最新トレンド-RPAツールでできること

From: 働き方改革ラボ

2020年04月07日 07:00

この記事に書いてあること

働き方改革の有効な手段として近年注目が集まるRPA。RPAとはRobotic Process Automationの略で、AIや機械学習などの認知技術を取り入れたロボットを利用し、業務の自動化や効率化を図る取組み全般を指します。最近では、主にオフィスワークで行われる業務を自動化するRPAツールにも注目が集まっています。今回は、実用例を通してRPAツールについて考えていきましょう。

RPAツール導入の現状

2020年のMM総研の調査によると、日本の大手企業で51%、中小企業では25%がRPAツールを利用していると回答しており、全体では38%の導入率となっています。2019年度の調査では大手企業は39%、全体では32%だったことから、大企業の導入が大幅に進んでいます。中小企業については、検討中との回答が年々増加しており、今後の導入が進んでいくと見られます。

業種別では金融が59%と最も高く、次いで学校・医療福祉・流通の導入率が伸長していますが、その他の業種での普及率も高く、業種に関わらず普及が進んでいます。また、導入済企業においては、AIとの組み合わせでの活用を進めている傾向にあります。

実用例

RPAツールは、定型化された業務を企業が定めた作業手順に則って自動的に処理していくもの。複数のアプリケーション間で連携を必要とする作業も得意としています。

導入に適している作業の特徴としては、以下の3つが挙げられるでしょう。

・PC上で情報を取り扱う作業
・大量のデータを用いて定期的に頻回で行う単純作業
・処理方法や判断規則が明確なデータの管理作業

これらを踏まえた上で、RPAツールの実際の導入例をみていきましょう。

メーカーでの導入の傾向

「メーカー」では、各卸売企業からのPOSデータの収集を目的に導入されるケースが多いようです。

マルコメ株式会社では、かつて、卸売企業からPOSデータをダウンロードするのに1社につき約20分かかっていましたが、RPAツール導入によってその時間が約5分に短縮。約70%の時間削減を実現したそうです。

同じようにPOSデータのダウンロードにRPAを導入したのはサッポロビール株式会社。取り扱う商品も取引企業も多い同社では、取引先によっては1週間分のPOSデータ抽出に約160回の操作が必要になることもあったそう。1日中単純な作業の繰り返しに、担当者のモチベーション低下や集中力の維持も課題でした。また、大量のデータを十分に活用しきれていなかったため、RPAツールの導入を実施。すると、労働時間は約5,700時間/年、事務コストに換算して約1,100万円/年の削減に成功し、導入コストを1か月で回収できたそうです。

サービス業での導入の傾向

次に、「サービス業」の導入事例をみてみましょう。

ある大手不動産会社では、経費精算や取引先への支払い申請について、経理担当者が手作業で申請内容の確認を行っていました。そこにRPAツールを導入することで、確認作業をルールに基づく自動チェックへと切り替え、時間の短縮に成功しています。また、以前は、メールで受け取った申し込みの内容を担当者が手動でシステムに登録しなおしていた作業についても、RPAツールによって自動化を実現。どちらも1日30分ほどの時間削減につながったといいます。

金融業での導入の傾向

最後に、導入実績TOPの金融業についてみていきましょう。

三井住友銀行では、紙帳票のデータ化の自動化にRPAを活用。従来は300万時間かかっていた業務を110万時間に削減することができたそうです。

三菱UFJフィナンシャル・グループは、コンプライアンス部門やリテール部門など約20の業務において作業を自動化し、約2万時間の削減に成功。

みずほフィナンシャルグループでは、2016年からRPAツールを検討・導入し始め、2019年春には、みずほ情報総研がみずほ銀行とともに独自のRPAツール『LuPa??』を開発しています。

このほか、地方の金融機関でもRPAの導入が進みつつあり、業界全体で積極的にRPAを活用していく動きが見られます。

RPA以外にこんな自動化手段も-チャットボット

ここまで、RPAによる業務自動化の例をご紹介してきましたが、RPA以外にも業務自動化の手段は存在します。例えば、チャットボットによるバックオオフィス業務効率化の事例を見てみましょう。

佐川グローバルロジスティクス株式会社では、AI(人工知能)搭載チャットボットを導入し、社内向けの問い合わせ窓口を立ち上げました。

これまでバックオフィス部門では、社内からの電話やメールでの問い合わせの対応に多くの労働時間が割かれていました。例えば、管理部門での基幹システムの操作に関する問い合わせの対応や、人事部門、経理部門、総務部門での、各種申請方法の問い合わせの対応などです。

問い合わせ窓口の立ち上げにより、社内からの問い合わせはチャットボットに集約され、AIが質問のカテゴリを自動で判断、回答をすることで、業務効率化を実現できました。今後はバックオフィス業務以外にもAIチャットボットを広げ、更なる業務効率化を進めていくとのことです。

RPAツール導入の課題と今後の流れ

単純作業の効率化やコスト削減が大きなメリットとなるRPAツールですが、導入するにあたっては、課題についても把握しておかなければなりません。

アイティメディア社の運営するIT製品の総合サイト「キーマンズネット」が読者を対象に実施した「2019年のIT投資動向調査」によると、すでにRPAを導入した企業、またはトライアルを実施した企業から挙がった課題として、「RPAロボットのスキルを持った人がいない」「期待したROIがでない」などという声もあったそう。

大企業の場合は人材確保が容易であることや、業務の規模が大きければ大きいほど費用対効果を見込めるため、RPAツールの導入に踏み込みやすい傾向にありますが、中小企業の場合はそれが難しいのも現状です。一方で、多くの企業が労働時間やコストの削減に成功していることも事実。今後は、RPA導入がますます加速すると見込まれています。

その普及によって、今後、より導入コストの軽減も期待できるRPAツール。導入はもちろん、働き方改革の一歩としてまずはトライアルを実施し、自社の現状の改善点を洗い出すことから始めてみてもいいかもしれませんね。

2020年4月9日更新

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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