2020年夏季期間中リコーが本社一斉リモートワーク!「働き方改革」を加速させる

From: 働き方改革ラボ

2019年11月20日 07:00

この記事に書いてあること

東京で開催される大型イベントの開催期間中、交通混雑を緩和するため、政府から企業には、人や車両の移動を減らすように協力要請が届いています。本番テストとしてテレワーク・デイズ2019が実施され、リコーを含め、多くの企業・団体が参加しました。
その中で、リコーはさらにイベント開催期間中のリモートワークの決定に踏み切りました。本社オフィスを2週間クローズし、お客様対応など一部の部門を除いた社員約2000人が一斉に、自宅やサテライトオフィスで勤務する予定です。

2020年夏季期間中に本社勤務約2000人が一斉リモートワーク
~新しい働き方やBCPの実践とともに、首都圏の交通混雑緩和に貢献~

計画実現のため、現在どのような準備を進めているのか?一番の課題は?
リコー人事本部の担当者・長瀬琢也さんに伺いました。

リモートでも仕事を止めないのが前提。
最終的には、かならず仕事がしやすくなる。

―まず、リコーがどうして“本社一斉リモートワーク”まで舵を切ったのか教えてください。

リコーグループは、ワークライフ・マネジメントの実現を目指し、時間や場所にとらわれず自分らしい働き方を選択できるように「働き方変革」に注力してきました。 それを進めていた中の、政府からの協力要請 。交通混雑を緩和するために私たちが一番貢献できる方法を考えたら、それは、社員がみんなリモートで働くことだったんですよね。幸い、本社はスタッフ部門の機能が多いため、リモートワークも浸透してきている。であればこの一大イベントをきっかけに、これまで積み重ねてきた働き方変革を、より加速しようと考えたんです。

―実現に向けて具体的に動きはじめた今、どのような仕組みを検討していますか?

まず、一番のポイントは「仕事を止めない」ことです。リモートワークでも、きちんと業務を継続させていきます。もちろん製造部門や、専門的な設備を使わなくてはいけない実験・評価部門は物理的に不可能なので、対象から除外。ですが、本社でいえば8~9割の仕事は、リモートワークでも滞りなく進むと考えています。いまは各部門と相談しながら、どうしても遠隔ではできない作業を洗い出しているところです。

―現状では、どのような業務遂行が課題になりそうですか?

デスクワークはだいたい問題ありませんが、紙を使う業務はやはり難しいですね……。イベントが開催される月末月初は、ちょうど経理の支払い処理が多い時期です。取引先からいただく請求書や一部の経費伝票は紙なので、自宅で受け取って処理することができません。
社内で完結できる作業は電子化を検討する予定ですが、お客さまに関わる部分は無理強いができないし、法律的に原本書類が必要なケースもあります。本社宛の郵便を転送するなど、できるかぎりの対応を検討しているところです。

反対に、部門にヒアリングをしている中で想像と違ったのは決算説明会でした。当然、都心の広い会場で投資家の方々にお越しいただき、発表を行うものと思っていたのですが、 以前からネット配信を行っており、この機会にネット配信のみで実施する可能性を検討してくれていました。アンケートをとったところ、会場での説明会は毎回必須ではなく、ネット配信のみの実施でも問題ないという意見もあったようです。
資料の印刷や会場準備等の業務も削減でき、Win-Winの取組みになりそうです。これはすべての業務に言えることですが、こうした工夫が結局、イベント終了後の効率化にもつながってくるんですよね。

―リモート化できれば働き方改革につながるとはいえ、現場での不安は少なくなさそうです。社員のケアで心がけていることはありますか?

「自分にとっても便利」という意識がある方と「いつもの仕事ができなくて困る」と思う方のギャップは、埋めていくのがなかなか難しいですね。リコー内でアンケートをとっても、1割ほどの社員はまだ「周囲はリモートワークが認められる雰囲気ではない」「評価に影響がありそう」などと答えます。
そういった部門には、マネージャーが率先垂範してもらうようにお願いをする。現場の改革が進まないときは“なんとなくネガティブな印象があるだけで実際試していないケース”がほとんどだったりするんです。

たとえば、『打ち合わせがあるのでリモートワークできないんです』というような声も社員からよく挙がります。
でも、必ず顔を合わせる必要がある会議というと、機器を操作しながら話したり、付箋を使ってブレストしたりするようなものなど、じつはごく少数だったりします。私自身、会議招集の連絡をする際に遠隔会議のリンクを必ず付けるようになってから、リモートで参加してくる人も増えてきており、大きな支障を感じていません。

人事部門から「打ち合わせはテレビ会議で」「資料は電子配布に」などとガイドラインを出し、実践してもらっているうちに、だんだん空気が変わってきました。
在宅勤務の社員から、プライベートな空間が見えるのはいやだという声もありますが、ビデオ通話時の背景をぼかせる機能も進化してきています(笑)。

来夏の交通混雑緩和に貢献するための準備の一環として、総務省などが呼び掛けた「テレワーク・デイズ2019」に参加。今年の7月24日と9月6日には、リコー全事業所で約4000人の社員がリモートワークを実施しました。
9月6日は、その翌出勤日に大型台風が来て、午前中が自宅待機になったんです。でも、前出勤日が一斉リモートワーク日だったおかげで、みんなパソコンを持って帰っていた。そのため、リモートワークに切り替えた社員も多く、ほぼ混乱なく業務を進めることができ、図らずもBCP対応にまでつなげられました。

まずは、とにかくやってみること。
試してみれば輪が広がって、具体的な仕組みが生まれる。

―リコーが本社一斉リモートワークを進めることは、どんな意義があると考えていますか?

プレスリリースを出してから、やはり他社からのベンチマーキングが増えました。今この国で、働き方改革は確実に必要とされているし、BCP対応も踏まえたリモートワークを考えている企業はたくさんあります。
そのなかで当社のような規模の実践事例がつくれれば、きっとお客さまへの価値提供にもつながるはず。イベント開催期間にかぎらず、たとえば今後の業務改善ソリューション構築などにも広げていけたらいいですよね。

―これからリモートワークなどの働き方改革を進めていきたい企業は、まずどんなことから始めればよいと思いますか?

リコーも、トライアルから数えれば、リモートワーク制度を全社に導入するまでは10年ほどの検討期間がありました。
2016年に始まった在宅勤務も、はじめのうちは育児・介護をしている社員が中心の制度でした。当時から最終的には全員が使える制度にしたいという想いはあったものの、まずはスモールスタートに落ち着いた、という経緯もあります。
でも、それでいいんです。小さくでも制度をつくってみることで、使った社員が「便利だ」「仕事にも悪い影響はない」と実感してくれて、どんどん広まっていく。だから、一日だけ、部署限定でも、まずはとにかく“やってみること”。
試すことから理解が深まり、全員が使える仕組みにブラッシュアップするためのアクションが生まれるんです。そうすればきっと、特別なイベントや事情がないときだって、全員が働きやすい会社づくりを実現できると感じています。

※リコーグループでは、働き方についての取り組みを「働き方変革」として進めています

リコーグループについて

リコーグループは、オフィス向け画像機器を中心とした製品とサービス・ソリューション、プロダクションプリンティング、産業用製品、デジタルカメラなどを世界約200の国と地域で提供しています(2019年3月期リコーグループ連結売上は2兆132億円)。
創業以来80年以上にわたり、高い技術力、際立った顧客サービスの提供と、持続可能な社会の実現にむけて積極的な取り組みを行っています。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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