働き方改革って結局何?生産性向上から考える

From: 働き方改革ラボ

2018年02月05日 07:00

この記事に書いてあること

「働き方改革」がイマイチ分からないあなたに

安倍政権が掲げる「一億総活躍社会」のスローガンのもと、最重要課題として位置づけられている「働き方改革」。しかしこの「働き方改革」は、実行計画や論点をみても内容が多岐にわたっているため、そもそも何であるかが理解しづらくなっています。

そこで今回は、「働き方改革」の最重要ポイントになっていると考えられる"仕事の生産性"を切り口に、この大改革の内容を整理し、具体的にみていくこととしましょう。

なぜ"仕事の生産性"が重要ポイントとして選定されているのでしょうか。

仕事の生産性から考えればスッキリする

「働き方改革」では、多様で柔軟な働き方を選択できる社会の実現、労働者の視点に立った企業文化や風土の見直しなど、現在の日本社会が抱える労働課題への対応が目的とされています。

これらのテーマのもと、残業時間の削減などの長時間労働の是正や同一労働同一賃金の実現、働く意欲のある人が適材適所で働ける休暇制度導入やテレワークの推進による仕組みづくり、ダイバーシティの向上など、具体的な取り組み指針があります。そして、それらはいずれもその実行・実現こそ、生産性を改善する最良の手段と考えられているからなのです。

よって個々の論点や取り組みを総括して考えるには、"仕事の生産性"を第一のキーワードに据えることが適切といえます。逆に、いくら表面的に休暇が取りやすくなったり在宅勤務が可能となったりしたとしても、それが生産性向上につながっていなければそもそもの改革の意義を達成していない、改革は失敗ということにもなります。

「働き方改革」における"生産性"がいかに重要なポイントかが理解できたのではないでしょうか。

仕事の生産性とは?

それでは、仕事の生産性とは何でしょうか。一般に生産性とは、投入する資源と産出するものの比率のことをいい、少ない資源で多くのものを生み出せるほど生産性が高いことになります。

仕事であれば、労働者の数や時間あたりの労働量など、投入する労働や設備資源に対し生まれたものの量や金額、創出された付加価値がどうかをみるということです。

極端に単純化していえば、より少ないコストと少ない労働量で、たくさんの利益を上げようとすることですね。安い元手で楽に働いて稼ぎが大きくなる、成果が大きくなるならば、それに越したことはないでしょう。企業にとっても労働者にとっても、目指さない理由はありません。

「働き方改革」は、このように生産性を向上させて、経済活動を活発にし国際的な競争力も個々の国民における生活も豊かに高めていこうというのが大きな狙いです。

しかしそううまくいくのだろうか、どうやって生産性を上げるというのか、ただこうしてメリットだけを謳われていては、なにやら胡散臭く疑問に感じてしまう方もいるでしょう。

仕事の生産性はどうやったら上がる?

確かに、今までのやり方を何ら変えずに行うならば、労働量と生産量、生み出せる価値は比例します。同じペースなら、長時間働けばたくさんのものを作れる、多くの人数を投入すれば、大きなものを作れるのは当然です。しかしこれでは、生産性の比率においては分母も分子も大きくなっていますから、何ら生産性は向上していません。

また、取り組みによる変化の失敗例として、長時間労働を止めたり、コストを削減したりといった資源投入の部分を小さくすることのみを徹底してしまうケースがしばしばみられます。これは生み出す価値・利益を無視していますから、ただ規模を縮小しただけになりがちで、本来の生産性向上を目指す意義の半分にも満たない結果となってしまうのです。

あくまで両方を考え無駄をなくしながら大きな成果を目指し、従来の業務プロセスや体制を変えてスムーズに作業が完遂できるよう効率アップを図るといったアップグレードが必要なのです。

減らすだけではなく増やすことが必要!

これまでよりも大きな利益を生み出すことは簡単ではありません。新たな商品やサービス、付加価値を生み出したり、新規に顧客を獲得したりしなければ利益は伸びていかないでしょう。

市場に応じ、注力する事業内容や商流も変えていかなければなりません。こうした挑戦はリスクとエネルギー、アイデアを要します。

一律に残業をやめる、休日を増やす、コストを削減するといった措置を上から導入することは実施内容として見えやすいものです。また、習慣化された作業内容に変更を加えないため、適用も容易です。

しかし、それによって顧客を獲得する機会を失ってしまったら本末転倒です。手段と目的をしっかりと吟味し、状況に応じた最適化を図って無駄をなくすことが重要になってきます。

そうして集中的に働き、成果や生産規模はむしろより高いところを目指さなくてはならないのです。

生産性向上の成果をどう活かすか?

また、経営者が一方的に持ち込んだ手法により一時的に生産性が向上しても、労働者のモチベーションが高められていなければ本当の継続的な成功にはなりません。末端の給与や待遇に反映されないなど、内部留保が続けば現場にはやらされている感だけが漂い、不満が蓄積されていくばかりです。

現場で働く人の声を取り入れながら、快適で集中できる労働環境、満足のいく待遇条件を整備して取り組みを進めることも重要です。そうでないと、人手不足の中、優秀な人材はますます流出し、事業を維持することそのものが困難となってしまうでしょう。経営側にとっては、時に痛みとなる要望にも耳を傾けることが、長期的にはプラスにはたらくのです。

生産性向上は経営の最重要課題

少ない働きと資源でより多くの利益を出すというと、そんな良い話は眉唾物、うまくいくわけがないと思われるかもしれません。しかし、実際には古今東西変わらぬ経営の最重要課題であり、それを時代に合ったかたちでどう実行するかが問われています。「働き方改革」の本質もまた、ここにあるといえるでしょう。

「働き方改革」は、柔軟かつ合理的判断に基づいた真の生産性向上なくしては実現されません。一時の成果や小手先の手法を追い求めていては達成されないのです。しみついた体質や習慣を変えることは大変なことですが、全体像をしっかりと見据え無駄をなくしてきちんと成果を上げていく、さまざまなアイデアを出しながら質の高い改善を積み重ねていくことが求められます。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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