建設業界に人材を呼ぶi-Constructionとは?

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首都圏を中心に建設需要が増している中、人材不足が問題視されている建設業界。今年4月から働き方改革法が施行されたことで、より現場での生産性向上や人材確保が急がれています。今回は、建築業界が抱える働き方の課題と、その解決を進めるi-Constructionの取り組みについて具体策とともに解説します。

建設業界が抱える働き方の問題

建設業界は、東京オリンピックの開催や災害復興のため需要が拡大しているにも関わらず、人材が不足。その主な原因は、技術者の高齢化と若い働き手が集まらないことにあります。総務省の「労働力調査」と国土交通省の試算によると、建設業で働く人の約3割が55歳以上で、29歳以下は約1割。建設業界で働く技能労働者約340万人のうち、今後10年間で約110万人が高齢化等の理由により離職すると推測され、今後さらに人材不足が深刻化する見込みです。

また、新たな人材が集まらないという問題もあります。建設産業専門団体連合会の調査によると、建設業に入職しない理由として、「収入の低さ」や「社会保険等の未整備」といった収入・福利厚生面の理由のほか、「仕事のきつさ」「休日の少なさ」「作業環境の厳しさ」といった労働環境面が主に挙げられています。建設業は、幅広い世代の働き手にとって魅力ある職場とは言い難いのが現状です。

i-Constructionとは?

国土交通省はこの状況を改善するため、2018年に「建設業働き方改革加速化プログラム」を策定。「長時間労働の是正」「給与・社会保険」「生産性向上」の3つの観点から、建設業界の働き方改革を推進しています。

i-Constructionは、国土交通省が進める「生産性革命プロジェクト」のひとつとしても重視されている施策。ICTの全面的な活用などの施策を建設現場に導入することによって、効率化を図る取り組みです。

国土交通省は、i-Constructionの目指すべきものとして、次の9つの目標を掲げています。

  • 生産性の向上
  • より創造的な業務への転換
  • 賃金水準の向上
  • 十分な休暇の取得
  • 安全性の向上
  • 多様な人材の活用
  • 地方創生への貢献
  • 希望がもてる新たな建設現場の実現
  • 広報戦略

i-Constructionの推進により、建設業界の企業の経営環境を向上して働く人の賃金水準を上げ、また建築現場の労働環境を改善して、働く人にとって魅力ある業界にすることを目標に掲げています。

i-Constructionで何が実現するのか?

国土交通省は、建設業は「社会資本の整備の担い手」、そして社会の安全・安心の確保を担う「地域の守り手」であり、建設業の働き方改革と生産性向上を進めることが不可欠であるとしています。

i-Constructionの柱として掲げられている建設現場へのICTの導入によって、測量、施工、検査などの工程で現場作業の高度化や効率化が実現。これまでより少ない人数や日数で同じ工事を実施することが可能になります。国土交通省は2025年までに、建設現場の生産性の2割向上を目指しています。

i-Constructionの具体策

ドローンと三次元データの活用

施工前に重要な測量の作業を省力化するのがドローン(UAV:Unmanned aerial vehicle)です。従来は、人が現地へ足を運び地形を測定して地形図をデータ化していた作業をドローンが代わりに行うことで、測量時間の短縮や省力化が実現。また、3次元データの自動生成により設計や施工計画も効率化できます。検査に必要な書類が削減できるというメリットもあり、人的負担が軽減します。

ICT建設機械での施工

ICT建設機械とは、自動制御を行う「マシンコントロール」、操作をガイドしてサポートする「マシンガイダンス」の機能を搭載した建機です。ドローン等を使い生成して機械に取り込んだ3次元設計データを活用することで、作業の効率化や施工品質向上を実現。オペレーターの省力化や、重機との接触機会が減ることによる安全性向上も見込めます。熟練した技術を持たない若いオペレーターでも建機を操作することが可能になるため、人材確保も期待できます。

電子小黒板と工事写真管理

電子小黒板とは、施工現場で、管理項目とともに工事写真を撮影するために使用する黒板を電子化したもの。従来は2人体制で管理項目を手書きした掲示板を持って現場の写真を撮影していましたが、専用アプリを使えば、タブレットやスマートフォンで管理項目を入力することで、デジタルの掲示板を入れ込んだ写真を1人で撮影することができます。

また、クラウドでの写真管理システムを使用すれば工事写真管理の効率化も可能。管理項目によって写真が自動で仕分けされるため、写真管理の作業量を削減できます。

デジタルデバイス、WEBカメラの活用

デジタルデバイスやWEBカメラなどのIT機器の活用も建設現場の効率化には欠かせません。専用アプリを使えば、これまで紙資料で確認していた図面もタブレット端末で閲覧ができ、大量の図面を用意して持ち運ぶ手間が省けます。また、建設現場にWEBカメラやセンサーを設置することで、これまで人が行っていた監視作業の省力化も可能。事故や異常の早期発見にもつながります。

施工体制台帳など書類の電子化

紙資料の電子化も生産性向上に有効な施策。作成作業や資料の量が多い書類のひとつが、公共工事や大規模の工事に欠かせない施工体制台帳です。これは、工事に関わるすべての会社の情報や施工範囲などをまとめて施工体制全体を確認するための安全書類。膨大な資料を管理してファイリングする必要があるため、作業の手間がかかり、手作業によるミスも発生しやすい書類です。

施工体制台帳作成支援ツールを活用すれば、各業者から集めた書類を電子化して整理・分類ができます。下請け業者から提出された書類を次回の工事で再利用できるため、作業効率もアップ。資料の検索も可能で、台帳の作成がスムーズに行えます。

i-Constructionが魅力ある建設業界を作る

長時間労働や休日のとりにくさなど労務上の問題だけでなく、他の業種と比べて労災が多く、危険でハードなイメージもある建設業界。建設現場でのICTの全面的な活用が進めば、働く人の安全性が向上するとともに、高度な技術を持たない若い人も活躍できる環境が整います。大規模な建機やシステムの導入が難しい場合は、まずは書類や図面のデジタル化からi-Constructionの取り組みをスタートしてみてはいかがでしょうか?



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