2022年4月から施行開始!育児・介護休業法改正に必要な準備を解説

From: 働き方改革ラボ

2022年07月08日 07:00

この記事に書いてあること

政府が進める働き方改革の取り組みのひとつである、育児・介護休業法。
育児休業は男女共に取得できる制度ですが、男性の取得率は女性に比べて大幅に低く、男性の育休はまだ一般的とは言えない状況です。2022年4月から段階的に施行される改正育児・介護休業法には、男女共に育休を取得しやすくなる制度が盛り込まれています。
法律の施行に向けて、育休給付金を含む育児休業に関する制度を改めて整理した上で、法改正の内容と、企業に求められる対策を解説します。

※2022年1月に公開した記事を更新し資料を公開しました

育児・介護休業法とは?

育児・介護休業法とは、「育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」のこと。その目的や内容について、改めておさらいしておきましょう。

育児・介護休業法の目的

育児・介護休業法は、企業に勤めて働く人が育児や介護を理由に休業できる仕組みを作ることで、仕事と育児・介護の両立を支援する制度です。労働人口の減少への対策や、企業の人材難などの背景を受けて制定されました。

1992年に施行されて以来、休業期間の延長や企業の努力規定の義務化など、働く人がより柔軟に休業を取得できるよう、改正されてきました。

育児・介護休業法の内容

育児・介護休業法の主な内容は、育児休業制度や介護休業制度をはじめとした私生活の両立支援です。育児休業制度は、1歳未満の子どもを持つ社員が仕事を休業できる制度です。

保育所に入れないなどの事情に応じて、子どもが最長2歳にまるまで延長可能です。育児関連の制度としては、子の看護休暇や、労働時間の短縮措置、また両親がともに育児休業を取得する場合、特別な事情がなくても育休を一定期間延長できる「パパ・ママ育休プラス」なども定められています。

介護休業制度は、要介護状態にある対象家族を介護するために休業が取得できる制度です。対象家族1人につき3回まで、通算93日まで取得できます。

労働時間の短縮措置や、1年に5日まで取得できる介護休暇制度も法律で定められています。育児休業や介護休業は、正社員だけでなく、条件を満たせば契約社員やアルバイトなどの非正規雇用社員も取得できます。

育児休業給付金はどうすれば受け取れる?

育児休業給付金は、育児休業を取得する従業員が受け取れる給付金です。1歳になるまでの子どもの養育のために休業する場合、条件を満たせば受け取ることが可能です。また、子どもが保育所で保育が受けられないなどの事情に応じて、2歳に達する日の前まで支給対象期間を延長できます。

育児休業給付金の給付には、雇用保険への加入、育休開始前の2年間に賃金支払基礎日数が11 日以上ある月が 12 か月以上あるなどの条件があります。給付額は、休業開始時賃金日額×支給日数×67%(育児休業の開始から6ヶ月経過後は50%)で計算されます。

支給を受けるためには、まず、対象者を雇用している企業が「雇用保険被保険者休業開始時賃金月額証明書」「育児休業給付受給資格確認票」「育児休業給付金支給申請書」を公共職業安定所に提出して、受給資格確認手続を行うことが必要です。

受給資格が認められると、公共職業安定所から「育児休業給付受給資格確認通知書」(または「育児休業給付金支給決定通知書」)と、「育児休業給付金支給申請書」が交付されます。そして企業、または休業を取得する本人が、必要な書類を添付して、育児休業給付金支給申請書を提出して申請します。

育児・介護休業法改正のポイント

育児・介護休業法は今回、2021年6月に改正され、2022年4月から段階別に施行されます。具体的に、どのようなことが変わったのでしょうか。改正内容のポイントをお伝えします。

男性育休の取得を推進する法改正

今回の育児・介護休業法の主な改正目的は、男性の育休取得の推進です。厚生労働省の令和2年度雇用均等基本調査の事業所調査によると、育児休業の男性の取得率は、女性の81.6%に対して、12.65%。令和元年度調査の7.48%という数字より上がっているものの、女性に比べて大幅に低いのが現状です。そんな男性の育休取得率をさらに上昇させ、男女ともに、働く人が育児と仕事を両立しやすい労働環境を作る目的で法改正が行われました。

具体的には、「産後パパ育休」(出生時育児休業制度)が、現行の育休に加えて取得できる休業制度として創設されました。また企業に対して、育休を取得しやすい環境作りを進める取り組みが義務化されます。

生後8週以内に取得できる「産後パパ育休」とは?

産後パパ育休とは、法改正で新たに作られた出生時育児休業制度です。2022年10月1日に施行されます。産後の女性だけでなく、その配偶者も子どもが産まれた直後に休業できる制度です。

子どもの出生後8週間以内、期間は4週間まで取得することが可能で、分割して、2回まで取得ができます。また、育児休業中に、労使協定が締結されている上で労働者が合意した範囲で、休業中に就業することも可能です。

出生時育児休業時の給付金が創設

育児・介護休業法の改正と同時に成立した雇用保険法改正によって、出生時育児休業時に利用できる給付金制度が創設されました。

出生時育児休業中も雇用保険から、1日あたり休業開始時の賃金日額の67%の給付金が支給されます。現行の育児休業給付金と同様に、休業期間中は所得税や社会保険料は免除されるため、手取り換算で、約8割の収入が保証されます。

育児休業の分割取得が可能に

2022年10月1日から、これまで分割することができなかった育児休業が、男女ともに、2回まで分割して取得することが可能になります。

現行の法律では、保育所に入所できないなどの事情で育休を延長する場合、1歳、もしくは1歳6ヵ月になったタイミングで、夫婦間で育休を交代することが可能です。ただ、1歳、または1歳6ヵ月の時点に限定されていたため、途中で交代することはできませんでした。法改正後は、男女ともに育休の取得タイミングを2回に分けて決められるため、職場復帰や仕事の事情等の都合に合わせて、夫婦間で調整しながら育休を取得できるようになります。

育休を取得しやすい環境整備が義務化

2022年4月より、以下のいずれかの取り組みによって、育児休業取得の申し出がスムーズに行われるための環境作りの実施が企業に義務付けられました

  • 育児休業・産後パパ育休に関する研修の実施

  • 育児休業・産後パパ育休に関する相談体制の整備等(相談窓口設置)

  • 自社の労働者の育児休業・産後パパ育休取得事例の収集・提供

  • 自社の労働者へ育児休業・産後パパ育休制度と育児休業取得促進に関する方針の周知

また企業は、本人や配偶者の妊娠・出産を報告した社員に対して、育児休業制度などに関する制度や申し出先、給付などの情報の周知、そして休業の取得意向の確認を、個別に行うことが必要になります。

育児休業の取得状況公表の義務化

2023年4月から、社員数1000人以上の企業は、育児休業などの取得状況を年に1回公表することが法律で義務付けられました。公表すべき内容は、男性の育児休業等の取得率、または、育児休業等と育児目的休暇の取得率です。

ホームページや厚生労働省が運営するウェブサイト「両立支援のひろば」など、一般の人が見ることができる方法での公表が必要です。取得状況を公にすることで、社内や社会全体に男性が育児休業を取得しやすい雰囲気作りが進むことが期待されています。

男性による育休取得推進の企業メリットとは?

男性の育休取得が進むことは、企業にとってもメリットがあります。男女ともに、家庭と仕事を両立したい社員が、安定して働き続けることができるため、人材の確保につながります。また、働きやすい環境作りによって社員満足度も向上。モチベーションアップや、離職率の低下も見込まれます。

また、育休を取得する社員は手取りの8割程度の収入が保証されますが、給付は雇用保険から支払われるため、会社側の賃金の負担はありません。男性の育休取得で受け取れる両立支援等助成金も申請ができます。企業には、費用等の負担なく、環境環境の向上や少子化という社会課題への貢献ができるというメリットがあります。

男性育休取得率の公表によって、働きやすい会社としてのイメージアップも期待できます。顧客に対する企業イメージの向上や、優秀な人材獲得にもつながります。

改正に向けて必要な企業の対応とは?

働き方改革や、社員満足度向上のために不可欠な男性の育休取得推進。とはいえ、男性が育休を取得する文化がない会社が多いのも現状です。そんな企業が、今回の法改正に向けて進めるべき準備とは何でしょうか。

育休を取得しやすいツール・環境作り

法改正によって、男女ともに育休を取得しやすい環境作りが企業に対して義務化されます。女性だけでなく、配偶者の出産によって仕事を休む社員が増える状況に備えて、準備を進めることが大切です。

育休を希望する社員だけでなく、休業者をサポートする社員のためにも、男女ともに柔軟に育休が取得できることや休業期間について社内に周知しましょう。

休業者が所属する部署やチーム内での業務調整がスムーズに進むように、仕事の状況や、業務に必要な情報を可視化できる仕組みや、ツールを導入することも有効です。また、育休希望者が安心して休業という選択ができるよう、マニュアルや引継ぎ書を整備しておくことも大切です。

育休に関する研修の準備

会社側に義務化される環境整備の取り組みのひとつが、育休や、創設された産後パパ育休に関する研修の実施です。

育休取得を理由とした社員に対する不利益な取り扱いやハラスメントの防止も法律で禁じられており、育休の知識を社員に浸透させることが、スムーズな育休取得や、トラブル防止につながります。今後、男女ともに育休の取得が進むことに備えて、育休制度に対する知識や、ハラスメント防止のための研修を実施しましょう。

男性育休を受け入れる風土の醸成

男性の育児休業に対する抵抗感をなくし、当たり前に受け入れる社風を醸成するための取り組みも必要です。そのひとつが、育休取得をサポートした人を評価する制度の導入です。男性の部下の育休取得率を評価規定に盛り込んだり、対象者の休業を業務でサポートする社員にインセンティブを与えたりといった評価面の制度作りを進めましょう。

【まとめ】法改正に向けて今、できることを進めよう!

男性が取得できる新しい育休制度の整備のほか、男女ともに育休を柔軟に取得できる仕組み作りが進められた今回の法改正。施行に向けた準備を進めることが、自社にとって、ワークライフバランスが実現できる職場作りにつながります。法改正に迫られた対策としてだけでなく、働きやすい会社になるためにも、できることから新しい取り組みを進めましょう。

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