働き方改革|医療現場の現状と課題、ICT化による解決策など紹介

From: 働き方改革ラボ

2021年10月21日 12:07

この記事に書いてあること

あらゆる業界で働き方改革が進行するなか、医療現場においても勤務環境の改善が求められています。ここでは、医療現場での働き方改革に関わる方に向け、働き方に関する課題や、課題解決に向けたICTの活用事例などを紹介します。働きやすく、高品質な医療を提供する職場を実現するために役立ててください。

働き方改革は、医療現場にも大きく影響

働き方改革関連法により、一般企業では2019年4月から時間外労働の上限規制が始まりました。

一方、医療現場における働き方改革は少し遅れています。具体的には、一般企業への施行から5年後にあたる、2024年に予定されています。これは、公益性や専門性の高さなどが障壁になり、単に労働時間を削減するだけでは医療体制に問題が生じる可能性があるからです。医療現場の働き方改革が、社会的に大きな問題へと発展しないように配慮されました。

なお「第20回医師の働き方改革に関する検討会」の報告によると、2024~2035年にかけて医師に認められる労働上限は、特例として一般労働者よりも高めに設定されています。 たとえば、標準的な医療機関であれば、残業時間の上限は「月100時間未満、年960時間以下」です。また、地域医療連携や救急医療、在宅医療など、地域医療の供給体制を維持するために「長時間労働もやむをえない」と判断される領域については、残業時間は「月100時間未満、年1860時間以下」まで認められます。

働き方改革の必要性、医療現場が向き合っている現状と課題とは

医療現場でも働き方改革を望む声は多く、特に長時間労働の是正が強く求められています。たとえば「新たな医療の在り方を踏まえた医師・看護師等の働き方ビジョン検討会報告書」では、医師や看護師の働き方について、国から提言がなされました。

また、厚生労働省による「勤務環境改善マネジメントシステム」では、医療にかかわる幅広いスタッフの協力のもと、医療従事者の勤務環境の改善が進められています。このような現状から、医療現場では人材不足や働き方の見直しへの対応が急務になっています。

人材不足への対応

医療現場の人材不足には、少子高齢化による労働力の減少や、育児や介護などによるプライベートの多様化などが関係しています。

医療現場で人材不足が深刻化すると、医療従事者1人あたりの負担が増加し、なかなか人材が定着しない状況に陥る恐れがあるでしょう。厳しい労働環境に耐えられず、退職者が増えると報酬が目減りする可能性も否定できません。
さらなる労働環境の悪化を防ぐには、一刻も早い人材の確保と定着の適切な対応が求められます。

多様な働き方への対応

働き方改革のためには、長時間労働のほかにも改善すべき内容があります。まず、労働時間の把握です。スタッフの正確な労働時間を把握した上で、勤務館インターバルの確保と、インターバルを確保できない場合に備えた例外措置の導入が求められます。

また、医師の心身を守るために健康確保措置の導入も急務です。
さらに、雇用形態による待遇差を見直し、同一労働・同一賃金を徹底する必要もあるでしょう。

医療現場の働き方改革をどのように進めるか

働き方改革を実際行う場合、何から始めれば良いか判断できないケースも珍しくありません。医療現場の働き方改革の進め方を解説します。

現状を分析し、目標達成のための具体的な施策を検討する

まずは、現状の課題を可視化しましょう。

例えば、長時間労働の撲滅といっても、根本的な問題は医療スタッフの不足や、医療業務の複雑さなどさまざまです。見当違いの施策を実施しても、スタッフの負担が増える、医療品質が低下するなどのリスクがあります。

なお、課題を解決する際はKPIを決め、施策の効果を数値的に判断するとわかりやすくなります。 医療現場における働き方改革の事例については、後ほど詳しく解説します。

現場レベルで改善を実行、継続する

看護師や医師が主体となり、勤務環境の改善に向けた行動が進められています。もちろん、総合病院全体で取り組んでいたり、個人の診療所ベースで働き方改革を行ったりしている所も多いです。

勤務環境の改善に向けた行動は、継続してこそ意味があります。継続するうちに周囲が勤務環境について意識するようになり、効果的な改善策が見つかると考えられるためです。 効率が悪い業務を洗い出し、やり方の見直しなどを検討→改善の流れで継続すると良いでしょう。

医療現場における働き方改革の目標と解決策の決め方

働きやすい職場を実現するために、目標と解決策の決め方を紹介します。課題例は長時間労働の是正です。

(目標例)長時間労働の是正

長時間労働の是正に向けて、非効率な業務を減らす、業務の処理速度をあげるなどの対策が求められます。また、医師個人の問題ではなく、医療業界全体として、スタッフ1人あたりの業務量を減らすよう行動しなければなりません。

なお、長時間の労働を行うと心身に疲労が蓄積するため、適度な休息により医師自身の体を回復させましょう。長時間労働後には勤務間インターバルの取得を促進すると、生活リズムを戻しやすくなります。

(解決策)ICTを導入し定着させる

医療現場の長時間労働を是正するには、ICTツールの導入・定着を検討しましょう。ポイントは、医療現場に適したICTツールを選ぶことです。

病院向けのシステムには、患者の状態をみるモニターシステム、基幹システム、電子カルテ管理システムなどが挙げられます。これらは医療現場での使用を前提に構築されたシステムであるため、導入することで医療現場の業務効率が改善・向上しやすいです。

データ管理システムを利用すれば、多くのデータを統計的に分析でき、スムーズな課題解決が可能です。なお、ICTツールを現場に丸投げするだけでは、長時間労働の解決はできません。現場のスタッフがツールを使いこなせるようにサポート体制を整えましょう。

ICTツールの導入事例については、以降で詳しく解説します。

解決策の1つが医療現場でのICT活用

医療現場が抱える問題の解決方法として、ICTの活用が挙げられます。 ICTを導入する場合は、ICT化を請け負う大手ベンダーやスタートアップ企業が提供する、業務支援ツールやサービスを検討しましょう。たとえばRPA(Robotic Process Automation)なら、定型的な事務処理をICTツールが代行します。医療現場ではカルテの取扱いや請求書の作成などが代行され、多くの業務の簡易化が可能です。

医療現場でのICT導入事例

ICTの導入について、実際の医療現場での事例を紹介します。医療業務の効率化から医師の育成まで、ICTは多様な課題に活用可能です。

救命救急医療の現場で、医師育成にICT活用

日本医科大学千葉北総病院 救命救急センターでは、医師の育成にICTが活用されています。救命救急の現場では、落ち着いて臨床研修を行うことが困難でした。そこで医師の育成に導入されたシステムが、RICOH UCS 360 VR Liveです。 RICOH UCS 360 VR Liveは、手術の流れや医療スタッフの動きを360°映像で記録できます。研修医や医学生は、映像を見ながら臨場感ある教育を受けられます。臨場感ある現場の映像を使うことで、効果的な研修を実現できました。

まとめ

医療現場の働き方改革には、課題の可視化が重要です。課題にあった対策を講じ、改善を継続することで労働環境を良い状態するにすることが大切です。ICTツールを活用すれば、業務の効率化につながります。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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