ニューノーマルが働き方改革に与える影響

From: 働き方改革ラボ

2020年09月18日 07:00

この記事に書いてあること

人々の生活を一変させた新型コロナウイルスの感染拡大。そのなかで私たちは「新しい生活様式」を求められ、「ニューノーマル(新常態)」という考え方も浸透してきています。今回は、ビジネスにおける「ニューノーマル」がどのようなもので、働き方改革のどのような側面に影響を及ぼすのかについて考えていきます。

ニューノーマルとは

新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、世界中で「ニューノーマル」についての関心が高まっています。

この「ニューノーマル」という言葉は、2007年~2008年のリーマン・ショックをきっかけに生まれたと言われており、「新たな常態・常識」を意味します。

現在、新型コロナウイルス対策として、ソーシャルディスタンス(ソーシャルディスタンシング、身体的距離の確保)を守ることや3密の回避といった「新しい生活様式」を模索している私たち。しかし、たとえ新型コロナウイルスの感染拡大が収束したとしても、ウイルスそのものが消滅するわけではなさそうです。つまり、以前とまったく変わらない生活を再び送ることは難しく、これからは新型コロナウイルスと共存し、「ウィズコロナ」でも生き残るための新たな生活スタイル、「ニューノーマル」を模索していく必要があるのです。

現在の働き方改革への影響

次に、新型コロナウイルス感染拡大が働き方改革にどのような影響を与えているのか、現状を詳しく見ていきましょう。

以下の図(1)・(2)は、 株式会社アイ・ティ・アール が2020年4月に行った、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の感染拡大を受けて国内企業のIT動向がどのように変化したかについての調査結果です。

図(1) 新型コロナウイルス感染拡大に伴う活動自粛が自社IT戦略の遂行に及ぼす影響 │ 株式会社アイ・ティ・アール

図(1)は、新型コロナウイルス感染拡大に伴う活動自粛が自社IT戦略(デジタル化の進展)の遂行に及ぼす影響についての調査です。これによると、「大いに加速すると思う」と「やや加速すると思う」との回答が70%を超えており、企業活動におけるITの重要性が見て取れます。

図(2)新型コロナウイルス感染拡大に伴うIT施策の実施状況 │ 株式会社アイ・ティ・アール

図(2)は、新型コロナウイルス感染拡大に伴うIT施策の実施状況についての調査です。この結果からは、緊急に実施した具体的な対策としてテレワーク導入に関連する施策に取り組んだ企業が多いことがわかります。また、現時点では完全には対応できていないものの、今後実施予定の具体策として、以下を挙げる企業が多く見受けられました。
・「社外取引文書(契約書など)の電子化対象拡大」
・「社内文書(申請書など)の電子化対象拡大」
・「営業活動(商談)のオンライン化」
・「採用活動(会社説明会・面接など)のオンライン化」

今後の働き方改革~「テレワークとの親和性」と「事業継続性」~

図(3)「会社に通勤するかテレワークするか」を選びたいという意向が増えている │ 三菱総合研究所

図(3)は、三菱総合研究所が行った「働き方や消費行動に関する市民の意向」についてのアンケートを、新型コロナウイルス感染流行の前後で比較した図です。

新型コロナウイルスの流行前と比べて「会社に通勤して働きたい」という人が減少し、通勤とテレワークを「使い分けたい」と考える人が10%増加していることがわかります。一方、「会社には通勤せず、自宅やカフェ、シェアオフィスなどでインターネットを通じて働きたい」という人の増減は目立ちません。

このように両方を「使い分けたい」と考える人が増加した背景には、それぞれの企業が行う事業とテレワークとの相性が考えられます。具体的には、高セキュリティ環境下での業務や押印作業などの事情により、オフィスでの業務を余儀なくされるといったケースです。こうした問題を解決するため、現在ペーパーレス化やオンライン化が進められているわけですが、ツールやテクノロジーを導入するだけではなく、業務そのものの改革が求められているといえるでしょう。

テレワークとの親和性も重要である一方、事業継続性についても考えなければなりません。必須業務、縮小可能業務等を整理して業務ごとの優先度を明確にし、事業を継続していくうえで必要最低限の業務について把握しておくことが必要です。これらを踏まえた上で働き方改革を進めていくことが、ニューノーマル下においては重要であるといえそうです。

見直しと再設計の時期

新型コロナウイルス感染拡大の影響により、従来の意図とは異なる形で急速に進んでいる働き方改革。「新しい生活様式」のもと、テレワークや電子化がさらに進むなかで、非効率な業務やそもそもの業務の必要性を再考する必要が出てくるかもしれません。ニューノーマルを模索する企業や人々には、引き続きこれまでの業務の根本的な見直しや、それに伴う早急な再設計が求められているといえるでしょう。

出典:参照

「ディスタンス」と「ディスタンシング」、意味は違う? [新型コロナウイルス]:朝日新聞デジタル
新型コロナウイルスを想定した「新しい生活様式」の実践例を公表しました|厚生労働省
ITRが「コロナ禍の企業IT動向に関する影響調査」の結果を発表 | 株式会社アイ・ティ・アール
働き方改革 第2回:ニューノーマル(新常態)に向けた業務改革 | 働き方改革 | 三菱総合研究所(MRI)
新型コロナウイルス感染症の世界・日本経済への影響と経済対策提言 | 三菱総合研究所(MRI)

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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