働き方改革はダイエットと同じ!気を付けようキケンな"リバウンド"

From: 働き方改革ラボ

2018年06月26日 07:00

この記事に書いてあること

働き方改革でのリバウンドとは

働き方改革のゴールとして「残業時間の削減」が挙げられることが多くあります。ただ、従来の目標や仕事のやり方を変えずに残業時間の削減を推し進めていくと、サービス残業などが増えてしまい、従業員の心身に疲労が蓄積してしまうことも。強引な改革は、かえって悪い結果を招くことになりかねません。

また、「テレワークの導入」も進んでいますが、これは普段から会社と従業員の間でコミュニケーションがきちんと取れており、導入の際に適用の範囲や頻度をしっかり検討されていることが大前提。そうでないと労働環境の実態把握が困難になったり、従業員同士のコミュニケーションが十分でなくなってしまったりするおそれがあるのです。

このように、働き方改革の本来の目的を少し履き違えたまま強引に推し進めた結果、改革が後戻りしてしまうことは、まさにダイエットと同じ「リバウンド」と言えるでしょう。

理想だけではうまくいかない!リバウンドを防ぐには

「経営者の一方的な改革は継続しない」

制度や環境を整えずに、とにかく早く帰らせるといったような進め方は建設的でなく、継続しません。働き方改革は、従業員の生き方改革でもあります。そのため、一方的に押し付けられるような改革では、社員のモチベーションを下げてしまうことになります。

上記でも触れた「テレワーク」は、政府も推進している制度の一つです。しかし、テレワークがすでに普及している米国では、それに逆行するケースも。これまでテレワークを積極的に導入していたヤフーやIBMなどの大手企業が在宅勤務を廃止するといった動きが見られ、このことは少なからず今後日本の働き方改革にも影響があると予想されます。

改革のリバウンドを防ぐためには、理想とされる働き方に盲点がないか、そして導入しようとしている制度が本当に自社の体質に合っているのかどうか、いま一度見直してみる必要がありそうです。

リバウンド知らず!先行企業の成功事例

ここでは、「働き方改革」にまつわる制度を導入し、見事定着に成功している企業の事例を2つ見ていきましょう。

イケア・ジャパン株式会社

スウェーデン発祥の家具量販店イケア。日本法人であるイケア・ジャパンでは、半年ごとの契約だった「有期雇用」を廃止し、「同一賃金同一労働制度」を導入しています。これは、イケアグループの信念である「人を大切にする」という考え方に基づく改革です。

制度導入に当たっては、スウェーデン本社の制度をそのまま導入するのではなく、日本の企業に合う形で再構築しました。その結果、「短時間正社員」という働き方が生まれ、さらには全社員の社会保険加入を可能にしました。また、この改革を単なるコスト増大で終わらせないために、制度導入を機に従業員一人一人に自身のキャリアについて考えさせ、マネージャーと共有し議論することで、キャリアプランを明確にさせました。それによって従業員の仕事のモチベーション及び質の向上がみられ、企業のイメージアップにつながったそうです。

伊藤忠商事株式会社

日本の大手総合商社である伊藤忠商事。こちらが導入したのは「朝型勤務制度」です。

以前から自社の残業体質への問題意識があり、「なぜ残業が減らないのか」を突き詰めた結果、最も合理的な方法として「朝型勤務制度」を導入しました。

「朝型勤務制度」は、残業を原則禁止にし、前日終わらなかった仕事は翌日の始業前(朝5時?8時)に出勤するというものです。始業前の労働に対しては、深夜勤務と同じ割増賃金が支払われます。だらだらと続きがちな通常の残業と異なり、「始業時間まで」という制約があることによって業務効率化をはからなければなりません。これは、通常の勤務時間帯の働き方にも大きな変化をもたらしたそうです。

この「朝型勤務制度」は、伊藤忠商事の社員のおよそ90%が肯定的に捉えているそうで、理想的な成功例と言えるでしょう。

以上、2社に共通する出発点は「現場で働く人々に寄り添った改革である」ということ。自社の現状を見据え、「このままで自社や、働く社員の目標は達成できるのだろうか」ということを第一に考えながら制度を確立してきた両社からは、現場の声を細かく拾い上げながら、最適解を追求し続けることの大切さがうかがえます。

リバウンドを回避するには

働き方改革につながる制度は多岐にわたりますが、改革が成功している企業は、制度導入の結果が企業と従業員にとってWin-Winになるような工夫をしています。どちらか一方が我慢するような改革では、継続性が見込めず、リバウンドの危険も。お互いを尊重し合いながら、企業と従業員が手を携えて、自分たちに合った働き方改革を目指したいものですね。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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