働き方改革の未来?海外生産性エキスパートのテクノロジートレンド

From: 働き方改革ラボ

2018年03月09日 07:00

この記事に書いてあること

生産性を高めるテクノロジーのトレンド

働き方改革が本格化し、私たちの仕事のしかたは大きく変わっています。その中でも生産性向上は、働き方改革の中心となるテーマです。

テクノロジーの潮流の中で、海外のエキスパート達はどのように生産性が向上していくと考えているのでしょうか。本日は日本とちょっと違う海外のトレンド、「グラフテクノロジー」をご紹介します。

本記事はCMS WireのThe Future of Work: Enterprise Productivity Experts' Trends for 2018を参考に作成しました。

複雑なことを簡単に、スマートに。

私たちの生活は、数え切れないくらいの便利なデジタルデバイスやアプリケーションによって楽になりました。しかし同時に、膨大なデバイスやアプリ、情報のすべてを使いこなせないという問題を抱えるようになりました。私たちは、便利なはずのテクノロジーを使いこなすのに、とても疲れているのです。

今後数年にわたり、生産性テクノロジーの世界ではコンテキストが注目されることになるでしょう。コンテキストとは個人を取り囲むすべてのデバイスやアプリ、サービスのことです。

グラフテクノロジーは、コンテキストを横断して、一人ひとりの仕事のパターンを理解し、適切な情報とサービスを提供することで、複雑なテクノロジーを簡単に使うことが可能にします。

グラフテクノロジーとは?

グラフテクノロジーは、様々なもののつながり方や関係性に着目した、数学のグラフ理論をテクノロジーに応用したものです。

なんだか難しそうですが、我々の身近なところでたくさん使われています。例えば電車の路線図は、実際の駅の位置関係や高低差を無視して、駅と駅のつながり方だけをわかりやすく表示したグラフの例です。

edf7d03c2083fe30e50a2e4fb71d1eb3b2ca5cd2.jpg 東京メトロホームページより引用

企業における組織図、Facebookなどのユーザー同士のつながり方、文章の中の単語同士の関係などは、グラフ理論によって関係性をわかりやすく示し、分析されている分野です。

例えばデータベースに活用すれば、現在もっとも広く活用されている定形データを積み重ねるRDBに比べて、より複雑で柔軟なデータ間の関係性を記録することができます。

つながり方を、活用する

グラフテクノロジーは、情報と情報、情報と人の関係性を分析することで膨大なデータを整理し、「必要な人に、必要な情報だけを」届けるように活用されつつあります。これが膨大な労働生産性の向上をもたらすのです。

harmon.ieの調査によると、調査対象の41%は身の周りのデバイスから必要な情報をすぐに見つけられましたが、35%の人は必要な情報にたどり着くのに複数のウィンドウを開かなければいけませんでした。さらに、調査対象の67%の人がすべての必要な情報が1つのウィンドウに集められれば、より仕事に集中して生産性を上げることができると回答しています。

マイクロソフトはグラフテクノロジーを活用して従業員のネットワークや繋がりを解析し、それぞれの人に重要な情報だけを仕事環境に提供することで、増え続ける情報の洪水を抑えようとしています。オンラインストレージを提供するBoxも、ビジネスユーザーに適切なコンテンツを提供するサービスに、グラフテクノロジーを活用しようとしています。

重要な情報をつなぐ関係性が明らかになることで、従業員は初めて情報の洪水の中に意味を見出すことができます。グラフテクノロジーは、重要な情報の「つながり方」に基づいてわかりやすいカテゴリーや情報を加えて、情報全体を整理、理解、活用できるようになるのです。

次に、グラフテクノロジーの活用による未来の一部を見ていきましょう。

Eメールの終わりの始まり

Eメールは、我々の多くの仕事生活において重要な役割を果たしてきましたが、今や過去のものとなろうとしています。

チャットツールなどのコミュニケーションの方法は、これまでは情報の整理が難しく、重要な情報や関連する情報をやり取りするのには使いにくいものでした。

グラフテクノロジーによりコミュニケーションの内容を解析してカテゴライズすることにより、Eメールの受信箱のようになんでも情報が入ってくるところから探すことなく、必要な情報のみを必要な時に使うことができるようになるでしょう。

人間 vs 機械

私たちはAIなどの機械により、仕事が変化する時代を目の当たりにしています。AIは人間の仕事を奪うのではなく、人間を補助するようになってきています。繰り返しが多かったり、仕事の量が多かったり、複雑な作業については自動化とAIによって行われるようになるでしょう。

グラフテクノロジーは、AIがパターンを見つける膨大で複雑な仕事の環境情報を取り扱うことに、優れたパフォーマンスを発揮します。

このような時代に人間に求められる能力は創造力、クリエイティビティです。機械の活用により新しいレベルの複雑な役割が人間の手に残るでしょう。機械化は、私たち人間がどのように働くかだけではなく、どこで、なにを、いつ、そしてなぜ働くかを変えていくのです。

人材採用に必要なもの

知的労働者は、膨大な情報や知人との関係性を活用して、あっという間に新しい働き方を見つけてしまいます。つまり、雇用者が創造的で生産性の高い働き方を示さなければ、価値ある知的労働者を雇用することはできません。

若く能力がある労働者は、洗練された仕事環境と刺激的な仕事文化を選びます。グラフテクノロジーを用いて労働者と仕事のコンテキストを活用することは、生産的で協調的な仕事環境を実現する大きな力となります。

サービスとしての人事

人事部門の役割も自動化やモバイル、クラウドテクノロジーにより変化しています。クラウドテクノロジーは、すでに柔軟でカスタマイズ可能な人材管理システムを提供しています。人事担当マネージャーは労働者の仕事の情報をリアルタイムで把握し、また必要に応じて人材を柔軟に配置することができるのです。

グラフテクノロジーは、ここでもこれらの複雑な人事情報を収集、整理して活用できる基盤を提供します。雇用者はいつでもどこでも必要な時にクラウド上の情報とサービスを活用することができるようになるのです。

生産性を高めるテクノロジー

グラフテクノロジーについてのコラム、いかがだったでしょうか。働き方改革が実行段階となる日本では、AIによる仕事の自動化や分析が注目されています。しかし、AIによるソリューションを支える「情報そのもの」を扱う技術についてはあまり議論がされていないように思います。

実用段階に入ったグラフテクノロジーは、これから生まれるさまざまな生産性向上のためのサービスやソリューションの基盤になっていく可能性を秘めています。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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