した受領拒否や支払遅延なども“しわ寄せ”に該当する場合も。こうしたあらゆるケースへの理解を深め、それらに対応できる契約、また、そもそもの働き方の見直しが、発注者・受注者の双方に必要となりそうです。

政府の具体的な施策

中小企業における「時間外労働の上限規制」の適用を前に、このような「しわ寄せ防止総合対策」を推進する政府。中小企業庁・厚生労働省・公正取引委員会の3省庁の連携による取り組みに加え、国土交通省・総務省など関係省庁全体でも監督の強化を実施するそうです。
そもそも11月は「下請取引適正化推進月間」ということもあり、11月を「しわ寄せ防止キャンペーン月間」と位置づけ、集中的に取り組みを実施するとのこと。具体的には、大企業・中小企業のトップに向けたセミナーを開催し、行ってはいけない短納期発注などの“しわ寄せ”行為や、“しわ寄せ”改善事例の周知が予定されています。また、大企業等に対して、厚労省や労働局及び労働基準監督署の企業訪問による“しわ寄せ”防止に向けた働きかけを実施し、要請書やリーフレットを渡して集中的な働きかけや助言を行うとのことです。

双方が協力してより良い働き方を

2020年4月1日、中小企業にも罰則付きの長時間労働規制がスタートします。それに備える形で実施される今回の「しわ寄せ防止キャンペーン」は、今まで常習化していた仕事の進め方を見直す良いきっかけになるでしょう。受注者と発注者は互いに協力して初めて共存共栄するもの。より良い働き方について、全員で足並みをそろえながら模索していきたいものですね。

出典

■「大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への『しわ寄せ』防止のための総合対策」を策定しました~厚生労働省・中小企業庁・公正取引委員会 が連携し、大企業等による「しわ寄せ」防止を徹底~│中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/2019/190626torihiki.htm
■11月は「しわ寄せ防止キャンペーン月間」です│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_07511.html
■中小企業・小規模事業者の長時間労働是正・生産性向上と人材確保に関するワーキンググループ 議事次第(働き方改革に伴う「しわ寄せ」への対策の進捗状況について)│首相官邸
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/katsuryoku_kojyo/choujikan_wg/dai10/gijisidai.html
■『大企業・親事業者の働き方改革に伴う下請等中小事業者への「しわ寄せ」防止のための総合対策』を策定しました│厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_05446.html
■下請法資料 │中小企業庁
https://www.chusho.meti.go.jp/keiei/torihiki/070713shitaukedaikin_guide.htm

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