1年が経過した「プレミアムフライデー」、その反響と成果と問題点を改めて振り返ってみる

From: 働き方改革ラボ

2018年02月23日 07:00

この記事に書いてあること

プレミアムフライデー開始から1年を経て

月末最後の金曜日に早めの退社を促す「プレミアムフライデー」。日本政府と経団連が推進し、2017年2月24日に始まったこのキャンペーンは、当初は個人の消費を喚起する目的でスタートしました。

しかし、世間の働き方改革の盛り上がりと共に、どちらかと言うと働き方改革に重きを置かれた取り組みのような印象を持たれ、現在に至っているようです。そこで今回は、キャンペーン開始から1年が経過したこのタイミングで、プレミアムフライデーについて改めて考えてみます。

プレミアムフライデーのこれまで

2017年2月の導入前、カルチュア・コンビニエンス・クラブが仕事をしている18~69歳の男女1,603人を対象に行った調査によると、「勤務先がプレミアムフライデーを導入する予定」と答えたのはわずか3.4%でした。

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グラフ出典:カルチュア・コンビニエンス・クラブサイト

しかし、導入時にメディアが大々的に取り上げたことや、飲食店や小売店がキャンペーンを行ったことで、認知度は格段に上がりました。開始から1カ月が経過した時点でプレミアムフライデー推進協議会事務局が行った調査では、導入企業のうち、売上が増えた企業は27.7%とそこそこの結果を残しています。

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グラフ出典:プレミアムフライデー推進協議会事務局

経済産業省

によると、2018年2月時点でプライムフライデーのロゴマークを活用している企業・団体は8,100超えるそう。では、当初の目的であった「個人の消費を喚起する」という点ではどうなのでしょうか。

市場調査会社のインテージが、20?50代の男女有職者3,251名を対象に実施した2018年2月の調査では、プレミアムフライデーの認知率は97.0%と多くの人に知られていることが分かります。

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グラフ出典:インテージ

しかし同時に、9割以上の人はプライムフライデーに一度も早上がりできなかったことが明らかになりました。

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グラフ出典:インテージ

プレミアムフライデー推進協議会事務局によると、プライムフライデーに早く仕事を切り上げられた人の過ごし方は、「家でゆっくり過ごした」「外食・お酒を飲みに行った」「買い物をした」がトップ3となっており、使用金額は平均して6,969円という結果が出ています。しかし、そもそも仕事を早く切り上げる人が少ないため、退社奨励時刻の午後3時を過ぎても飲食店が普段以上に賑わうこともなく、全体を通して見ると成功しているとは言い難い状況です。

プレミアムフライデー、あの企業はどうしてる?

こうした中でも、プレミアムフライデーの定着に向け、現在も継続的に取り組みを行っている企業はまだまだあります。例えばソフトバンク株式会社では、午後3時退社の推奨はもちろん、他社との交流から新たな気づきを得ることを目的として、プレミアムフライデー交流会を定期開催。社員食堂を解放し、ヤフー、東京電力、野村不動産グループ、カルビーなど、異業種企業を迎えて交流を図っています。また、同社のスマホユーザーに対してもさまざまな特典を用意。吉野家の牛丼やサーティワンのアイスクリームプレゼント企画を行うなど、世の中が潤う施策を打ち出しています。

株式会社TSUTAYAでは、サントリービールとのコラボレーションとして、毎週金曜日に店頭でプレミアムモルツブランドの商品を提示すると、旧作DVDレンタル1枚無料になるキャンペーンを実施。ビール片手にリラックスしながら映画鑑賞をする金曜日の過ごし方を提案しています。

三井住友カード株式会社でも、社員の定時退社だけでなく、カード利用者に向けた特典を用意しています。ココイコ!と銘打って対象店をリストアップし、対象店舗でのカード利用に対してポイント増量やキャッシュバックを実施。東日本旅客鉄道株式会社も、アトレをはじめとしたJR系の施設においてポイントプレゼントキャンペーンを行っています。

こうした試みは、消費者だけでなく、企業側にも利益をもたらしています。前述したTSUTAYAでは、月末最終金曜のレンタル売上が5%以上に伸張。三井住友カードがココイコ!に指定した加盟店では、プレミアムフライデー当日の売上が前週比350%になったそう。このように、全体を見るとほんのわずかではありますが、プレミアムフライデーが与える影響はゼロではないのです。

前向きに考えてみませんか?プレミアムフライデーのこと

早帰りしてもその分他の日にしわ寄せがくる、月末の忙しい時期に1時間足りとも無駄にできないなど、プレミアムフライデーに対してはさまざまな意見があるでしょう。

けれど、このキャンペーンは毎日15時に帰ることを促しているわけではありません。ひと月のうちのほんの1日だけ、仕事と遊び(or休息)を両立させる日を作れば、これまでとは違った価値観に出会えるかもしれない。そんな気持ちで、月の終わりの金曜日を過ごしてみるのも悪くはないのではないでしょうか。

街にはお得なキャンペーンも溢れていることですし、プライムフライデーの流れに乗らなきゃ損という考えもあるかもしれません。プライムフライデーに関するキャンペーン情報は、公式サイトに随時更新されるので、早く上がれるかも!という日はぜひチェックしてみてくださいね。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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