「心理的安全性」とは?皆が活躍できる職場づくりの方法を解説

From: 働き方改革ラボ

2022年08月09日 07:00

この記事に書いてあること

職場の働きやすさと深く関係するのが、社員間のコミュニケーションです。社内の風通しのよさが、社員のモチベーションや生産性にも大きく影響します。そんな社内の人間関係やコミュニケーションを改善する方法として注目されているのが、「心理的安全性」です。このコラムでは、ここ最近で一般的になったリモートワークでも重視されている、心理的安全性を育むための具体的な取り組みをご紹介します。

心理的安全性とは?

心理的安全性とは、1999年、アメリカの組織行動学の研究者、ハーバード大学のエイミー・エドモンドソン教授が提唱した考え方です。組織やチームにいる誰もがその場所に安心感を持ち、伝えたいことを発言できたり、気兼ねなく行動できたりする状態を指します。心理的安全性は、Googleが自社の生産性向上を目指すプロジェクトで重視した概念として注目されました。

上司・部下の間やメンバー間のコミュニケーションが活性化すると、社員のモチベーションアップやチームの業務効率の向上など、職場に良い影響を与えます。その一方で、お互いに声をかけにくい社内の雰囲気は、ミスやトラブルが起きたときに部下から報告が上がらないなど、トラブルを招くこともあります。社員が必要なコミュニケーションをとることができ、業務が円滑に進む職場にするためには、上司や同僚に対して社員が何でも話せると感じている「心理的安全性」を作ることが大切です。

在宅勤務がスタンダードになった最近では特に、顔を合わせる機会が減ったことで、コミュニケーションのハードルが上がっています。テレワークでは気軽に声をかけにくいと感じる人が多いからこそ、心理的安全性の確保は重視されています。

心理的安全性が組織にもたらすメリット

では、心理的安全性は、会社や組織にどのようないい影響を与えるのでしょうか。その主なメリットは次のとおりです。

組織の生産性や個人のパフォーマンスの向上

心理的安全性が確保されている職場では、メンバーが仕事や組織に対する安心感を持って働くことができます。メンバー間の人間関係も良くなるため、ストレスも軽減します。仕事に喜びややりがいを感じ、集中して仕事に取り組めるようになるため、個人のパフォーマンスが向上します。

組織やチームの風通しがよくなることで、メンバー間の連携も効率化します。信頼した相手と、ミスや仕事の遅れをポジティブな気持ちでフォローし合いながら、生産性高く仕事を進めていくことができます。

コミュニケーションが活性化して情報共有が進む

メンバー間や、上司・部下の間で話をする機会が増えるため、必要な情報がもれなく共有できるようになります。連携不足による非効率を防げるほか、トラブルが起きたときも、必要な情報が漏れなく伝わっているため対応がスムーズに行えます。

また、情報交換が活性化するため、知識やノウハウの共有も進みます。社員たちのスキルアップが期待できるのも、心理的安全性によるコミュニケーション活性化のメリットです。

モチベーションや社員満足度がアップ

心理的安全性が高い職場では、メンバーがお互いへの信頼感が高い中で仕事をするため、組織への満足度が上がります。意見が通りやすくなり、自分の言動がプロジェクトの進捗に関わるという実感からやりがいや仕事への責任感が生まれ、人材の定着も見込めます。

また、組織に対する安心感があれば、社員それぞれが抱えている問題や、私生活と仕事の両立に関する悩みなどを、上司や同僚に相談しやすくなります。不満や課題が解消されやすくなるため、離職率の低下にもつながります。

アイデアが生まれやすい環境が作れる

心理的安全性が確保された環境では、意見を言っても否定されないという安心感があるため、遠慮せずに自分の考えを伝え合うことができます。社員間の意見交換が活性化することで、新しい視点からの気付きや、アイデアが生まれやすくなるのも、心理的安全性のメリットです。幅広い立場からの多様な意見が引き出されるようになるため、新しいビジネスのスタートや、イノベーションが期待できます。

心理的安全性を高める具体的取り組み

では、心理的安全性が高い職場を作るには具体的に何をすればよいのでしょうか。組織にとって必要な取り組みをご紹介します。

会議では必ず全員に意見を求める

心理的安全性を高めるには、メンバー全員に意見を言う機会を均等に与えて、「誰の意見も尊重される」という気付きを社員に与えることが大切です。会議など重要事項を決める場では、発言が得意なメンバーの意見ばかりが尊重されないように、必ず全員に意見を求めましょう。意思決定プロセスに自分の意見が反映されるようになれば、社員がより意見を言いやすくなるため、個人の心理的安全性が生まれます。決定への透明性や納得感も高まるため、組織がチームへの信頼感が増すという効果もあります。

リーダー層にとっては、会議で必ず全員に意見を言ってもらうための工夫が必要です。会議前には、メンバーにあらかじめ議題を共有して、意見を考えてきてもらうなどの事前準備が欠かせません。また、オンライン会議では特に発言する人としない人の差が出やすいため、注意が必要です。話が苦手なメンバーにはその人の得意分野に関する意見を求めるなど、リラックスして発言できる空気作りを意識しましょう。

業務以外の雑談をする場所・機会を設ける

自分の意見や考えを気軽に伝えていいという安心感を醸成するため、仕事以外の話を気楽にできる環境を作りましょう。仕事外の雑談は、お互いの趣味や私生活について知ることができるため、社内の人間関係を改善します。 特に在宅勤務中は何気ない雑談がしにくいため、チャットツールに雑談ルームや趣味について話すルームを作るなどして、積極的に雑談の場を設けましょう。リモート会議やチームミーティングでは、開始前にアイスブレイクとして雑談の時間を設けることで、在宅勤務中の孤独感や不安にも対処できます。

課題解決は、人ではなく起きた「こと」に注目

仕事上の課題解決の方法も、社内の心理的安全性を左右します。問題が起きたことを、誰かのスキルやミス、決断のせいにすると、メンバーが安心して発言や行動をできなくなります。そのため、問題に向き合うときは、人を原因にせずに、起きたことに注目して解決策を探りましょう。

ミスなどが発生してしまった環境に目を向けて、それを防ぐにはどんな対策が必要かという建設的な話し合いをすることで、メンバーが次からも思い切ったチャレンジや自由な発言をしやすくなります。ポジティブな話し合いをすることで、組織の団結力や、上司への信頼感も高まります。

1on1を取り入れて若手が話しやすい環境を作る

意見を言うことをためらいがちな若手社員にも心理的安全性を感じてもらうために、日ごろから、メンバーが信頼できる相手と1対1で話をする場を作っておくことが重要です。上司と部下による定期的な1on1や、新人を先輩社員がケアするメンター制度を活用して、若手社員が自分の考えや悩みを話す場所を設けましょう。

また、ミーティングの場では、仕事の話題だけでなく、自分自身のことや、大切にしている価値観について話を聞くことが重要です。話をじっくり聞いてもらうことで、自分自身が受け入れられているという安心感が得られて、仕事上でも、自由に意見が言いやすくなります。

チームプレーを促す評価制度

組織で安心感を持って仕事ができる環境を整えるには、チームプレーを重視する仕組みを作ることも有効です。チームでの仕事ぶりではなく個人の成果を評価する制度だけでは、周りとの連携や、お互いの意見を尊重し合う空気が生まれにくくなります。メンバーで協力してチャレンジしようとする意欲や、新しい提案も生まれません。

メンバーが助け合う雰囲気を生み、心理的安全性の高い組織を作るためには、チームやプロジェクト単位での成果や、コミュニケーションに重きを置く評価制度に見直すことも検討しましょう。

心理的安全性を育めば会社は強くなる!

労働時間削減や、テレワークによる効率化を重視するあまり、社内の人間関係がギスギスしていませんか?発言しやすい空気を作る工夫や若手社員とのコミュニケーションは、一時的には時間や作業の手間がかかるかもしれませんが、心理的安全性は、アイデア活性化や連携の強化による生産性向上など、長い目で見ると、組織や個人にとって大きなメリットをもたらします。会社を強くするためにも、お互いを尊重する取り組みを始めてみませんか?

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記事執筆

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