産業医に聞く「ビジネスパーソンがインフルエンザにかかったら?」
2019年01月30日 07:00
この記事に書いてあること
乾燥するこの時期、全国でインフルエンザの患者が急激に増えたことから、各自治体では「流行警報」を発表し、こまめな手洗いなど対策の徹底などの対応策を訴えています。
幼稚園や学校では学級閉鎖などの措置がとられることもありますが、いざ仕事となると無理を押して通勤している人がいるとも耳にします。
そこで、「インフルエンザに罹患したら、ビジネスパーソンはどうしたらいいのか?」という切り口で、産業医の土屋先生にインタビューしてきました。
インフルエンザ罹患に法的な制限は?
―インフルエンザに罹患した場合、無理して出社する人もいると聞くことがありますが、ビジネスパーソンの出社について法的には何か制限があったりするんでしょうか?
インフルエンザは伝染力が強い病気です。学校では「学校保健安全法」に基づいて、学級閉鎖や登校禁止とする判断基準が定められています。
しかし、会社に適用される労働安全衛生法には出勤停止を定める項目は無く、出社を禁じる強制力はありません。それぞれの会社が規定を定めていれば、その規定に応じて出勤停止の措置となります。
― 一律での法的な強制力は無いんですね。かといって、無理に出社するのは危険ですよね。
インフルエンザを風邪の延長と考えている方も一部いらっしゃるようですが、体力のないお年寄りや子供が感染すると、 場合によっては命にかかわる病気であるということを広く認識していただきたいです。労働安全衛生法そのものには出勤停止を命じる強制力はありませんが、 職場で働かれる全ての人たちが安全に働くためという視点で、インフルエンザに罹患した人には、出社停止を命じることが望ましいです。
― 一般的には、どの程度の期間は出社しない方がいいんですか?
学校保健安全法の「発症した後5日を経過し、かつ、解熱した後2日を経過するまで学校に登校してはならない」という規則を基に、 出社停止期間を定めている会社さんが多いようです。ここでのポイントは「解熱した後2日」というところですね。
タミフルやリレンザなどの対処薬によって、非常に早く解熱されることがあります。しかし、ウイルスそのものは体内に残っているため、 他の人に感染させてしまう可能性が残っています。だいたい2日が経過すれば、感染力も無くなる頃になるので、出社可能となるという判断基準になっています。
新薬も話題ですが、服用については主治医にご相談ください。
― 感染力があるのに本人には自覚症状がない、というのはやっかいですね。
まずは熱が下がるまでは、しっかりと睡眠と栄養を取って回復に努めてください。その上で、解熱後の2日間は感染者を増やさない働き方をしていただきたいです。
こまめな手洗いを行い、マスクをつけること。人が密集する満員電車などは避ける。最近であれば、在宅勤務などテレワークで仕事をする、というのも選択肢となりますね。
―「熱が下がったら、まずは在宅勤務」ですね。普段からテレワークができる環境を整えておくことも必要ですね。
インフルエンザにかかったら
インフルエンザにかかったら、まずはしっかり回復させることが大切です。
その後は、感染者を増やさないためにも、在宅勤務を選択肢に入れていきましょう。
記事協力
株式会社リコー
産業医 土屋 明大 (つちや あきひろ)
記事執筆
働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営)
「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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