もう失敗しない!ペーパーレス成功への道

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ペーパーレスを成功させる道を丁寧に考える

ペーパーレスは難しい?

オフィス改革として、古くから叫ばれてきた「ペーパーレス」ですが、さまざまな業種業態におけるICT化が進んだ今もなお、それが実現されたとは言い難く、机上やキャビネット、書棚にあふれる紙類に悩む企業は少なくありません。

ペーパーレス化をより推進できれば、業務も効率化され、経費削減や環境保護の実現、セキュリティ面の向上、緊急事態発生時の事業継続を図るBCPにも有効と、それによって得られるメリットは数多いことが分かっているのに、いざ実践となると現場での実現は難しい……今回はペーパーレスをめぐるそうした状況をあらためて整理し、成功につながる改革を考えます。

ペーパーレスとは、その名の通り紙を使用しないようにすることであり、さまざまな書類を電子的に取り扱い、情報処理や資料の保存におけるデジタル化を進めることです。1970年代から提唱されてきた概念ですが、その当時ならばいざ知らず、パソコンやモバイル端末、各種ITツールの普及により、デジタルデータの取り扱いやクラウドサービスがごく身近なものとなった現在では、紙の需要は自然と減少しており、これほど得られるメリットも多いと考えられるならば、すでにかなりの企業で実現されていてもおかしくないように思われます。

ところが現実には、ペーパーレスの実現が多くの企業・オフィスにおける課題であり続けているのですから、不思議ですね。ペーパーレスの導入はなぜ失敗するのでしょう。この疑問に対する第一の答えは、一律にただとにかく紙をなくそうとすることにあると考えられます。

意味やプロセスを考えない導入は、かえって業務の効率化を妨げ、混乱をもたらすばかりとなり、継続できない改革に終わってしまうのです。ブームにのった無意味な一時の変更ではなく、有意義なペーパーレスを実現するには、それなりのステップを踏んでいくことが欠かせません。

 

直接的メリットとビジネス上の本質的メリット

通常、オフィスではどのくらいの紙が消費されているのでしょうか。業種によっても差があり、消費する紙のタイプもそれぞれ異なりますが、それらを平均しA4サイズのコピー用紙に換算してみると、1人あたり月に約1,000枚、年間約12,000枚になるとされています。多くを占めるシュレッダー紙やオフィス雑紙におけるリサイクル資源化率は、他の消費紙類に比べても大幅に低い60%以下となっており、環境負荷の大きさとしても見逃せません。製紙する際に発生するCO2量も、年間約49キロとなり、地球温暖化への悪影響も懸念されます。

デメリットは環境面だけではありません。紙単体でも年間1人あたり8,000円程度はコストがかかっている計算になりますし、印刷するにあたりインク代や電気代、トナー、コピー機、複合機などの費用がかかっていることを考えると、企業全体におけるコストはバカにならないでしょう。ペーパーレス化を実現すれば、これらの環境負荷や経費を大きく低減させることができます。

これらは直接的なメリットですが、ビジネスシーンにおけるペーパーレスの真のメリットは、さらに本質的な部分、作業時間の削減による業務効率化の実現にあります。

紙の場合、デジタルに比べて編集・作成や配布に手間がかかり、使用後の保管管理、更新手続き、廃棄処分などでも毎回、多くの工数が必要になります。紙でやりとりした決済を待っている時間や印刷の指示、実行、完成を待つ時間、その時々に必要な資料を書棚から探し出して揃える時間など、さまざまな関連する作業とその時間を考えれば、膨大な時間を無駄にしていることが浮かび上がってくるのです。

また、報告書提出や資料の保管管理を紙で行っている場合、その都度オフィスに戻るなど、実際に足を運ばなければなりませんが、ペーパーレスでデジタルのやりとりに切り替えれば、ネットを通じてアクセスすることにより、時間や場所を問わず、出先から直接それらを実行することが可能になります。これまでに要していたオフィスとの往復移動時間は、より利益を生む別の活動に充てるなど、生産性を高めることができるようになるでしょう。

このように、ペーパーレスを実現すると、働き方そのものに大きな変化が生じることとなります。逆に言えば、これまでの習慣化された業務プロセスや取り組み方そのものを見直さなければ、ペーパーレスは達成されないのです。このことこそ、多くの企業がそのメリットを理解していても、ペーパーレスを実現できない最大の要因と考えられます。

 

紙の使い方を整理して見直そう!

現実的な問題として、急に紙の利用を完全に廃してしまうことは難しいでしょう。法的に紙でなければならない書類もあり、紙の方が利便性が高いものもあります。重要なのは何を紙で残し、何をなくすのか、その見極めです。ですからまずは、現状の紙の用途を整理し、考えてみましょう。

社外向けと社内向け、デジタル化できるものとできないもの(向かないもの)で分類してみます。社外向けのデジタル化できるものは販促資料や成果物データ、デジタル化できないものは重要契約書や各種申請書類、正式な請求書などが代表的なものとしてあります。

社内向けでは、デジタル化できるものに上への申請書や報告書、企画書、会議議事録、会議資料、見積書、決済・稟議書などがあるでしょう。それに対し、アイデアメモなど素早く書き留め、分かりやすく示して情報共有を図るシーンでは紙を残すことが有効ですね。

このようにあらためて利用状況を整理し、デジタル化できると判断されたものは速やかにデータ化、社外向けならば必要時のみ紙に印刷するかたちへ、社内向けではアクセス権限を適切に管理したグループウェアのファイル共有、クラウド利用などで、紙を用いない様式に移行すればよいでしょう。

このとき、社内の申請書や決済など、手続きに関わるものでは、より大きなプロセス全体の見直しが重要となる可能性があります。ここでもプロセスの何が必要で何が不要なのか、本質を見極めなければなりません。

社内決済や書類確認に用いている判子を、単純に電子化して電子署名とすることもできますが、電子署名までは不要で、管理者が確認したことさえログに残ればよい場合もあるでしょう。そもそも慣習的に行っている複数人での閲覧確認、捺印による決済が必要か、それ自体が問われるケースもあるかもしれません。ペーパーレスへの移行を機に、十分な見直しを行うことで、迅速な意思決定や工程の削減、最適化を図ることが可能となり、さらに業務効率を上げることもできるようになるのです。

 

中小企業だから無理?いえいえ中小企業こそ実践を!

こうしたペーパーレスのノウハウを提示すると、できればいいことは分かっているけれど、うちは中小だから無理と始めから諦めてしまう方も少なくありません。しかし実際には、規模が小さくフットワークが軽い中小企業だからこそ、こうした業務プロセスの見直しによって達成されるペーパーレスは成功させやすいのです。

コストや手間の削減により、貴重なリソースを本業へと注力させられる率が高まる点も、大企業以上に大きな意味をもつでしょう。限られたリソースをより有効に用い、ビジネスの飛躍的成長を目指すことができるようになる、中小企業にとって、これ以上のメリットはありません。

そうはいってもペーパーレス化に必要な初期投資やツールの料金、導入の手間があると考える方もいるでしょう。しかし近年は、高機能複合機や各種ITデバイス、ファイル共有や社内コミュニケーションを支えるクラウドサービスなど、ペーパーレスを支える設備・インフラの価格が大幅に低下しています。

これまでの業務プロセスを維持し続けることで膨らむコストと比較すれば、今導入を決める方がずっと安く済む、大きなコストメリットも得られるケースがほとんどとなっています。

業務の効率化が図られ、利便性が高まることによって従業員の負担も減り、満足度の向上やモチベーションアップにつながれば、さらなる生産性向上や優秀な人材の確保も望めます。近年、大きく掲げられる「働き方改革」への取り組みも、ペーパーレス化をきっかけに推進していけば、次代に続く大きな成果を得られるでしょう。

単なる紙の削減にとどまらない”ペーパーレス”。2016年に施行された税制改正による電子帳簿保存法の要件緩和など、国も移行を後押ししており、進めやすい環境が整ってきています。ぜひこの機会にあらためて実現を目指してみてください。

 

 

 

 

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