業務自動化に役立つRPAとは? EPA、CAの違いもわかりやすく解説

From: 働き方改革ラボ

2023年05月09日 07:00

この記事に書いてあること

働き方改革の推進や生産性向上に向けた取り組みが進むにつれて、事務作業やデータ処理業務の自動化が注目されるようになりました。そんななかでキーワードとなるのが、「RPA」や「EPA」といった、業務自動化にまつわる用語です。しかし、用語の意味が理解できていない方も多いのではないでしょうか。

そこでこの記事では、業務自動化にまつわるキーワードを解説します。あわせて業務自動化に欠かせないRPAツールの特徴や導入方法もご紹介するので、導入を検討している方はぜひご覧ください。

RPAとは? 定義やできること

「RPA」とは、「Robotics Process Automation」の略で、これまで人が行ってきた業務をソフトウェアロボットが代わりに行ってくれる仕組みを表します。RPAは「デジタルレイバー(仮想知的労働者)」とも呼ばれており、主に企業のバックオフィス業務の効率化を担います。

RPAが導入されるようになった背景

RPAが導入されるようになった背景として、企業の人手不足が挙げられます。少子高齢化が進み、企業の人手不足が問題となっているなかで、作業時間や人件費の削減を実現するためにRPAを導入する企業が増えました。

RPAの活用シーン

RPAは、勤怠管理や在庫管理といった、日々繰り返し行われる業務で活用できます。また、マーケティングには欠かせない競合他社のリサーチやSNS上の口コミ収集、カスタマーサポートが担当していた問い合わせ対応、メールの返信対応いった、従来人の手が必要な業務の自動化も可能です。

AIとマクロとの違い

RPAは、RPAツールを導入し、自動化したい業務のルールやフローを覚えさせることで実現します。つまり、企業が定めた業務の作業手順に則って、ロボットが自動的に処理してくれるのです。

PRAシステムの内側にはAIが組み込まれており、蓄積されたデータに基づいた行動をします。RPAとAIの意味が混合してしまいがちですが、RPAは業務自動化のシステムそのものを、AIは自動化の実現に欠かせない機能を指すことに留意しましょう。

また、Excelマクロも自動化という目的そのものは同じですが、Excelのみでしか活用できません。その点からも、インターネット上での業務をはじめとした幅広い作業の自動化をしたい企業にはRPAがぴったりなのです。

RPAのメリットと注意点

続いて、RPAのメリットと注意点をご紹介します。

RPAのメリット

はじめに、RPAのメリットから見ていきましょう。

1. 人的ミスを防げる

RPAを導入する1つ目のメリットとして、人的ミスを防げることが挙げられます。RPAでは単純作業の自動化が可能なため、入力ミスや誤送信を防ぐことができます。

単純作業が続くと、人は集中力が途切れやすくなり、人的ミスが増える傾向にあります。そのような作業を自動化することで人的ミスを防ぎ、本来集中すべき業務に注力できるようになるのです。

2. 作業処理の効率化につながる

RPAを導入する2つ目のメリットとして、作業処理の効率化につながることが挙げられます。RPAの導入によって、情報収集や入力作業などの業務を24時間365日稼働させられ、作業にかかる時間の効率化につながるのです。それまでは残業をしなければ終わらなかった処理もRPAに任せられるため、人件費の削減にも効果的だといえます。

3. 働き方改革を実現できる

RPAを導入する3つ目のメリットとして、働き方改革を実現できることが挙げられます。

2019年4月に施行された働き方改革関連法によって、働き方に対する意識が高まりました。具体的な取り組みとしては、長時間労働や雇用形態の格差是正などが挙げられ、雇用者側は「法定労働時間内に成果をあげる」姿勢が求められるようになり、労働者が企業を見る目も「働き方改革が推進されているか」に変わりつつあります。

RPAを導入することで働き方改革の推進につながり、結果として新しい人材の確保や離職防止の効果が期待できるのです。

4. ERPシステムと連携できる

RPAを導入する4つ目のメリットとして、ERPシステムと連携できることが挙げられます。

ERPシステムとは、Enterprise Resource Planning(企業資源計画)の略で、「基幹システム」のことをいい、具体的には、販売管理や会計管理、在庫管理など、さまざまなシステムの総称を指します。RPAとERPシステムは主目的が異なるITソリューションなため、併用が可能です。

ERPシステムを使うことである程度の業務を効率化できますが、その際にもデータを入力するといったアナログな業務は残っています。それらの作業手順をRPAシステムに覚えさせることで自動化が可能となり、さらなる効率化につながるのです。
使用しているERPシステムと連携可能なRPAシステムを確認してみるのも、作業効率化の一歩と言えます。

RPAの注意点と解決策

続いて、RPAの注意点と解決策を解説していきます。

1. 管理作業が必要になる

1つ目の注意点として、管理作業が必要になることが挙げられます。

RPAは自動化する作業のシナリオ通りに操作されますが、サーバーダウンやシステム障害、バグが起こった際に停止してしまう危険性があります。そのため、自動化したからといって放置をするのではなく、定期的な管理作業が必要になるのです。

そのようなことを防ぐために、あらかじめキャパシティに余裕があるRPAツールを導入してサーバーダウンに備えるほか、定期的に複数人で確認を行い、ミスがないかチェックするようにしましょう。

2. 誤作動のリスクがある

2つ目の注意点として、誤作動のリスクがあることが挙げられます。RPAは設定したシナリオ通りに動くため、その指示が間違っていたとしても、作業を止めることができません。誤作動を防ぐためにも、本格導入前にテストでミスがでないかを確認することが必要です。

業務自動化は3段階! EPA・CAとの違い

これまでRPA=業務自動化というふうに説明してきましたが、実は業務自動化には総務省が定めている「RPA」、「EPA」、「CA」という3つの段階(クラス)が存在しています。

業務自動化三つの段階

それぞれの特徴を知った上で、自社がどのクラスにいるのか確かめることが大切です。そこでこの章では、業務自動化の流れを3段階に分けて解説していきます。

ステップ1. RPA

まず、これまで解説してきたRPAです。先述したように、RPAでは、企業のバックオフィスなどの単純な作業を自動化することで業務効率化を図ります。たとえば、Excelなどのデータから決められた情報を抽出し、他のシステムにコピーするような作業が挙げられます。

多くの企業がRPAに踏み切っているものの、複数のシステムとうまく組み合わせたり、作成したシナリオ以上のパフォーマンスを発揮したりするレベルまで至っていないのが現状です。

ステップ2. EPA

続いてのステップである「EPA」は「Enhanced Process Automation」の略で、日本語に直訳すると「より強力な手段の自動化」を意味します。

EPAはルールづけや情報の構造化がされていないデータや知識を処理することを表し、具体的にはRPAとAI(人工知能)を組み合わせ、単純作業ではない非定型業務までをも自動化する流れをEPAと呼びます。

たとえば、顧客の問い合わせ対応はある程度シナリオで補えますが、一部臨機応変に対応することが求められます。そこで問い合わせ内容を分析できるAIを導入することで、人の手を介することなくスムーズな運用が可能となるのです。

ステップ3. CA

最後のステップである「CA」は「Cognitive Automation」の略で、日本語に直訳すると「経験的知識に基づいた自動化」を意味します。少し難しい概念ですが、自然言語学習・ビッグデータ分析・機械学習・個別最適処理といった、データや情報の難しい処理のことと覚えるのがいいでしょう。

RPA、EPAと自動化できる範囲が広がっていきますが、最終的な意思決定は人間に委ねられています。それに対しCAは、業務だけでなく、AIによる意思決定までをも自動化できる段階のことをいいます。

まだほとんどの企業では取り入れられていませんが、AI技術の進化によって導入する企業もだんだん増えていくことでしょう。

RPAツールは3種類! 特徴や違い

RPAを導入するためには、RPAツールを取り入れる必要があります。RPAツールとは、自動化してほしい内容をツールにプログラミングし、AIに覚えてもらうためのものを指します。

これまで、業務自動化を実現するためには、業務手順をシナリオにし、AIに覚えてもらうためのプログラミング知識がなければなりませんでした。しかし現在流通しているRPAツールのなかには、通常のマウス・キーボードの操作から従来人の手で行っていた業務を把握し、再現する形で覚えてくれるものもあり、自動化へのハードルが下がっています。

そんなRPAツールは、クライアント型RPA、サーバー型RPA、クラウド型RPAの3種類があります。この章では、それぞれどのような特徴があるのか、違いを解説していきます。

1. クライアント型RPA

1つ目が、クライアント型RPAです。クライアント型RPAは自社のパソコンに直接取り込むため、自動化の範囲はパソコンでできる作業に限られます。そのぶんクライアント型RPAは、サーバ型RPA、クラウド型RPAと比べ、コストがあまりかからないのがメリットです。しかし、個人のパソコンに入れるため、複数のパソコンや部署を超える作業には不向きといえます。

2. サーバー型RPA

2つ目が、サーバー型RPAです。サーバー型RPAは、会社で使用しているパソコンとAIを接続する仕組みで成り立っています。サーバーで管理しているため、複数の機器にあるデータを一元管理できるのが特徴です。

またサーバー型RPAは、自社のサーバーを利用するため、個人情報や開発情報といった情報を取り扱う場合に自社内でシステムが完結できるのがメリットです。一方、利用にあたってサーバー上に環境を構築しなければならないため、初期費用が高いのがデメリットといえます。そのため、ある程度の予算を確保できる企業におすすめです。

3. クラウド型RPA

3つ目が、クラウド型RPAです。クラウド型RPAは、サーバーではなく、インターネットのクラウド上で動きます。そのため、Webブラウザで操作している作業を自動化したい企業におすすめです。また、サーバーに環境を構築する必要がないため、初期費用があまりかからないというメリットがあります。しかし一方で、クラウド以外の社内システムに利用できない可能性があるため、注意が必要です。

RPAの効果的な導入方法

どの企業も業務自動化に踏み切る際にはまずRPAクラスから始めなければなりません。そこで最後に、RPAの効果的な導入方法を4つのステップに分けて解説していきます。

1. RPAによって自動化する業務を整理する

はじめに、RPAによって自動化する業務を整理しましょう。たとえば、手作業で顧客データをExcelに移す業務を短縮したい場合は、「顧客データのコピー&ペースト」、顧客へのメールを自動で送信したい場合は「メールの自動配信」などが挙げられます。いきなりすべての業務を自動化すると初期コストがかかってしまうので、自動化への優先順位の高い業務から取り組むことをおすすめします。

2. システムを選定する

続いて、RPAシステムを選定しましょう。RPAツールといっても、サーバー型、クライアント型とそれぞれ特徴が異なります。複数のパソコンで同じ作業をするのか、在宅ワークでも活用できるようにするのかといった用途や、RPAにまつわる予算に応じて変わるため、吟味することが大切です。また、可能であればトライアルを活用して使用感を確かめるのもおすすめです。

3. 小規模から社内に浸透させる

システムを選定したあとは、小規模から社内に浸透させるようにしましょう。いきなり大掛かりなプロジェクトにしてしまうと、なかにはシステムの使い方がわからない社員もおり、混乱を招く危険性があります。チーム単位からはじめることで改善点を早めに見つけることができ、社内の混乱も抑えられるでしょう。

4. 効果測定をし、改善を繰り返す

導入後は、効果測定をしながら改善を繰り返しましょう。実際にシステムを導入してどのくらいの時間や人件費を削減できたのかを数値化しておくことで、今後の自動化の取り組みを推進できます。また、実際に作動した上で見えてきた改善点もあるはずです。RPAの目的は業務効率化にあるため、少しでもそれを実現できるよう、改善を繰り返すことが大切と考えられます。

まとめ

「とにかく、目の前の作業を削減したい!」という要望に対して、「RPA」は非常に強い力を発揮してくれるツールです。

また、「RPA」の導入による直接的な作業時間の削減のみならず、導入に向けて業務フローの洗い出しや評価といった「業務プロセスの改革」を行うこと自体が、業務効率化や働き方改革として大きな意味を持ちます。まずは、会社の業務をあらためて見直す機会としてみてはいかがでしょうか。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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