“退職代行サービス”が生まれる異常さ。部下が退職を切り出したら、あなたはどうする?

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最近話題の「退職代行サービス」。「退職」を第三者に代行してもらうことの是非はありますが、「過剰な引き止めにより退職できない」、「業務量が多いなかで退職を切り出せない」といった声の裏には、業務・知識の属人化や、慢性的な長時間労働、人手不足など、働き方にまつわる問題点が見て取れます。

社員一人の退職が、業務運営に支障をきたす時点で大きなリスクですが、SNSや口コミサイトが発達した現在では、円滑な退職ができないことが企業ブランドを毀損し、長期的にますます人材獲得が難しくなることも考えられます。

就職はマッチングであり必ずしもネガティブな側面だけではありません。しかし、部下から企業に対しての率直な「フィードバック」であることも事実。部下の退職をどう捉え、生かしていくべきかを、退職の基本的なポイントを確認しながら考えてみましょう。

退職制度について

退職は、基本的に労働者の自由で、雇用者が拒否をすることはできません。しかし、退職までの期間が民法によって定められています。

「期間の定めのない」雇用契約の場合

退職の意思を、退職する2週間前までに申出れば退職できると定められています。別途、就業規則を定めている場合も、基本的には法律が優先されます。主に正社員が当てはまります。

「期間の定めのある」雇用契約の場合

契約雇用期間ごとに定められています。その場合も、やむを得ない事由があるときは、各当事者が、直ちに契約の解除をすることができるとされています。主に、契約社員やパート・アルバイトが当てはまります。

なぜ「退職代行サービス」が必要とされるのか?

先の通り、法律で退職までの期間の定めはありますが、雇用者が退職を拒否することはできません。

しかしながら「退職代行サービス」の需要があるのは、相対的に弱い立場にある労働者が、過剰な引き止めや、慢性的な人手不足から、「辞めたいのに辞められない職場」が存在していることを意味します。

「辞められない」原因は、業務・知識の属人化、特定社員への業務集中、慢性的な長時間労働など考えられますが、本質はマネジメントの失敗であると言い換えられるでしょう。

特に、人材獲得競争が激しい今日では、仕事の内容に対して報酬や待遇が見合わなければ、労働者は転職という選択肢を考えます。企業は常に人材流出のリスクにさらされているのです。

退職を取り巻く環境

総務省統計局による調査によると、2017年の転職者数は311万人、就業者に占める転職者の割合(転職者比率)は4.8%。2010年の283万人、4.5%以降、ゆるやかですが増加を続けています。転職者比率を年代別でみると、15~24歳が最も高く11.1%、続いて25~34歳が7.0%と、若年層の転職が相対的に高いことが見て取れます。

大手人材紹介会社の2018年の調査によると、20代・30代の転職理由の1位は、ともに「ほかにやりたい仕事がある」ですが、2017年と比較するとその割合は減少。代わりに「給与に不満がある」(20代 2位/30代 3位)、「残業が多い/休日が少ない(20代 3位/30代 4位)、「土日祝日に休みたい」(20代 6位)といった、労働時間や待遇についの回答の割合が増加しています。企業での「働き方」が、転職に影響を与えていることが見て取れますね。

部下に退職を切り出されたら、どうする?

大手人材紹介会社の2017年の調査によると、「カウンターオファー(退職引き止め交渉)」を受けて、次の転職先にいくのをやめたことがある」と回答した人の割合は24%と、決して高い数字ではありません。また、思いとどまった理由も、第1位が「新たな事業に関われる」、第2位が「提示された昇給額が良い」と、具体的な待遇変更を用意されたケースが多いようです。

そもそも退職を切り出した時点で、部下の中でそこに至る経緯と決断があり、引き止めるのが難しいのは想像に難くないでしょう。立場上、慰留をせざるを得ないケースもあるかと思いますが、「今辞められたら困る」、「もう少し頑張ってみては?」といった、会社本位の安易な対応をしていないでしょうか?

部下から退職の申し出があった場合は、「退職」を部下から会社・自分への「フィードバック」と捉え、下記を参考に対応をしてみてください。

  • 1対1で、十分な時間と会議室などプライベートな空間を用意し、面談を設定する
  • 会社の都合で、説得したり引き止めることをゴールにしない
  • なぜ「退職」を考えるようになったのか、決断したのか、経緯を聞く
  • 「退職」は部下から会社・自分へのフィードバックだと捉え、まずは率直に受け止める
  • 「退職」の原因を理解したうえで、退職以外での選択で部下の悩みが解決できないか真剣に考える

まとめ

退職や転職が以前より選択される時代だからこそ、働き続けたいと思われる職場・企業を目指していくことが重要です。

残念ながら「退職」が発生した場合も、「退職」を部下個人の問題として終わらせず、「退職」という結果を生み出した、職場や会社の改善につなげていく必要があります。

改善につなげない限り、同様の原因から新たな退職者が出ることは止められません。

そのためにも、慰留するしないに関わらず、なぜ「退職」を考えるようになったのか、決断したのかに真摯に耳を傾け、その問題と向き合うことが重要と言えます。

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