多様なワークスタイル変革を支える勤怠管理ツールの選び方とは?

From: 働き方改革ラボ

2021年12月14日 07:00

この記事に書いてあること

2019年4月に施行された働き方改革によって、企業内で個人の働きやすさが求められるようになりました。

働き方改革の中でも特に重点的に取り組まれている内容が「労働時間の短縮」、「ワークライフバランスの充実」、「有給休暇義務化」です。特に2020年の新型コロナウィルスの流行によって、リモートワークや在宅勤務、フレックス制のなど多様なワークスタイルが注目されています。

しかし多様なワークスタイルが普及する中で、労働時間の管理が複雑化する問題も出てきています。こうした状況の中、企業はどのようにして労働時間の管理をしていくべきなのでしょうか。

今回は多様化するワークスタイル変革についての解説と、それに対応できる勤怠管理ツールの選び方のポイントや主な勤怠管理ツールについてご紹介します。

※2018年7月に公開した記事を更新しました

ワークスタイル変革とは?

ワークスタイルとは一般的に「働き方」を意味する言葉です。個人目線では自分自身の働き方を意味し、企業や経営者目線では労働環境という意味を指すこともあります。

従来までのワークスタイルといえば、個人が会社組織に所属し、指示に従って働く形式が一般的。労働環境という目線では決まった時間に会社に出社し、与えられた仕事やタスクをこなすことを意味していました。

しかし近年では従来までのワークスタイルに変革が起こり、会社組織に所属している個人でも自由にワークスタイルを選択できる動きが企業間で求められるようになりました。これがワークスタイル変革と呼ばれるものです。

ワークスタイル変革が求められるようになった背景

ではどのような経緯が背景として、ワークスタイル変革が求められるようになったのでしょうか?4つの大きな変革が背景として考えられます。

1.労働人口の減少

日本の少子高齢化に伴って、労働人口は年々減少傾向にあります。当然、少ない労働人口でも高いパフォーマンスを出し続けられるように、従業員一人ひとりには従来よりも高い生産性を求める必要が出てきました。

さらに2019年4月に施行された「時間外労働の上限規制」によって、今後はますます残業がしにくい環境になっていくことが予想されます。経営者や管理者層は少ない労働リソースを有効活用し、高い生産性を出す必要が出てきたことから、ワークスタイルの変革が企業目線でも求められるようになったと言えます。

2.外国人人材の増加

企業のグローバル化が進んだことによって、外国企業との取引はもちろん、職場の中に外国人人材がいる光景は珍しいものではなくなりつつあります。日本国内の人口が減少するということは、企業の生き残りには国内外問わずグローバルな展開を視野に入れる必要があるため、外国人人材と接する機会は今後ますます増えていくことでしょう。

すると必要になることは、外国人人材の母国帰省のタイミング確保や、彼らの宗教への配慮、そして外国人としてのワークスタイルの確保が必要になってきます。外国人人材と接する機会が増えることは、従来までの日本特有のワークスタイルでは通用しなくなるケースも増えてくるため、ワークスタイルそのものの変革が求められるきっかけとなったのです。

3.ITの発展

グローバル化と共に変化を遂げているのがITの発展です。戦後からバブルまでの日本は重工業中心の職業が多く、男性が外で仕事をして、女性が家庭を守るという昔ながらの日本風のワークスタイルが一般的でした。

しかし2000年代より世界規模でのITの発展によって、パソコンやスマートフォン1台あれば仕事ができるようになり、昔ながらの日本風のワークスタイルは必要なくなりました。その結果として職業が多様化し、男女問わず自由なワークスタイルで仕事をできるようになりました。

4.政府による働き方改革の推進

2019年の働き方改革法の施行によって、企業間のワークスタイル変革が強く求められるようになりました。そもそも働き方改革法とは、従来までのワークスタイルの問題点を解決するために、長時間労働の是正や公正な待遇の確保など様々な取り組みを政府が主導となって取り組む法律です。

働き方改革法の中でも特に「柔軟な働き方がしやすい環境整備」への取り組みの一貫として、副業や兼業の許可、リモートワークの導入など働き方の選択肢の多様化がワークスタイル変革を大きく推し進めるきっかけとなりました。

ワークスタイル変革への具体的な取り組み

日本の少子高齢化に伴う労働人口の減少や外国人人材の増加、ITの発展などによってワークスタイルの多様性が求められるようになりました。そして2019年4月施行の働き方改革法によって、ワークスタイル変革の動きは企業の間でも一般的なものになっていきました。

それではワークスタイルを変革するには、どのような取り組みが必要になるのでしょうか?ここでは人事労務に関する取り組みと労働環境改善への取り組みの2つの観点で見ていくことにしましょう。

雇用形態やルールの見直し

ワークスタイル変革の人事労務に関する取り組みとしては、雇用形態や労働に関するルールの見直しが必要です。

雇用形態の見直し

ワークスタイル変革への取り組みとして必要なことは、働く人の育児や介護との両立やプライベートの充実、適切なワークライフバランス実現できる雇用形態の実現です。

例えば育児や介護をしながらも仕事に取り組める時短労働や、在宅勤務や海外でも働けるリモートワークなどの導入、定年退職後も働ける嘱託社員などの雇用形態の多様性を検討する必要があります。

社内ルールの見直し

雇用形態や働き方の多様化によって、従来までの職場環境でのルールでは運用がうまく行かないケースが出てきます。そこでワークスタイル変革に対応したルールの見直しも必要になってきます。

例えば業務効率化を図るために社内SNSを導入し、グループ内の指示や伝達は社内SNSを通して実施するルールを徹底すれば、場所が時間がそれぞれ異なっていても確認ができるため、管理工数削減が見込めます。

またワークスタイル変革に対応した職場環境ルールを設定することで、働きやすさの向上から従業員の満足度にもつながっていきます。結果として、生産効率の向上や離職率の低下など企業としての利益にも還元できる取り組みとなります。

ICTツールの見直し

雇用形態や社内ルールの見直しと並んでワークスタイル変革への対応に必要なものはICTツールの導入や使用しているツールの見直しです。

ICTとはインターネットなどの通信技術を利用した製品やサービスのこと。特に在宅勤務やリモートワークなどの離れた環境でも円滑に業務のやり取りをするためには、ICTツールが必須アイテムとなるでしょう。そこでワークスタイル変革に欠かせない4つのICTツールをご紹介します。

WEB会議ツール

WEB会議ツールとはパソコンやタブレット、スマートフォンを使用したオンライン会議ツールです。営業所や支社が全国にある会社や、リモートワークで従業員がそれぞれ離れたところで業務に取り組んでいる場合は、WEB会議ツールを使用することで相手の顔を見ながら会議ができるようになるため、コミュニケーションを円滑に行うためには必須ツールとなります。

ビジネスチャットツール

ビジネスチャットツールとは、ビジネスに特化したチャットツールのことです。メールよりも手軽にやり取りができることから、コミュニケーションの速度を高めることができます。

オンラインストレージツール

オンラインストレージツールとは、データをクラウド上に保存することでどこからでも必要な時に必要なデータにアクセスできるツールのことです。オンラインストレージにデータをアップロードすることでチーム内や取引先にも共有が可能なため、離れたところで作業をしていてもデータや資料の共有のために出社や出張の必要がなくなります。

勤怠管理ツール

ワークスタイル変革に欠かせないICTツールが勤怠管理ツールです。従来までの社員の労働を職場内で管理できていたワークスタイルとは異なり、社員それぞれが働く時間が多様になったり、自宅や職場から離れたところで仕事をするケースも増えてきています。

その結果として、社員の勤務状況の管理が複雑になり従来までの勤怠管理ではワークスタイル変革に対応できなくなってきました。これからの勤怠管理は多様化する社員の働き方の推進とそれを管理できる機能が求められるようになります。

ワークスタイル変革を支える勤怠管理ツールの選び方

ワークスタイル変革は社員それぞれが働きやすい多様な労働環境をつくることです。企業としては、社員の働きやすい環境つくりを推進していく一方で、多様な社員の働き方に対応する勤怠管理をするシステムの導入が必要になります。

そこでここからはワークスタイル変革を支えるために、企業はどのような勤怠管理ツールを選ぶと良いのか見ていくことにしましょう。勤怠管理ツールの導入のポイントと主な勤怠管理ツールについてもご紹介します。

ツール選定の際に優先すべきポイントは?

まずは導入する勤怠管理ツールについて、優先すべきポイントは何なのかを確認していきましょう。

必要な機能は何かを考慮する

勤怠管理システムはさまざまな機能を備えていますが、製品やサービスを選ぶ際には、まず自社にとって本当に必要な機能はなんであるのかを考慮した上で、使い勝手の良いものを優先するべきです。

豊富な機能が備わった製品を導入しても、社員の誰もが使いこなせるような製品でなければ、かえって導入後の方が負担が増えてしまうことになりかねません。

導入後のサポートも確認する

導入の際には導入後のサポートも確認しておく必要があります。法律や条例などの改正への対応をはじめ、障害やトラブルが発生した時に、迅速に対応できる体制が用意されているかどうか。またカスタマイズ等への要望に柔軟に応じてもらえるか、といった点も考慮する要があります。

選ぶべきはクラウド型かオンプレミス型か

勤怠管理システムには自社でサーバーを立てて運用するオンプレミス型(パッケージ型)とインターネット経由でサービスを利用するクラウド型に分けられます。現在はクラウド型が主流になりつつあり、以前はオンプレミス型で提供してきたメーカーも、その多くがクラウド型でも提供するようになりました。

クラウド型の勤怠管理ツールとは?

クラウド型のメリットは、サーバーなどの設備が不要で、登録すればすぐに使い始めることができる点にあります。利用中にシステムの面倒を見る必要もありません。また低コストでスタートできる上、従量課金制のため必要なアカウント分だけを導入すれば良く、自社に合わなかった場合は利用を止めて他のサービスに乗り換えることも容易です。

オンプレミス型の勤怠管理ツールとは?

オンプレミス型は自社でサーバーを立てて使用するため管理されたデータを社内から出しくたくないというセキュリティ上の理由や、カスタマイズが比較的容易などのメリットから選択するケースが多いようです。

勤怠管理ツール7サービスをご紹介!

株式会社オービックビジネスコンサルタント「奉行シリーズ」

中小企業向け業務パッケージとしておなじみの「奉行シリーズ」の就業管理システムで、どこからでも申請・承認ができる上、出退勤管理や残業計算・休暇管理などの作業をすべて自動化。自社の業態にあわせた労働時間管理が実現します。法制度の改正やITを含めた環境変化にも継続的に対応します。

応研株式会社「就業大臣」

長時間労働や時間外労働超過をアラートで警告してくれるため、働き方改革の推進に効果的です。また複雑なシフトやスケジュール、休暇の管理にも対応。他の大臣シリーズとシームレスにデータを連携できるため、業務の効率化を促進し、転記や集計にまつわるミスを軽減できます。

勤次郎株式会社「勤次郎Enterpriseシリーズ」

生産性の分析や人員の適正配置などに活用できるデータを作成できます。タイムレコーダーなどの端末なしでWeb環境から管理できるWebオプションも用意。ユーザーの運用方法に合わせて選択できる様々なタイプをラインナップしています。

クロノス株式会社「クロノスPerformance」

30年以上の豊富な実績を持つ。多業種での活用が可能で、他社給与ソフトと連動でき、通常はオプションとなることが多い機能も標準で装備。予防アラート通知機能により過重労働等ストレスのもとになる残業時間も抑止できます。

アマノ株式会社「TimeProシリーズ」「VG Cloud」

アマノ株式会社の「TimeProシリーズ」と「VG Cloud」は事業規模に合わせた導入が可能である点が特徴です。従業員数300名?3,000名の中・大規模企業向け就業管理の「TimePro-VG」、従業員数500名以下の中小企業向けの就業・人事・給与・セキュリティのトータルパッケージの「TimePro-NX」、従業員数50名?500名以下の中小企業向けクラウド従量課金制の「VG Cloud」を主なライナップとして取り揃えています。

株式会社 DONUTS「ジョブカン勤怠管理」

変形労働時間制やフレックスタイム制、裁量労働制など、さまざまな勤務形態に対応しているほか、機能を単独で利用できるため、自社に合った形でシステムを導入できます。シフト管理機能が優れており、アルバイトを主軸に事業を行う飲食店や小売業などに多く利用されています。アルバイトやパートのシフト管理がしやすいのも特徴のひとつです。

株式会社ヒューマンテクノロジーズ「KING OF TIME」

シンプルな画面構成で誰でも簡単に使えます。勤怠管理に加え休暇管理、各種申請(休暇等)、スケジュールなどの機能も充実しており、給与計算システムとも連携可能。2つの拠点(東京・大分)にそれぞれ専門のスタッフを配置してサポート対応を行うなど、充実した運営管理体制を整えています。

ワークスタイル変革を支える勤怠管理のために

多様な働き方を実現するワークスタイル変革の実現は、個々のモチベーションを高め、能力を引き出し、業務の生産性向上へと繋がります。生産性が高まった職場からは大きな価値となるイノベーションや新規事業、市場開拓、ニーズの掘り起こしを効果的に後押しするものになります。

このワークスタイル変革を支えるためには、多様な働き方をする社員の勤務形態に柔軟に対応することができる勤務管理システムやツールが必要になります。導入の際には、かえって管理工数が増えてしまわないように自社の特性にあった勤怠管理ツールを選定するよう注意しましょう。

働く人がその能力を最大限に発揮できる仕事環境を整えることは、人材能力を有効に活用し、多様性に富んだ人材と市場の変化に対応していくという、これからの時代を生き残るために必須の力をもたらすはずです。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
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