【海外企業ユニーク事例】ペットと一緒なら楽しく働けるかも?Amazon社のペット同伴制度

From: 働き方改革ラボ

2018年06月22日 07:00

この記事に書いてあること

「仕事を効率化して生産性を上げよう!」というスローガンのもと、現在多くの企業が、残業時間や休日出勤の削減に取り組んでいます。

ですが、生産性を上げるためには、インプット(労働投入量)を少なくしつつ、多くのアウトプット(付加価値の高い成果)を生み出すことが必要となります。今の「働き方改革」の流れの中では、どちらかというと、少ない労働投入量(労働時間を減らすこと)に関する取り組みに関心が集まりがちですが、付加価値の高い成果を生み出すための取り組みも、もっと注目されていいのでは無いでしょうか。

そこで今回は、「仕事の付加価値を高めて生産性を高める 海外企業ユニーク事例」 として、海外企業の取り組みをご紹介します。ユニークな事例をご紹介する中で、少し視点を変えて生産性について考えてみました。

ストレスフルな職場に必要なもの

突然ですが、皆さんは家でペットを飼っていますか? 「今日も一日よく働いたな。」なんて言いながら、ペットのワンちゃんと一緒に自宅で寛ぐ自分。考えるだけでリラックスしてしまいます。ああ、この殺伐としてストレスフルな職場を離れて、早く家に帰りたい!!

そんなとき、 「家に急いで帰らなくても、ワンちゃんを職場に連れてきなよ。その方がリラックスして、いい仕事ができるんじゃない?」 と会社が言ってくれたら、皆さんはどのように感じますか?

Amazon社のペット同伴制度

まずは、こちらの動画をご覧ください。(Youtubeの音声が流れます)

米国ネット通販大手のAmazon社のペット同伴制度の紹介ビデオですが、ワンちゃんも従業員もなんだかとても楽しそうです。

Eコマースの世界最大手であるAmazon社の米国シアトルにある本社では、6,000匹の犬が従業員と職場を共にしています。同社では創業当時から従業員がペットの犬を職場に連れてきており、そのまま企業文化として浸透したそうです。(Amazon社のブログより)

犬たちは、職場で従業員達を笑顔にするだけでなく、たまにはお仕事もするようです。インターネットを利用しているとたまに「404エラー(そのURLのページが見当たらない)」というエラー画面に遭遇することがありますよね。Amazon社のこの「404エラー」ページには、従業員のペット達が登場しています。

本社ビルには、犬が楽しく走り回れるような施設が整備されており、犬と一緒に楽しめるイベントも開催されています。また、社内にとどまらず、犬を通じた社外のボランティア活動にも広がりを見せており、Amazon社の社会貢献活動にもよい影響を及ぼしているようです。

同社の担当者によれば、職場にペットがいることは、従業員のストレスを軽減し、従業員の士気が高まるだけでなく、Amazon社のコラボレーション文化にも貢献しているということです。

「職場にいる犬たちは従業員達をつなぐ、予想外のメカニズムになっています。従業員達は毎日、犬がいるために、ロビーで、エレベーターで、いろいろな人たちと会うようになりました。」

と担当者は語っています。

忙しく働いていると、同じグループの人とは頻繁にコミュニケーションをとっていても、他部署の人と話す機会って意外に少ないですよね。特に中途入社だったりすると、「同期」といった横のつながりも希薄なので、こういうきっかけで自然に人間関係が広げられるのは、働く側からしても助かります。

ペットフレンドリーな職場の増加とその背景

世の中にある企業全体から見れば少数派ですが、Amazon社に限らず、検索最大手のGoogle社やクラウドアプリケーション等を開発するSalesforce社、民泊情報サイトのAirbnb社など、比較的若いテック系企業ではペットフレンドリーな制度を導入している企業は意外と多そうです。

CNBC社情報サイトNext Generation社ブログより)

それはやはり、ペットが職場に良い効果をもたらしているからでしょう。

ある調査の結果からは、従業員の意欲が高まる、幸福感が高まる、ストレスが低減する、会社への忠誠心が高まる、職場の人間関係を良好にする、など、職場でのペットの存在が単なる癒しを越えて、多岐にわたる効果をもたらすことが分かります。

さらに、若く優秀な人材を採用、定着させるための策としてもペットフレンドリー制度は有効という指摘もあります。

近年、様々な就転職情報サイトが登場し、それまでは知ることが難しかった他社の内部の様子を知ることができるようになり、求職活動のよりどころとなっています。Amazon社のようなユニークな取り組みは目立ちすく分かりやすいため、すぐに多くの人に共有され、「ホワイト企業」としてのイメージが広がっていくのです。これらのイメージが採用活動や、ひいては本業の様々な事業にとってもどれほど効果があるのか、容易に想像がつくのでは無いでしょうか。

ペット同伴が示す会社の姿勢とは

ところで、会社にとって生産性向上が課題なのは日本でもアメリカでも変わりません。しかし、どのように生産性を上げていくのかといった姿勢と、それをどのように従業員に実践させるのか、といった点に違いが見える気がします。

今回ご紹介したAmazon社の制度は、社員のモチベーションを上げることで付加価値の高い成果を出してもらい、企業としての生産性を上げようとする取り組みです。そしてこの取り組みには、日本で現在進む「働き方改革」を考える上で参考になるポイントを2つあげることができます。

まず1つ目のポイントは、会社と従業員の間に「結果を出すためにお互いにベストを尽くす」という暗黙の了解が前提にある、という点です。「ペット連れてきていいよ。」と会社が言っているその裏には、「(いい環境を用意するから)いい仕事してよね。」という期待が込められています。

アメリカは成果主義が浸透していると言われますが、従業員は最高のパフォーマンスを発揮することを約束し、会社側は従業員に対して働きやすい環境とパフォーマンスに見合った報酬を支払う、というカルチャーが根付いていることが、今回のAmazon社のペット同伴制度から透けて見えます。

そして、2つ目のポイントは、会社が行動を規定するのではなく、従業員自らが会社の生産性向上に寄与する行動を起こしやすい仕組みである、という点です。 会社がよくしてくれれば、従業員も長くその職場で働きたいと思うもの。

そうなると、

この会社で働き続けたい

居続けるためには最高のパフォーマンスを出さなくてはならない

最高のパフォーマンスを出すために頑張ろう

というように、自律的な高付加価値を創出する行動につながっていくのです。定例会議で「無駄をなくして生産性を上げよう!」「水曜日はノー残業デーだから早く仕事切り上げましょう!」等々、上司から言われて従業員が動く組織と比べて、どちらが生産性の高い企業になりそうでしょうか。

Amazon社にはなれなくても、できることはありそう

最近は日本でもおしゃれで快適なオフィスを目にするようになってきました。さすがに日本のオフィス環境を考えると、ペット同伴を認められる企業は少ないと思います。ペットアレルギーがあったり動物嫌いであったりする従業員もいるはずですし、動物がいれば匂いや鳴き声、いろいろ環境的にも配慮も必要になるでしょう。

それでも、皆さんの職場で実現可能なことはないでしょうか。全員が毎日ペットを連れて来られなくても、順番に、とか、特別な日を設ける、とか、オフィスの中は無理でも駐車場や(あまり使ってない謎の)中庭を利用するとか、できることが皆さんの会社にもあるかもしれません。あるいは、ペットじゃなくて、みんなで野菜を育ててみるなんてことでも変化が感じられるかもしれません。

一方で、こういったいわゆる福利厚生の充実は、コストではなく投資と位置づけられなければ、会社として大胆に進めにくい側面もあります。それには、先ほど触れたように「従業員の働きやすい環境作りに会社が積極的に取り組み、従業員も会社の期待にパフォーマンスで応える」という意識を、会社と従業員双方が持つことが必要になります。

「働き方改革」の流れの中で日本企業にもこのようなカルチャーが浸透していくか、今後注目したいところです。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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