省人化・効率化を実現する小売業・卸売業のIT活用術

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働き方改革を進める上で大きな課題となるのが人材不足です。小売業、卸売業界でも、他業種と同様に慢性的な人材難が問題になっています。さらに、店舗を運営する小売業では今、混雑緩和や非接触などの感染症に関する対策も迫られています。

そこで今回は、人材不足や安全面の課題を解決するIT活用方法についてご紹介します。

小売・卸売業界の抱える課題や、ITを活用しないことによるデメリット、そして省人化や効率化を実現したIT活用の成功事例もお伝えします。

小売・卸売業の抱える課題と懸念

小売・卸売業におけるIT活用について解説する上で、まずは、小売業・卸売業が抱えている働き方に関する課題を整理しましょう。

常態化する労働力不足

小売・卸売業では、働き手の不足が常態化しています。2019年3月の日本・東京商工会議所が行った「人手不足等への対応に関する調査」によると、卸売・小売業の中小企業のうち60.5%が人手不足を実感しています。

また、農林水産省が2018年に発表した資料「卸売業・小売業における働き方の現状と課題について」では、小売業の欠員率は、全産業平均の2.1を上回る2.9という高水準です。

また、飲食料品小売業や飲食料品卸売業は全産業平均と比べてひと月あたりの勤務時間が長く、年間休日も小売業は全産業と比べて少ないなど、「労働時間が長く、休みが少ない」という課題があります。

労働生産性の低さ

農林水産省の「卸売業・小売業における働き方の現状と課題について」では、小売業の労働生産性の低さも問題視しています。

特に飲食料品小売業においては、付加価値額を従業員数で割った労働生産性が、全産業平均の8.7に対して3.5と大幅に低い水準。その理由として、レジ打ちやバックヤードでの作業による従業員への負担が大きい一方で、セルフレジや電子タグによる商品管理システム、情報処理技術などの導入が遅れていることが指摘されています。

ユーザーによる店舗利用機会の減少

さらに、2020年に入ってからは感染症の影響から、ユーザーの実店舗の利用頻度が低下しています。

実店舗の売上に直結する課題として対応が求められています。株式会社サイバーエージェントがコロナ禍での購買行動に関して聞いたアンケートによると、約20%の人が、ショッピングモールや家電量販店の利用頻度が減少していると回答。

その理由として、利便性の低さや、感染対策への不安といった項目が挙がっています。

進まないITの利活用

人材不足や生産性などの課題がある中で、小売業や卸売業はIT化が進んでいないという現状もあります。

中小企業のIT活用の現状と課題をまとめた青森県の資料によると、小売業の中小企業のソフトウエア導入率は64.1%、卸売業は65.4%という状態です。

また、中小企業への調査で約4割がIT投資を重視していないなど、IT活用が浸透しているとは言いにくい状況があります。

IT導入を進めないデメリットは?

小売・卸売業の働き方に関するこれらの課題に対処するためには、省人化と、スムーズに買い物ができる仕組み作りが必要です。感染症禍での安全対策も求められる中、小売・卸売業がIT活用を進めなければどのようなデメリットが発生するのでしょうか。主なポイントを解説します。

顧客満足度の低下

小売業の人材不足は、顧客満足度の低下につながります。インターネットでも店舗と同様に商品が購入できる今、実店舗を訪れるユーザーの目的のひとつは、販売員による良質なサービスです。

ITで省力化を進めて、限られた人員でも十分な接客が行える体制を整えなければ、接客対応の質の低下によって顧客を失う可能性もあります。

人材不足による時間外労働の増加

ITによる生産性向上を行わないまま業務を続けると、従業員ひとりあたりの作業負担や労働時間が増加します。

少ない人員で店舗を稼働させる必要があるため、従業員の休日出勤や連続した勤務などの過重労働を招きます。従業員の満足度低下が離職につながり、人材不足がさらに深刻化するというリスクもあります。

レジの列による店内の混雑

感染症禍の安全対策にも、店舗での精算を効率化するツールは不可欠です。

しかし、2020年の経済産業省の資料「キャッシュレスの現状及び意義」によると、2016年の日本のキャッシュレス決裁比率は19.9%で、韓国の96.4%、イギリスの68.6%など他国と比較して大きく低い水準です。

セルフレジやキャッシュレス支払いシステムなど、精算時間を減らすツールの活用を進めなければ、店内の混雑という避けるべき事態が生じます。

接触に対する顧客の不安が解消できない

実店舗での買い物が減った理由として、感染症への不安も多く挙げられています。

IT活用を進めないことのデメリットとして、現金での支払いや、レジスタッフとのカードや現金のやりとりで生じる接触に対する不安を解消できないという点も挙げられます。

在庫不足による機会損失

売れ行きに対して在庫が不足している状況は、販売機会の損失につながります。

また、在庫過多による廃棄も、コストを発生させるため注意が必要です。適正な在庫管理という課題に対処しないことも、損失を招くデメリットと言えます。

小売業の働き方改革を進めるIT活用法は?

では実際に、小売業の働き方を変える上でどのようにITは活用できるのでしょうか。具体策を解説します。

支払いのキャッシュレス化

クレジットカード決済やタッチ決裁、QR決裁などのキャッシュレス決裁の導入は、店舗の業務効率化を進める取り組みです。

ユーザーひとりあたりの精算時間を減らせるほか、レジ締め作業時間の短縮にもつながります。

さらに、データ化された購買情報をマーケティングや店舗作りに活用できます。ユーザーにとっても買い物がスムーズになるというメリットもあるため、満足度向上や来店機会の増加を見込めます。

業務効率化を実現する販売管理システム

販売管理や在庫、発注などを担う小売店向けの販売管理システムの導入も有効です。最新の販売データをもとに在庫を適正にコントロールできるため、在庫の不足や過剰を防げます。

また、伝票にデジタル化によって発注業務の負担が軽減できるため、省人化や労働時間削減も見込めます。

AIやデジタルサイネージを活用した接客

デジタルサイネージやロボットを使ったAI接客を取り入れる店舗も増えています。カメラに映ったユーザーの映像や音声をもとに、AIが案内や商品の説明を代行してくれます。

対応の内容によってAIと販売員を使い分けることで、店舗の省人化や、販売員の負担軽減につながります。

オンライン接客の活用

接触による不安の解消や、販売員のテレワーク推進にはオンライン接客の導入が有効です。Web通話ツールなどを使って、販売員がオンライン上で接客を行います。

実店舗と同じように、ユーザーが求めているものをヒアリングし、販売員が商品やプランを提案。ユーザーは、店舗に行く時間や手間をかけずに、専門家のアドバイスを受けながら商品を選ぶことができます。

オンライン接客は、商品陳列の制限がないため、幅広い選択肢から商品を選べるというメリットもあります。

小売・卸売業のIT化成功事例

実際に、小売・卸売業界ではどのようにITが活用されているのでしょうか。成功事例をご紹介します。

顧客情報と社内情報の連携で効率化を実現

灯油やプロパンガスを販売する北海道のアポロ販売株式会社は、クラウドサービスの活用によって業務効率を改善しました。

それまで使っていたメーカー提供の基幹システムには社内の専用端末からしかアクセスできず、2拠点が所有する顧客情報の共有のため、エクセルなどの別作業が発生していました。

非効率を減らすため、どこからでもアクセスが可能なクラウドサービスを導入し外勤社員にスマートフォンを支給し外出先からの利用を進めたことで、業務効率化が実現しました。

また、情報共有がスムーズになったことで顧客対応の質が上がり、顧客満足度も向上しました。

受発注のデジタル化で売上拡大を実現

岐阜県高山市で5店舗の食品スーパーを展開する株式会社ファミリーストアさとうは、それまでほとんど手作業で行っていた受発注業務を、インターネットを使って発注書や納品書などのビジネス文書を交換する流通BMSへと移行しました。

出荷段階から情報をデータ化することで紙の伝票が9割削減され、作業効率も向上しました。

従業員は削減できた時間で、需要が伸びているインターネット販売の仕事を行うことができ、会社全体の販売力強化につながっています。

AI接客でスムーズな予約と店員の負担減を実現

岡山トヨペット株式会社は、車検や定期点検の予約システムとしてAIを使ったチャットボットを導入しました。

通信アプリ・LINEで岡山トヨペットのアカウントを友だちに追加し、車のナンバーや車種を登録すると、チャットボットが案内から入庫予約までを受付ます。必要に応じてオンライン相談窓口と連携することで、スムーズに予約ができる仕組みを作りました。

予約に関する業務時間を削減することで、担当者が、店舗を訪れた顧客とのコミュニケーションなどの重要な業務により注力できる環境を整えています。

電話とシステムの連携で顧客満足度と効率化を実現

バトミントンやソフトテニスのラケットなどを扱う小売店を経営する三重県のエバーラケット株式会社は、地域のITベンダーとラケット販売と顧客サービスに特化した「スマートラケット」というシステムを開発・導入しました。

レジ機能や売上・顧客管理などのすべての業務をカバーするほか、CTIの活用によって、ユーザーからの電話と同時に顧客カルテが立ち上がる仕組みを構築しました。

少ない人数で店舗が運営できるようになったほか、顧客を待たせずに丁寧なサービスが提供できるようになったため店舗のファンが増加しました。

AIカメラ設置で顧客の購買行動を分析

北海道でドラッグストアを展開するサツドラホールディングス株式会社では、AIカメラで顧客行動を分析し、売り場作りに活かしています。

店舗に取り付けたカメラで、顧客の属性や、店内の回り方や結果的に購入した商品などの一連の行動を可視化。購買情報などと共に分析を行い、商品陳列やレイアウトの改善に役立てています。

また、店舗スタッフがレジ打ちや品出しにかかっている時間を可視化することで、繁忙の度合いに対応した最適な人員配置が可能になりました。

今こそ未来のためにIT投資を進めよう!

ITの活用は、人材難や時代の変化への対応だけでなく、将来の成長につながる施策としても有効です。他社の事例も参考にしながら、今こそ、自社にできるITの活用を進めてみてはいかがでしょうか?

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参考・出典

この記事を書いた人

リコージャパン株式会社
リコージャパンは、SDGsを経営の中心に据え、事業活動を通じた社会課題解決を目指しています。
新しい生活様式や働き方に対応したデジタルサービスを提供することで、お客様の経営課題の解決や企業価値の向上に貢献。
オフィスだけでなく現場や在宅、企業間取引における業務ワークフローの自動化・省力化により、“はたらく”を変革してまいります。

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