製造業の働き方改革とインダストリー4.0

From: 働き方改革ラボ

2019年04月25日 07:00

この記事に書いてあること

製造業の改革?インダストリー4.0とはなにか?

製造業を改革する取り組みとして「インダストリー4.0」がありますが、なかなかわかりにくい…という方もいらっしゃるのではないでしょうか。本日はインダストリー4.0の解説と、働き方改革とどのように関係するのか?をご紹介します。

インダストリー4.0はこんな取り組み

インダストリー4.0は、ドイツ製品の国際競争力を高めるためにドイツ政府が2011年から推進している技術政策です。蒸気機関による機械生産、電気による大量生産、コンピューターによる自動化に続く、新しいモノづくりの時代として第4の産業革命と位置づけられ、生産や流通の現場をネットワークで繋ぎ、デジタル化、自動化、バーチャル化することによって生産性を向上させる「スマートファクトリーの実現」を目指しています。

スマートファクトリーは、品質や状態などの様々な情報を「見える化」して、設備や材料、在庫、人を「つながる化」することで、生産性を高めることが期待されています。

直近では、膨大なデータを超高速かつ端末側の負担を少なくやり取りできる5G通信の登場で「つながる化」が強化され、ネットワークにつながった小さなセンサーやデバイスによるIoTを後押しするでしょう。 5G通信は日本でも2020年春に商用サービス開始を予定しているため、日本におけるインダストリー4.0はますます加速すると予想されています。

インダストリー4.0が実現されるとどうなるか?

インダストリー4.0では、製造に関わる機械やデバイス、センサーの間の通信を共通規格に統一することで、これまで機械やデバイスごとに必要だった設定や調整をなくして、情報を連動させようとしています。

情報が連動化されると、作業の自動化だけではなく、機械が自律的に判断できるようになり、人間の判断が必要だった複雑な作業を効率化できます。

また、生産工程や流通工程を情報化することにより、現実の工場とそっくりな機能と能力をバーチャルで再現できます。この仮想工場によって、新しい生産方法をテストしたり、事故をシミュレーションして未然に防止できるのです。

インダストリー4.0では、こうした生産管理情報や図面・仕様情報、売上原価の情報に、人の判断を連動して活用する新たな製造工場を「スマートファクトリー」として実現を目指しています。

カイゼンとインダストリー4.0の違い

製造現場を大きく変えるインダストリー4.0ですが、これまで製造業で続けられてきた生産性向上の取り組み、カイゼンとの違いはなんでしょうか?

カイゼンはボトムアップでの取り組みを重視するため、その工夫やノウハウが現場や工場内、企業内にとどまりがちという特徴があります。

これに対してインダストリー4.0は、現場からの情報のボトムアップだけではなく、トップダウンで共通となる規格や仕様を定めて推進されているのが特徴です。これにより、特定の企業だけではなく、製造業全体の生産性を向上することを目指しているのです。

日本版インダストリー4.0「コネクテッド・インダストリーズ」

インダストリー4.0はドイツで始まった製造業変革の取り組みですが、これに対応する製造業変革の取り組みが世界各国で始まっています。

日本政府は、2017年3月にIoTやAIなどのデジタル技術による新たなものづくり戦略「Connected Industries(コネクテッド・インダストリーズ)」を発表しました。製造業のシステムを変革の主導とするドイツに対し、人間を中心として人と機械・システムを協調させることに重点を置いています。

日本の製造業の強みである、現場に蓄積された膨大で正確なリアルデータを活用し、「企業と企業、機械と機械、人と人などがデータを介して“つながる”世界」を目指す取り組みです。

これを実現するために、企業間のデータの扱いについてのガイドラインを公開したり、データ連携・利活用を後押しするコネクテッド・インダストリー税制(IoT税制)?、日本政策金融公庫からの特別利益貸付などが始まっています。

働き方改革とどうつながるの?

インダストリー4.0やコネクテッド・インダストリーズが実現すると、働く人はこれまでよりも少ない労力で、大量で複雑な業務を行うことができるようになります。

あわせて製造の情報化が進むことにより、働く人が危険な業務を行わずに済み、工場の現場に縛られずに多様な働き方をすることができるようになります。
生産性が向上することで、働き方改革が目的とする労働者が働きやすい仕事環境の実現が期待されます。

インダストリー4.0を始めとする製造の変革と生産性の向上は、技術によって人が働きやすい環境を実現する取り組みでもあるのです。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

「働き方改革ラボ」は、”働き方改革”が他人ゴトから自分ゴトになるきっかけ『!』を発信するメディアサイトです。
「働き方改革って、こうだったんだ!」「こんな働き方、いいかも!」
そんなきっかけ『!』になるコンテンツを提供してまいります。新着情報はFacebookにてお知らせいたします。

記事タイトルとURLをコピーしました!

https://www.ricoh.co.jp/magazines/workstyle/column/industry-workingstyle/

業種別で探す

テーマ別で探す

お問い合わせ

働き方改革ラボに関連するご質問・お問い合わせは
こちらから受け付けています。お気軽にご相談ください。

お問い合わせ