1122(いい夫婦)とは?平成の終わりに考える、働き方改革と変わりゆく夫婦のかたち

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1122日は「いい夫婦の日」。1988年に、財団法人余暇開発センター(現・公益財団法人日本生産性本部)が、「夫婦で余暇を楽しむゆとりあるライフスタイル」を提唱し、1122日を「いい夫婦の日」としたことが始まりとされています。近年定着したイメージがありましたが、実は30年の歴史があるんですね。

この30年間で、夫婦のかたちにも大きな変化があったように思います。今回は「いい夫婦の日」に合わせ、夫婦を取り巻く労働環境の変化と、「働き方改革」によって夫婦関係にどんな変化があるかを考えたいと思います。

◆目次
・夫婦の変化1〜「共働き世帯」の増加
・夫婦の変化2〜”育休”取得による就業継続者の増加
・夫婦の変化3〜役割分担意識の変化
・夫婦の変化4〜男女間の家事関連時間の変化
・「働き方改革」は夫婦に新しい選択肢を提示する
・まとめ

夫婦の変化1〜「共働き世帯」の増加

“「共働き世帯」の増加”は、よく耳にするキーワードですが、実際のところ「専業主婦世帯」と「共働き世帯」はどちらが多いのでしょうか?

ご存知の通り、かつての主流は「専業主婦世帯」。平成29年厚生労働白書によれば、1980年では3組に2組が「専業主婦世帯」でした。しかし、それ以降「共働き世帯」は年々増加し、1997年を境に「専業主婦世帯」と世帯数を逆転。平成29年の最新のデータによれば、現在では共働き世帯が1129万世帯であるのに対し、専業主婦世帯は664万世帯と、かつてとは逆に、3組に2組が「共働き世帯」という構成になっています。

「共働き世帯」増加の背景には、終身雇用の崩壊や長期化する不況による収入減といった経済的理由や、女性の社会進出が挙げられます。

平成29年厚生労働白書より

夫婦の変化2〜”育休”取得による就業継続者の増加

子育てとの両立という面で見ても、時代による変化が見て取れます。

現在では、定着した印象のある「育児休業」。意外にもその歴史は浅く、法制度としては1992年4月に前身となる「育児休業法」が施行され、1995年に現在の「育児・介護休業法」(正式名称:「育児休業、介護休業等育児または家族介護を行う労働者の福祉に関する法律」)に改正されました。現在まで時代の変化に合わせ、改正を続けています。

平成29年版男女共同参画白書によれば、 第1子出産前有職者における出産後就業継続者の割合は、これまで4割前後で推移してきましたが、現在約5割まで増加。

そのなかでも特に、育児休業を利用し就業継続した女性の割合は、1985年〜1990年には9.3%でしたが、現在では39.2%へと大幅に増加。育児休業制度が定着し、就業継続を支えている状況が見て取れます。

夫婦の変化3〜役割分担意識の変化

では、人々の意識の面では、どのような変化があったのでしょうか?

平成29年版男女共同参画白書)の、性別役割分担意識についての調査結果を見てみましょう。

「夫は外で働き、妻は家庭を守るべきである」という考え方に関する意識の変化

1979

男性 「賛成」+「どちらかといえば賛成」75.6% 「反対」+「どちらかといえば反対」17.4%

女性 「賛成」+「どちらかといえば賛成」70.1% 「反対」+「どちらかといえば反対」22.8%

2016

男性 「賛成」+「どちらかといえば賛成」44.7% 「反対」+「どちらかといえば反対」49.4%

女性 「賛成」+「どちらかといえば賛成」37.0% 「反対」+「どちらかといえば反対」58.5%

「夫は外で働き,妻は家庭を守るべきである」という考え方に、1979年では男女とも70%以上が賛成の考え(「賛成」+「どちらかといえば賛成」)を示していましたが、2016年の調査では、賛成者は、男性で44.7%、女性で37.0%にとどまり、男女ともに反対(「反対」+「どちらかといえば反対」)の割合が賛成の割合を上回りました。

「共働き」家庭の増加曲線とも重なりますが、人々の意識もこの30年余りで大きな変化を迎えたことが見て取れます。

夫婦の変化4〜男女間の家事関連時間の変化

では実際の、家庭での家事役割分担はどうでしょうか?

総務省平成28年社会生活基本調査に、「一週間あたりの男女別家事関連時間」の調査結果があります。

男女別家事関連時間の推移(一週全体)

平成8年   男性24分 女性3時間34分(差3時間10分)

平成28年 男性44分 女性3時間28分(差2時間44分)

男女,配偶関係別家事関連時間(平成28年,一週全体,15歳以上)

未婚   男性29分 女性49分(差20分)

有配偶  男性1時間1分(未婚の約2倍) 女性4時間55分(未婚の約6倍)(差3時間54分)

まず、「男女別家事関連時間の推移」を見ると、女性の家事関連時間はこの20年間でほぼ横ばいであるのに対し、男性の家事関連時間はゆるやかな増加傾向であること、それにより、男女差は縮まりつつも、依然としてその差は大きいことが見て取れますね。

また興味深いのは「男女,配偶関係別家事関連時間」によれば、未婚と有配偶では有配偶の際に男女差がより開くことです。家事時間では、未婚の場合は男女差が20分に対し、有配偶では男女差が3時間54分。未婚から有配偶に変化した際の変化率も、男性の約2倍に対し女性は約6倍となっています。

もちろん、有配偶のなかには「専業主婦世帯」「共働き世帯」どちらも含まれるため、このデータだけで一概に結論付けることはできません。しかしながら、結婚による家事時間の増加は、まだまだ女性に偏っている傾向がありそうです。

「働き方改革」は夫婦に新しい選択肢を提示する

夫婦を取り巻く労働環境の変化について、4つをご紹介しました。経済的・社会的理由から共働き家庭が主流になるに従い、意識の面では「夫は仕事、妻は家庭」という考え方が少しずつ薄れている一方、実際の男女の家事関連時間をみると、男性が増加傾向にありつつも、依然として男女の差は大きく、特に有配偶の場合は女性の負担が大きい現実が見て取れます。

しかしながら、共働き家庭が増えた=家庭のことも男女できっちり平等にする、ことが正しいのでしょうか?

そうではなく、個の夫婦それぞれが「お互いが納得できる過ごしやすいバランス」を見つけることが大切であると考えます。そして、「働き方改革」が進む今だからこそ、それを実現する土壌が整いつつあると考えます。

これまでの夫婦の家事分担や家庭の在り方は、「ワークライフバランス」でいう「ワーク」によって大きく制限されていました。一般的に正社員で働く男女にとって、会社都合の長時間労働や残業は避けがたく、各企業で固定化された働き方を前提に、「ライフ」を選択、もしくは歪めてまでバランスを保つことが多かったのではないでしょうか。

しかし現在、「働き方改革」により企業主導で「ワーク」に変化が起こっています。ここで気をつけたいのは、直接的に変化するのは「ワーク」の範囲のみということです。「ワーク」の変化で今まで異なる選択肢が増えるなか、夫婦やその個人が「ライフ」をどう再設計していくか、という部分は個人に任されています。

残業時間の減少、有給取得の推奨といった変化や、時差出勤、リモートワークといった今だからこそ活用できる制度を踏まえ、「今までこうしてきたから」ではなく、「これからどうしていきたいか」という視点で、夫婦お互いにとっての「ライフ」を再度考える時機が訪れているのかもしれません。

まとめ

企業単位の「働き方改革」では、労働時間の削減や生産性の向上といったことがゴールになるのは当然です。しかし本来は、「働き方改革」によって個人の「ライフ」を圧迫してきた「ワーク」の問題が解消され、「ライフ」=仕事以外の生活や、仕事も含んだ人生全体が豊かになっていくことが理想であると考えます。

そしてその部分は、あくまで個人が考え、選択を行う領域です。つまり企業主導の「働き方改革」とあわせ、一人ひとりが、それまでの「働き方」や体に染み込んだ「習慣」にとらわれず、変わりゆく前提を踏まえた「ライフ」の在り方を再構築していく必要があると考えます。

夫婦の在り方も同様ではないでしょうか。かつては実現できなかったような選択肢も選べるからこそ、柔軟に、お互いにとっての「1122(良い夫婦)」を実現できる夫婦が増えることを願います。

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