身の丈ITとは?導入の具体策と便利な公的支援を解説

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身の丈ITとは?導入の具体策と便利な公的支援を解説

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地方企業や中小企業・小規模事業者にとって取り組むべき課題のひとつが、ITツールによる業務効率化です。さまざまな規模の企業の働き方改革を進めるため、政府によって「身の丈にあったITツール(身の丈IT)」の浸透を目指した導入サポートや、人材育成の取り組みが進んでいます。今回は「身の丈IT」と働き方改革との関連性や、政府が進める身の丈ITの具体的な支援策を解説します。

※2021年2月に公開した記事を更新しました

働き方改革を進める「身の丈IT」とは?

働き方改革に関連して中小企業に向けた「身の丈IT」の取り組みが進んでいます。そもそも「身の丈IT」とはどういったものなのでしょうか?「身の丈IT」の解説や取り組みの背景を解説します。

「身の丈IT」とは?

「身の丈IT」とは、経済産業省や中小企業庁が推進する「中小企業の身の丈に応じたITツールの普及推進」のための様々な施策のことです。

ITツールを導入することで生産性の向上が期待できますが、ITは手段であって万能なものではないため、それぞれの企業の身の丈にあったITを導入しなければ、活用ができないだけでなく、コスト面や労力面で無駄な投資になる可能性があります。

重要なことは、あくまでも自社の経営戦略に基づいてビジョンや目標実現のための手段としてITを使いこなすこと。ITのメリットだけを見るのではなく、自社の課題を解決するITは何かを見極めることが大切です。

経済産業省や中小企業庁が「身の丈IT」を推進する理由

近年、業務効率化を目的としたITシステムを導入する企業が増加傾向にありましたが、新型コロナウイルスの流行によって、業務効率化だけでなく、事業の継続力強化目的として導入に踏み切る企業が増えてきました。

一方で、ITシステムは年々多様化し、自社の課題にあったシステムやツールを見つけることが困難になりはじめています。自社の経営課題にあったITを導入できなければ、ITを活用できないだけでなく、かえって現場の混乱や経営を圧迫する可能性すらあります。

そこで経済産業省や中小企業庁は、安価で簡単に使えるSaaS型サービスの中から自社の課題にあったITツールの活用を目的として「身の丈IT」の取り組みを推進しているのです。

地方・中小企業のIT化が進まない理由

経済産業省や中小企業庁を中心に中小企業のIT導入を推進していますが、実際の現場ではITシステムの導入が進んでいない企業が多くあります。地方や中小企業のIT化が進まない理由は何なのでしょうか?その要因を説明します。

経営層や社員のITに関するリテラシー不足

地方や中小企業のIT化が進まない大きな理由の一つに、経営層や社員のITに関するリテラシー不足があげられます。ITに関するリテラシーとは、ITを活用するために必要な知識やスキルのことです。

適切なIT導入には、「経営方針の決定」と「現場での取り組み」に関するそれぞれのITリテラシーが必要です。特に経営者のITリテラシーが低い場合には、IT化が経営にもたらす効果や影響などを正しく評価できないため、IT導入に向けた投資が消極的になり、導入に踏み切れないというケースが見られます。

ベンダー側のリソース不足

次に挙げられる要因は、ツールを提供するベンダー側のリソース不足です。ベンダーは社内リソースを大企業が集中する首都圏に割り当てることが多いため、地方企業や中小企業に対する営業活動やマーケティングにリソースが残っていないケースがあります。そのためツールを必要としている中小企業や地方企業に対して、十分な情報を届けられないという課題を持っているのです。

こういった状況のため、中小企業や地方企業はベンダーとの交流も少なくなってしまうため、スタートアップを含めてITの情報不足やベンダーに対する信頼感不足に陥りやすく、IT導入が進まない悪循環になってしまうのです。

ITツールの多様化・複雑化

IT導入の推進が進まない理由として、ITツールの多様化・複雑化もあげられます。ITツールは年々進化を続け、ユーザー側のニーズに合わせたシステムの専門化や、様々なツールと連携して複雑な経営課題の解決をアシストする機能が追加されています。

ツール自体は便利になる一方で、多様化するツールの中から自社に相性のよいツールを的確に選ぶことが年々難しくなってきているというデメリットも出てきています。

2021年度の「中小企業白書」によると、62.6%の中小企業が業務のデジタル化が事業方針上の優先順位が高いと回答した一方で、約50%の中小企業が「適切なITツール・システムがわからない」と回答しました。

ITツールの多機能化・複雑化が進む中で、導入する企業側がITの進化速度に情報が追いついていない点がボトルネックになっているのです。

身の丈ITを進める具体策は?

ここからは「身の丈IT」を実際に企業の中で推進していくための具体策を9ステップにわけて説明していきます。

①自社経営の分析、業務分析による経営課題の抽出

まず自社にITを導入する際には、自社が抱える経営課題が何かを具体的に把握することが重要です。より具体的な経営課題を把握するためには、業務が行われている現場を実際に見に行ったり、従業員と一緒に自社の問題意識を確認していくとよいでしょう。

②経営課題を解決するためのIT導入の方向性の策定

自社の経営課題の整理ができたら、経営課題を解決するIT導入の方向性の策定をしていきましょう。策定の段階では、洗い出した経営課題に対して適したITシステムはどのようなものがあるのかを整理して、自社の経営課題と照らし合わせて比較検討できる準備を整えるとよいでしょう。

③IT導入計画の策定

次に自社のIT導入の方向性をベースに、具体的なIT導入計画を策定していきます。計画を練る際には、他社事例を参考にして自社の「ヒト・カネ・モノ」を棚卸して、導入の時期、予算、導入プロジェクトメンバーの選定といった導入計画をつくっていきましょう。

④製品・サービスやITベンダーなどの選定

IT導入計画に最適な製品やサービスを調査し、それらを提供するITベンダーを探します、ITシステムには製品やサービスごとに用途や機能が変わるだけでなく、同じ製品でもオリジナル開発やパッケージ利用、パッケージの改良など、様々な種類の導入方法があります。選定の際には、自社に合わせたメリット・デメリットを十分に比較検討した上で進めていきましょう。

⑤ITベンダーとの商談

ITシステムの選定後は、実際にサービス提供者となるITベンダーとの商談に入ります。IT導入の目的は自社の経営課題の解決です。そのため、商談の際には自社の経営課題やIT導入によって経営・業務改善を図るべきポイントを明確に伝えることが重要です。さらにIT導入に関する投資額や運用費についても明確に伝えることで、ITベンダーからより具体的な情報提供や提案を受けられるようになるでしょう。

⑥IT導入計画の推進

ITベンダーからの提案内容を元に、経営者や実務担当者が実際の業務に照らし合わせてIT導入計画を具体的に進めていきます。ITベンダー側からの提案に対して特に確認をしたいポイントは3点です。

  1. 提案されたITツールによって自社の経営課題は解決できそうか
  2. ITツールの導入に伴う費用感は想定内か
  3. 自社のキャパシティに対して、ツールがオーバースペックになっていないか

この確認ポイントと共に自社のニーズにあった選定基準を設けて検討し、導入を決定します。また導入の推進にあたって、自社内の体制整備も同時に進めるようにしましょう。

⑦ベンダーと連携してIT導入をする

IT導入の段取りが整った後は、ITベンダーと協力をして導入プロジェクトが始まります。プロジェクトの成功には、自社とITベンダーとの連携が欠かせません。ITベンダーに任せっきりになるのではなく、自社のリソースの確保やプロジェクトチーム内のコミュニケーションも密に行えるようにしておきましょう。

⑧社内への周知と研修

社内へのIT導入が完了した次のステップとして、導入したシステムの社内周知と社員研修が必要です。現場の社員にはIT導入の意図が伝わっていないケースがあるため、ITツールの稼働の前には必ず経営者がトップに立って、ITの導入に至った経緯や、導入によるメリットをしっかりと伝えることが大切です。

社内への周知によって従業員の理解を得られたら、実際にITシステムを使いこなせるようになるための社内研修を進めていきましょう。新しいシステム導入の際には、従業員の習熟度が高まるまでの間、一時的に生産効率が落ちる場合があります。現場の混乱を防ぐためにも、IT導入の直後には一時的に現場の業務ウェイトを減らすなどの柔軟な対応ができる体制の整備をしておくとよいでしょう。

⑨定期的にアップデートをする

ITシステムは導入して完了ではなく、常に経営と現場の状況を確認しつつ、システム自体を自社に最適化する取り組みが必要です。定期的に現場の声を吸い上げ、都度変わっていく経営課題と照らし合わせたITのアップデートをする体制を整えていきましょう。

IT導入に便利な公的支援

中小企業がITを導入する際に便利な公的支援があります。ここでは中小機構が行っている3つの支援サイトをご紹介します。

業務用アプリ紹介サイト「ここからアプリ」

初めてITツールを導入しようとする中小企業や事業者に、使いやすいアプリを紹介するサイトが『ここからアプリ』です。

アプリ内の検索によって、「小売業」「飲食業」などの業種別ツールや、「ホームページ作成」「経費精算」「POS」「給与計算」といった目的別ツールを見つけることができます。さらに導入実績数・初期費用・ランニングコストといったツールの特徴で並び替えが可能なため、自社の経営課題に合わせた最適なツールを短時間で見つけることができます。

サイト内には、アプリの導入事例や支援施策、セミナーなどのIT導入に役立つ情報も掲載しているため、IT導入に関する知識が全くない状態でも安心して活用することができます。

EC活用支援ポータルサイト「ebiz」

『ebiz』は、インターネット販売(EC)を進めたい中小企業や小規模事業者のための情報サイトです。

EC活用支援サービスやツールの紹介、イベント・セミナー情報の他にも、実際にECシステムを活用している企業の取り組み事例が数多く紹介されています。また国内を対象にしたEC事例や、国際的なユーザーを対象にした越境EC、IT活用術の3つのジャンルのノウハウ提供をする動画も充実しています。

EC活用術に関して無料で専門家に直接相談できる支援も行っているため、自社のEC戦略に関しては「ebiz」を参考にしてみるのもよいでしょう。

経営者や管理職層の研修を行う「中小企業大学」

『中小企業大学校』は、中小企業のIT導入を促進する実践的な研修や、IT利活用促進を担う支援担当者を対象とした研修を実施する研修機関です。

商工会議所など中小企業を支援する機関向けの講演会や、「IT導入支援に係るガイドブック」を支援機関に配布するなど、IT導入支援者を増やす取り組みも進めています。

身の丈に合ったIT化で業務効率化を進めよう!

中小企業や小規模事業者にとって、デジタル化のために専任のIT担当者を確保することは困難です。また知識が十分ではない状態でツールの選定や導入を進めても、機能が使いこなせなかったり、自社の課題に見合わない高額なシステムを導入してしまったりといった事態に陥ることもあります。

「身の丈IT」を成功させるためには、サービスの規模や予算も含めて、自社の状況や課題に応じたツールを選ぶことが重要です。サイトでの情報収集やイベントへの参加に加えて、セミナーや専門家のアドバイスを適切に活用するなど、自社に合ったITツール導入を進めましょう。

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ー参考・出典

この記事を書いた人

リコージャパン株式会社
リコージャパンは、SDGsを経営の中心に据え、事業活動を通じた社会課題解決を目指しています。
新しい生活様式や働き方に対応したデジタルサービスを提供することで、お客様の経営課題の解決や企業価値の向上に貢献。
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