製造業の働き方改革とは?改革すべき理由やポイントをわかりやすく解説

From: 働き方改革ラボ

2021年09月01日 07:00

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法整備などの施策によって国が推進する働き方改革。人材不足や生産性向上といった課題を抱える製造業においても、働き方改革が必要とされています。その取り組みを進める上では、製造業独自の背景を理解することが不可欠です。そこでこの記事では、製造業の働き方改革についてわかりやすく解説。自社での施策を検討する際に、ぜひお役立てください。

※2021年1月公開記事にダウンロード資料を追加しました

働き方改革とは

働き方改革とは、生産性向上によって残業時間の短縮や有給休暇の取得を促し、働きやすい環境を実現すること。働く人が自分に合った働き方を選べる環境作りも推進されています。2019年4月には、職場環境改善や多様な働き方の推進を目的とする働き方改革関連法が施行。法整備を中心に政府が推進する取り組みを「働き方改革の三本柱」で説明します。

時間外の上限を設け長時間労働を是正する

さまざまな業界で発生している長時間労働の問題を解決するため、罰則付きの時間外労働の上限規制が法律で定められました。残業時間の上限は、原則として月45時間・年間360時間。臨時的な特別な事業がある場合も、年間720時間以内、複数月平均80時間以内、月100未満という基準を超えることはできません。

柔軟な働き方ができる

労働人口が減少し人材不足が深刻化する中、柔軟な働き方を認め多様な人材の活躍を促すことも、働き方改革の目的です。政府は、テレワークや時短勤務、また活躍の場を増やしキャリアアップを実現する副業・兼業を推進しています。また、専門職の時間外労働の上限規制を解除し、自律的な働き方を認める高度プロフェッショナル制度も導入されています。

同一労働同一賃金を実現する

3つめの柱は、正規・非正規の間の不当な待遇差を禁止する「同一労働同一賃金」の実現です。非正規雇用社員に対する不当な待遇が問題視される中、どのような雇用形態でも納得できる処遇を受けられる制度を整備し、働き方を自由に選べる環境を実現することが目的です。事業主は社員の雇用形態に関わらず、仕事内容が同じ場合は同じ待遇を与えるべきと法律で定められました。

働き方改革について詳しくはこちら

働き方改革のガイドラインとは?特に知っておきたいポイントを丁寧に解説!│働き方改革ラボ

製造業における働き方改革とは

製造業で働く人の仕事は、営業や管理部門などが行うデスクワークと、ものづくりの現場の業務に大きく分けられます。工場業務では柔軟な働き方を取り入れることが難しいため、働き方改革の方法も目的も、オフィスワーク中心の業種とは異なります。製品作りや加工などの業務が重要な製造業にとっては、工場現場の効率化が最大の課題です。特殊な機械や設備、また会社独自の工程によって行う業務が多いため、一般的な働き方改革の仕組みを当てはめることなく、現場業務の特性に応じた効率化を進めていくことが大切です。

製造業にこそ働き方改革が必要な3つの理由

一般的な働き方改革の取り組みを採用しにくいとはいえ、製造業こそ、働き方改革を進めるべき理由があります。

生産性向上が求められている

製造業においては、現場の作業効率が製品の品質を大きく左右します。また、働きやすい環境の実現が、社員のスキルアップやより良い製品作りにつながります。また、製造業の現場は、オフィスワークに比べて体力面・精神面で働く人に負荷がかかるのが特徴。品質や納期に対する意識も従業員に負担をかけます。労働環境の改善のためにも、製造業の生産性向上は不可欠です。

慢性的に労働力が不足している

製造業の慢性的な労働力不足を解決するためにも、働き方改革は欠かせません。従業員への肉体的負担が軽減されれば、女性や若年層など多様な人材が活躍できるようになり、労働力不足を解消できます。働きやすい環境やワークライフバランスを実現することで、業界や企業のイメージが向上し、優秀な人材が集まることも期待できます。

やりがいや成長意欲に繋がる

製造業には仕事のやりがいを生む取り組みも必要です。自分が製品のどの部分を作っているかわからない、仕事の成果が見えづらいなどの状況は、社員の成長意欲の低下や離職を招きます。自分の業務の見える化することでやりがいや成長意欲を引き出すことが大切です。やりがいは社員のスキル向上や業務効率向上も実現するため、会社の業績アップも期待できます。

製造業で働き方改革を行う4つのポイント

では、製造業で働き方改革の取り組みを行う上では何が必要なのでしょうか。主な4つのポイントを解説します。

自社の現状を把握する

働き方改革に取り組む最初のステップとして、自社の働き方の現状把握が不可欠。まずは、就業規則の労働時間や休日のルールが守られているかチェックします。勤怠データを見直し、残業の発生状況も確認しましょう。その上で、会社全体でどの業務がどのようなフローで行われているかを確認し、それらの業務にかかっている時間を算出して生産性を可視化します。

図面や資料などをデジタル化・ペーパーレス化する

生産性向上に必要なステップが、資料のペーパーレス化です。製造現場に欠かせない図面や書類をデータ化しましょう。紙資料の削減により、保管に要していたスペースを有効活用できます。また、それまで手作業でファイルの中から探していた資料をデータとして検索できるようになるため、作業時間の短縮につながり効率化が実現します。

クラウド利用でデータへのアクセスを容易にする

クラウドを活用することで作業効率がアップします。クラウドサービスは、ネットワーク経由でデータを保管・利用できるサービス。事務所や向上、社外などさまざまな場所からデータにアクセスできるため、業務の効率化が実現します。災害が起きて会社やPCが被害に遭ってもクラウドならデータが失われないため、BCP(事業継続計画)の面でも有効です。

AIやIoT を活用する

AIやIoTの活用も有効な取り組みです。デジタル技術で作業を自動化することで、生産性向上や人的リソースの有効活用が実現します。働く人への負担軽減による労働環境改善の効果も期待できます。社内で省力化できる業務を検討し、検品作業などのステップから自動化を取り入れていきましょう。IoTデータによる稼働率確認や工程の課題の洗い出しも可能で、改善策立案にも役立ちます。

製造業における働き方改革の成功事例

次に、実際に働き方改革を推進して、成功している製造業の企業の事例を紹介します。

セラテックジャパン株式会社

ファインセラミックスの加工を手がけるセラテックジャパンは、若年層の採用や優秀な人材の確保・定着を目的に、働き方改革を推進しています。その主な取り組みは、工程やセクションごとのチームによる独立採算制活動「ミニカンパニー制」。メンバーが目標達成に取り組める環境や、成果が待遇に反映される仕組みによって、生産性向上や残業削減を実現しました。社員の意見聴取の機会創出や、定例会議の時間短縮などの取り組みも実施。休暇の新設や仕事と家庭の両立支援により、有給取得率56.4%、女性育児休暇取得率100%という成果を上げました。

帝人株式会社

適正な労働時間管理やダイバーシティ推進をミッションとするものの、有効な施策が打てていなかった帝人。グループ中期経営計画の「未来の社会を支える会社になる」というビジョンに欠かせない取り組みとして、働き方改革を推進することを決定しました。デスクワークだけでなく、工場、研究所、営業所などさまざまな働き方をしている社員がいることから、各現場に合った取り組みが必要と判断。厚生労働省の「働き方・休み方改善指標」の診断結果を活用し、有給休暇の取得促進のための情報提供、長時間労働抑制を目的とした業務プロセスの見直しなどの取り組みを進めています。

株式会社ミスズ工業

精密加工技術と半導体実装技術を軸に事業を行うミスズ工業は、限られた人員での生産性向上を目指す目的で、残業時間削減や、社員のモチベーション向上や成長につながる働き方改革を実施。目標設定による意識改革や、「上司指示型残業」への移行などの取り組みで、残業時間の削減を実現しました。年次有給休暇の一斉付与、有給取得データ管理などの施策を進めたことで、有給取得率も向上。60歳から65歳への定年の引き上げや、従業員からの意見を職場環境改善に活かす施策なども実施して、働きやすく、働きがいのある会社を目指しています。

まとめ

現場の生産性が、社員の労働時間や自社製品の品質に直結する製造業においては、方針の決定や制度面の取り組みだけでは、働き方改革の成果を十分に上げることができません。また製造業の中でも、製品の特性によって作業や工程もさまざま。それぞれの会社の実情に合った取り組みを知ることが、働き方改革の成功には欠かせません。
成功事例を参考にまずは自社に必要な取り組みは何なのか、確認することから始めてみてはいかがでしょうか。

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