日本人は働きすぎ!?きちんと休むことが「働き方改革」にも
2019年11月12日 07:00
この記事に書いてあること
「働きすぎ」といわれる私たち日本人。働き方改革関連法で「年5日の年次有給休暇の取得」が法律で義務化され、ビジネスマンとしての「休むスキル」についても改めて注目が集まっています。
今回は日本の休日について諸外国と比較しつつ、休暇のもたらす仕事や健康面への影響について考えていきたいと思います。
「働きすぎ」は本当?日本の年間休日数を諸外国と比較
出典:Statista
OECDの2016年の調査をもとに、ドイツの統計会社Statistaが作成したレポートでは、国ごとの年間休日の日数(祝日+法律で定められた有給休暇の最低付与日数)を比較することができます。
対象国で年間休日の日数が最も多いのは、年間休日が37日間のイギリスでした。次いで、フランスとスペインが36日間で続き、日本は25日間で12か国中8位という結果に。
2019年は改元に伴いに休日日数が増えていますが、それでも年間29日(祝休日19日+有給休暇10日)と、欧州諸国やオーストラリアに比べると、日本は休日が少ない国と言えそうです。
休日が少ない意外な国とは?
前章のグラフを見て意外に感じられた方も多いかもしれませんが、実はアメリカの休日数は、他国に比べて圧倒的に少ないようです。これは、国として年次有給休暇を定めていないのが大きな理由。有給休暇については、雇用主と従業員の間で結ぶ契約にて決定されるので、全員が全員有給休暇を取得していないわけではありません。しかし、アメリカ経済政策研究センターの調査によると、なんと労働者の4人に1人が有給支給日数0日というデータもあるようです。
制度上の理由以外に、アメリカ人にはプロテスタント信者が多く、彼らが「勤勉さ」や「献身」に誇りを持つ人種であることも有給取得が少ない理由の一つといわれているそう。一方、カトリック信者の多いフランスでは、アメリカの倍以上の休日を与えられているというのも面白いですね。
休むことが生産性の向上に?
さて、前述の通り日本は決して休日が多い国ではないということがいえそうですが、私たち日本人のなかには「休みたい」と思う一方で、多くの有給を取ることに罪悪感を覚えてしまうという方もいるのではないでしょうか。
しかし、適度に休暇を取ることで仕事への意欲が高まるという調査結果も。ここでは「休むこと」が与える仕事面のメリットについて考えていきましょう。
休暇を取ることで得られるもの。それはなんといっても「リラックス」ではないでしょうか。カリフォルニア大学の研究では、リゾート地でのバカンスや瞑想が、ストレスの軽減や免疫機能の向上に分子レベルで好影響を与えるという結果が示されました。リトリート(日常生活から離れて心身をリセットするための合宿)の参加者には、抗ウイルス活性の向上が見られたという報告も。
一方、適度な休みを取らずに働き続けると、“燃え尽き症候群”になってしまう危険性も秘めているので気を付けたいところです。忙しい毎日が続くときには、短くてもちょっとした休暇を取ることで、ストレスから解放され、また仕事に臨む意欲を取り戻せるもの。
ドイツ、マンハイム大学の研究では、休暇後64%の人が「リフレッシュし、仕事に戻ることに興奮している」と回答していることから、休暇はその後の仕事に対する姿勢につながり得ることがわかります。また、スマホやタブレットなどの電子機器を持たずに自然の中で4日間ハイキングをした後、参加者の創造性が50%増加したというデータもあり、休暇は、取得した後の仕事に向かう姿勢や生産性において、何らかの好影響が期待できるといえそうです。
いずれにしても、一時的に普段と違う行動をしてみたり、仕事からすっかり離れ新鮮な刺激を受けたりすることで、“燃え尽き症候群”になることを予防できるだけでなく、仕事や生活に新たな着眼点を持ち、視野を広められるきっかけになりそうですね。
メリハリのある休暇取得が「働き方改革」に?
日本では、2019年4月1日から有休取得が義務化されました。しかし“義務だから”と有休を無理やり取って、自宅でネットサーフィンをしたり、テレビを観たりして過ごすことが「良い休暇」といえるのでしょうか。
さまざまなレジャー活動を比較したあるドイツの調査では、「友人と過ごす」「スポーツをする」「休暇を取る」ことが健康を大幅に向上するという結果が出たそうです。また脳波の分野の研究では「何もしないこと」「怠惰であること」「空想すること」がリラックスをもたらすアルファ波を作り出すという報告も。
つまり、体や脳を「休ませる」と同時に、「新しいことに挑戦する」「刺激を受ける」といったアクティブな休暇を上手に組み合わせることが、休暇後の生活への活力につながるといえそうですね。
楽しく、そして生産的に働き続けるためにも、休日をうまく活用しながら自身のベストなライフワークバランスを見つけていきたいものです。
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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