ニューノーマルにおけるペーパーレスの指針
2020年10月29日 07:00
この記事に書いてあること
新型コロナウイルス感染拡大の影響で、企業のテレワーク導入が増加しました。それとともに、以前からテレワークにおける課題の一つであったペーパーレス化も、一気に加速した印象があります。
今回は、これからのニューノーマルに対応すべく、今後のペーパーレス化の目指す形について考えていきましょう。
コロナ禍でのDX化
事務機器の業界団体(JBMIA)によると、複写機・複合機の2020年第2四半期における世界出荷台数は、前年同期比71.1%でした。地域別にみると、日本は92.1%、海外は68.6%となっており、特に外出規制の厳しかった欧米諸国で大幅に減少しています。
一方、日経設備投資調査によると、2020年度のIT(情報技術)投資の計画額は、前年度実績比15.8%増となる見通しとのこと。こちらは2年連続で2桁増となっており、企業のデジタルトランスフォーメーション(DX)化が進んできていることがわかります。
テレワーク
企業のDX化が加速している要因として、コロナ禍でテレワークが推し進められてきたことが挙げられます。しかし、テレワークをこれまでに採用していなかった企業においては、テレワークの前提条件ともいえるペーパーレス化が進んでいないようです。紙の資料の閲覧や書類への押印などの作業が引き続き必要とされ、スムーズにテレワークへシフトできていないのが現状です。
ペーパーレス化のメリット・デメリット
働く時間や場所に捉われないテレワーク。導入に当たっては、まず資料や書類のデジタル化及び管理など、できることからペーパーレス化を進めておく必要があります。
ここでは、ペーパーレス化に伴うメリット及びデメリットについて整理しましょう。
メリット
コスト削減
ペーパーレス化が進むと、印刷にかかる経費や書類を破棄する際の経費を軽減できます。また、書類の保管スペースが必要最低限になるので、備品コストの削減やオフィススペースの有効活用にもつながります。
業務の効率化
ペーパーレス化によって、書類のやり取りに費やしていた作業時間を削減できます。また、デジタル化された書類はスピーディーに共有することができるため、さらなる業務の効率化が期待できます。
セキュリティの強化
ネットワークのアクセス制限やログ管理によって、セキュリティ面を強化でき、重要なデータをサーバー上で安全に管理することが可能です。紙で保管した場合の盗難や紛失といったリスクを避けられます。
BCP対策
BCP(Business Continuity Plan=事業継続計画)対策とは、企業が自然災害や大火災などの緊急事態に備え、普段から行うべき活動や緊急時における事業継続のための方法や手段を取り決めておく計画のことです。
紙媒体が主流であった今までは、緊急事態の際に書類が物理的に被害を受けるケースが考えられました。しかし、ペーパーレス化によってこれらをサーバー上に保管することで、デジタル化した書類等を守ることが可能です。また、公共交通機関への影響や感染症の流行などで通勤することが難しい場合でも、会社のサーバーにアクセスできれば業務を継続できます。
デメリット
システムやネットワークのトラブル
何らかの理由でシステムやネットワークのトラブルが起きると、サーバーがダウンしてしまったり、アクセスできなくなったりする危険があります。データの閲覧に支障を来すだけでなく、データを一度に失ってしまうリスクも。セキュリティの強化はもちろん、バックアップシステムの導入や、万が一の場合でも早急に復旧できる体制を整えておくと安心です。
ICTリテラシーの問題
ペーパーレス化の過程で、これまで紙媒体で作成していた書類をデータ化する作業が発生します。閲覧するにもデバイスを介すことになるため、ICTの知識が必要になってきます。また、サーバーやネットワークにおけるセキュリティについての知識がないと、機密情報が外部に漏れてしまうなどのリスクが生じる危険も。ペーパーレス化を実現させるためには、社員向けにICTリテラシーに関する研修などを行う必要がありそうです。
導入時の課題
ペーパーレス化は、単に書類をデジタル化するだけではありません。承認フローや会議の進め方などの業務プロセスを見直し、ペーパーレスを基本とした新たな仕組みやルールを決めていく必要があります。そのためには、これまで慣れ親しんだ業務のやり方を変える必要があり、経費も時間もかかるもの。ペーパーレス化を導入する際は、一気に進めようとせず、長期的に取り組むことが大切です。
ニューノーマル時代のペーパーレス
最近ではデジタルツールが広く普及しており、勤怠管理などのデジタル化は容易になってきています。しかし、これは業務の部分的なペーパーレス化にすぎません。ほかの業務で紙媒体でのやり取りが発生している場合、テレワークのような働き方改革の実現は難しい可能性も。これからのニューノーマル時代において求められるのは、業務プロセス全般のペーパーレス化です。単に紙をデジタル化するのではなく、業務プロセス全般をデジタル化していくことで、柔軟な働き方に対応することができるでしょう。
ペーパーレス化の本質とは
ペーパーレス化というと、「紙をなくす」ことにとらわれ、紙の書類をデジタル化する作業に重点を置いてしまいそうになります。しかし、ペーパーレス化の本質というのは、業務プロセスの変革です。業務プロセス全般をデジタル化することで、テレワークを中心に、ニューノーマルにおける多様な働き方の実現につながるのです。
今一度、現在の業務プロセスを見直し、長期的な視点でペーパーレス化の計画を立ててみてはいかがでしょうか。
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
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