日本の製造業の課題と解決法|デジタル化の実現による効果・注意点を徹底解説

From: 働き方改革ラボ

2022年10月11日 07:00

この記事に書いてあること

日本の製造業は現在、国際競争の激化と新型コロナウイルス感染症の蔓延により、大きな影響を受けています。その中で、働き方改革も推進していく必要があります。この記事では、日本の製造業の課題とその解決方法を解説しています。課題を解決することによる効果も紹介していますので、ぜひ参考にしてください。

※2022年2月に公開した記事をまとめた資料を公開しました 2022/10/11

日本の製造業の現状

日本の製造業は、国際競争力の低下や新型コロナウイルス感染症の影響を大きく受けています。その現状について解説します。

国際競争力の低下

日本の製造業は、国際競争が激化し、競争力が低下しています。人件費が安く、ローコストで生産できる新興国が台頭し、ライフサイクルが早い消費者製品で大きな痛手を被っているのが現状です。

日本の製造業は、先端のデジタル技術を取り入れたスマートファクトリーを実現し、生産工程を簡略化する必要があります。人手をかけずに高品質な商品を生産することも大切です。

新型コロナウイルス感染症の流行による影響

新型コロナウイルス感染症の蔓延による影響で、2020年度のGDPが大きく下落したにより、経済状況の悪化は続いています。経済の回復状況も二極化していて、改善が順調な企業と改善の見通しさえも立たない企業があるのが現状です。半導体をはじめとする資材は、輸入に頼っていたため、入手が難しい状況です。

日本の製造業における課題とは?

日本は、「ものづくり大国」といわれてきましたが、製造業は戦後最大の危機に面しています。ここでは製造業の大きな課題について解説します。

少子高齢化による人材不足

少子高齢化による人材不足は、製造業にとって大きな課題です。高度な技術をもった技術者の高齢化により、技術の継承が難しくなっています。また、技術継承の受け手である働き手も少子化の影響により不足しています。

経済産業省の調査では、94%を超える企業は人手が足りていないと認識し、32%の企業がビジネスにも影響が出ていると答えています。少子化による働き手不足も人材不足の大きな要因です。

はかどらない設備投資

「ものづくり白書」によると設備投資の傾向は、2019年から横ばい状況が続いています。経年とともに老朽化した設備が増えて、新しい設備が導入されていないため、老朽化した設備の最新化が進んでいません。設備投資が進まなければ、IT化やデジタル化が遅れるため、スマートファクトリーの実現も遅れることになります。

災害・感染症によるサプライチェーンの分断

新型コロナウイルス感染症の蔓延や災害によるサプライチェーンの分断も日本の製造業における大きな課題です。サプライチェーンとは、原材料の調達から販売までの一連の流れであり、サプライチェーンが分断されると製造業は大きなダメージを受けます。

その理由は、製造業が部品や原材料の調達から生産、物流、販売というサプライチェーンにより成り立っているからです。災害や感染症により、世界中の工場が影響を受け、半導体をはじめとする部品調達が難しくなり、生産ラインを停止した企業も少なくありません。

製造業の課題を解決するための方法

製造業の課題を回復するためには、国際競争を行かなければなりません。そのためにも、「低コストで複雑な製造工程を必要としないものづくり」を実現させる必要があるのです。ここでは、大事なポイントを3点解説します。

デジタル化による労働環境と働き方の改善

製造業の慢性的な人材不足を改善するためには、デジタル化による労働環境の改善と働き方の改善が必要です。ワークライフバランスを考慮した働き方の推進のためには、デジタル化が必要となります。

ルーティンワークなどはRPA(コンピューター上で行われる業務を自動化する技術)を活用し、リスクの高い作業に産業用ロボットを導入することにより、業務を効率化できます。付加価値の高い業務にのみ人が関わることで、人材不足解消も図れます。

ICT化によるスマートファクトリーの実現

ICT化によるスマートファクトリーの実現も、製造業の課題を解決する方法です。ICTは「Information and Communication Technology」の略語です。情報処理だけではなく、通信技術を活用した産業やサービスなどをさします。

スマートファクトリーは、生産設備や機器をネットワークに接続し、自動的に稼働できるようにした工場です。デジタルテクノロジーによりデータを活用できれば、生産性の向上が可能となります。

サプライチェーンの柔軟な実施体制の構築

製造業の課題を解決するためには、サプライチェーンの再構築も必要です。災害や新型コロナウイルス感染症の蔓延で日本のサプライチェーンの脆弱性が露呈されました。サプライチェーンの可視化を実現し、原材料や資材の調達を見直し、在庫や物流を見直さなければなりません。

調達体制や生産体制の見直しを図ることにより、柔軟なサプライチェーンの構築が可能となります。生産を複数箇所に分散したり、消費地近隣で生産したりするなどの施策も効果的です。

製造業をデジタル化するメリット

製造業は、AIやIoTなどのデジタル技術やシステムロボットの導入することにより、生産性を向上させる大きなメリットを得られます。ここでは、製造業をデジタル化するメリットについて解説します。

人的作業の負担軽減

製造業をデジタル化すれば、人的作業の負担を軽減できます。これまで、20人で行っていた生産工程を、デジタル化により10人で行える可能性があるのです。例えば、検品や管理業務などをAIとIoTに任せることで、人員を削減できます。危険作業はシステムロボットに任せることで、従業員が安全に作業できる環境を整えられるのです。

生産体制の安定

デジタル化により生産体制を安定させることも可能です。データを蓄積し分析することで、在庫の最適化が可能となり、効率的に資材や原材料を仕入れることができます。機械学習を活用すれば仕事の再現率の工場を目指せるため、不良品を生産したり出荷したりするリスクを軽減させられます。デジタル化の実現により、安定して高品質製品を製造し出荷できるのです。

開発・製造にかかる時間・コストの削減

製造業をデジタル化すれば、商品開発にかかる時間や製品化する時間を短縮させられます。IoTで集めたデータをAIが分析すれば、商品開発時間が短縮でき、製品化までにかかる時間やコストを削減できます。顧客のニーズにも迅速に対応できるでしょう。データ分析により、設備や機器のトラブル起こることも予測できるため、生産ロスを最小限に抑えられるのです。

ベテラン技術の継承

デジタル化は、ベテラン技術者の技術の継承にも役立ちます。AIに技術者の技術をデータ化しAIに継承させることで、従業員の誰もがベテラン技術者の技術を習得できるようになります。さらに多言語化すれば、国内の従業員だけではなく、海外の従業員にも技術の継承が可能となり人材育成がスムーズに進みます。

製造業をデジタル化する際に気をつけるべきポイント

製造業の発展と維持のためには、デジタル化は避けて通ることができません。ここでは製造業をデジタル化する際に、注意すべきポイントについて解説します。

デジタル技術を活用できる人材が必要である

製造業のデジタル化には、デジタル技術を活用できる人材が必要です。ICTをはじめとするデジタル技術の知識のある人材は、どの企業でも需要が高いため、雇用促進を図っても確保が難しいかもしれません。外部人材の受け入れや外注なども検討し、人材確保に努めましょう。

デジタル化の導入コストが必要である

製造業のデジタル化には、多額の導入コストが必要です。工場内の機器を一気にデジタル化させようとすれば、高額な初期費用を準備しなければなりません。安全な経営を考えれば、スモールスタートさせる手段も検討すべきです。定型業務や生産ラインの1つなどを選んで、デジタル化させることから始めることも可能です。

セキュリティ対策が重要である

製造業をデジタル化させるためには、これまでデータ化しなかった技術者の技術力や新商品の開発情報までデータ化します。つまり、大量のデータを扱うことになるのです。生産現場は、情報のセキュリティが行き届いていないケースがあります。企業全体のセキュリティを高めるなどの施策を講じなければ、大きな損害を被るかもしれません。

製造業でのデジタル化を推進するためのステップ

次に、製造業でのデジタル化を推進するためのステップを解説します。

1.デジタル化で解決したい課題を洗い出す

デジタル化の推進のためには、まず、デジタル化により解決を目指す課題を洗い出します。経営陣が認識している課題だけではなく、従業員へのヒアリングも大切です。課題が出揃ったら優先順位を設定し、全従業員で取り組むようにしましょう。

2.デジタル化で目指す企業イメージを描く

次にデジタル化が成功した場合の企業イメージを描き、従業員に周知しましょう。デジタル化のスタートは、全従業員とイメージを共有することが大事です。具体的なロードマップを作成し、何をすべきかを明確にする必要もあります。

3.小規模な取り組みから始める

デジタル化は、小規模な取り組みから始めましょう。いきなり大がかりなデジタル化を始めることは、資金面・人材面を考慮すると難しい可能性があります。まずは、製造現場の課題から始めるとよいでしょう。データ入力などの定型業務や検品作業などが、取り掛かりやすい課題といえます。

4.段階を追って全社レベルでのデジタル化をすすめる

製造業のデジタル化のゴールは、全社的なデジタル化の実現です。一気に加速して進めるのではなく、段階を追ってゴールを目指すようにしましょう。スタートしたデジタル化の1つ1つを検証し、次の課題に取り組むことが大切です。

デジタル化を実現した製造業の事例

次に、デジタル化を実現した製造業の事例を紹介するため、参考にしてください。

データ入力の自動化とペーパーレス化を果たした企業の事例

淡水活魚・水産加工品の卸売・鰻蒲焼の小売・飲食業を営んでいる株式会社鯉平では、大量の納品書の手入力が課題でした。既存の仕入管理システムに「RICOH Cloud OCR」を連携し、納品書入力の自動化を実現しています。これにより、ペーパーレス化も実現し、リアルタイムな業績管理できています。

工程表管理のIT化で業務効率化の向上を果たした企業の事例

金型の設計・製造を中心に自社製品の開発も行う株式会社日清精工では、生産状況の一元管理と情報共有が課題でした。打ち合わせでの工程表を表示することも困難であったため、「リコー インタラクティブホワイトボード」を導入。大画面に映した工程表に書き込んで、工程表を更新できるため、全員が共有できるようになりました。生産計画に対する意識も高まり、ミスも軽減しています。

製造現場の課題抽出から改善までの時間削減を果たした企業の事例

自動車用燃料系部品のエキスパートとして、フューエルポンプモジュール、フューエルフィルタ、燃料噴射用電磁弁などを手掛けている京三電機株式会社では、作業員の工数把握が課題であり、現場作業の良し悪しの判断材料がありませんでした。その課題を解決するためにIoT(位置情報+ALR)を導入。
導入効果として、可視化時間が大幅に短縮。従業員の作業負担は軽減され、生産ライン立ち上げ部分を短縮できています。

まとめ

日本の製造業の課題は、サプライチェーンの分断や激化する国際競争の中で、設備投資が進まないなどがあげられます。中でも、少子高齢化も影響している慢性的な人材不足は深刻です。早急な対策が求められています。自社の状況を見直し、デジタル化を取り入れるのも一案ではないでしょうか。

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