視界に緑を!緑視率を高めて快適なオフィス作り

From: 働き方改革ラボ

2023年07月18日 07:00

この記事に書いてあること

無機質になりがちなオフィスのインテリア。そんななか、ふと植物を見つけるとほっと心が安らぐことがありませんか? 昔から「目に良い」「癒し効果がある」などといわれる緑ですが、オフィス空間に取り入れることで人々の心理によい影響を与えるとされています。

では、具体的にどのような影響を与えてくれるのでしょうか。今回の記事ではオフィス内に緑を取り入れることで得られる効果や導入事例を解説していきます。

グリーンオフィスの導入効果4つ

はじめに、オフィスに緑を取り入れる「グリーンオフィス」によって得られる効果を4つご紹介します。

1.緑視率が向上し、従業員がリラックスできる 

1つ目の効果が、「視界を緑が覆う割合」を指す緑視率が向上し、従業員がリラックスできることです。「緑視率」と似た用語として「緑被率」が挙げられますが、緑被率は「建物の敷地(土地)などを緑が覆う割合」を指す言葉なので、違いに注意しましょう。

国土交通省が2005年に発表した『~真夏日の不快感を緩和する都市の緑の景観・心理効果について~ 都市の緑量と心理的効果の相関関係の社会実験調査について』によると、緑視率が高いほど、人はその場所について「安らぎのある」「さわやかな」「潤いのある」と感じる割合が高いと言われています。このことから、オフィスに緑を取り入れることで従業員が安らぎを得られ、リラックス効果があると考えられます。

しかし、これは緑視率の異なる屋外の4地点によるアンケート調査結果であり、かつ気温が31度の日に実施された調査であることから、室内やすべての季節に適用できるとは限らないことに注意しましょう。

2.従業員の生産性向上につながる

2つ目の効果が、従業員の生産性向上につながることです。国土交通省の調査によると、緑視率を高めることで、日射を遮り、熱環境を改善する「物理的効果」に加え、見た人にうるおい感や安らぎ感を与え、快適性を高める「心理的効果」も期待できるそう。

また、緑視率が10~15%の環境にいるとき、人のストレスが減り、最も良いパフォーマンスが発揮できるという研究結果も出ています。グリーンオフィスを導入することで、従業員の生産性向上も期待できるでしょう。

3.空気清浄効果がある

3つ目の効果が、空気洗浄効果があることです。植物は、根から水を吸収し葉の気孔から酸素と一緒に水分も放出することで、自ら快適な環境を調節するはたらきを持ちます。NASAの実験では、めまいなどの症状を引き起こす健康障害の原因であるホルムアルデヒドや発がん性のあるベンゼンなどといった空気中の有害な化学物質を吸収するということも実証されており、植物の空気清浄効果が認められていることがわかります。

とくに高い空気清浄効果を持つ植物は「エコ・プラント」と呼ばれますが、そのなかにはサンセベリアやポトスなど、オフィスでも比較的取り入れやすい身近なものも多くあります。

4.インテリアとしておしゃれな空間を演出できる

4つ目の効果が、インテリアとしておしゃれな空間を演出できることです。オフィスの玄関や廊下、会議室など、ちょっとした空間に観葉植物を置いてみるだけで、その空間がぐっとおしゃれな印象になります。シックな色調が多いオフィスでは、緑色が良いアクセントになることもあるでしょう。

具体的な配置としては、無機質なパーテーション(仕切り)を大型の観葉植物に替えたり、応接室の目隠しに観葉植物を用いたり、また場所がない場合は壁掛けタイプのウォールグリーンを飾ったりするのがおすすめです。

また、観葉植物を引き立たせるインテリアにもこだわりたいものです。観葉植物の葉の形によっても印象が変わります。たとえばアットホームな優しい雰囲気を演出したいときは、丸みを帯びた葉を持つモンステラやアルテシーマ、デコラゴムがおすすめです。

一方、スタイリッシュで知的な印象を与えたい場合は、先の尖った葉を持つユッカやアレカヤシ、コンシンネ等の観葉植物を導入するといいでしょう。玄関や応接室など、特に来客の目に触れる機会の多い場所では、企業イメージにマッチした存在感のあるものを配すのも効果的です。

グリーンオフィスの導入デメリット2つ

では反対に、グリーンオフィスの導入にはどのようなデメリットがあるのでしょうか。事前に把握し、可能な限り対策をしていきましょう。

1.設置スペースが必要になる

1つ目のデメリットが、設置スペースが必要になることです。グリーンオフィス化を考えている方のなかには、限られたスペースのなかで植物を置いたり、緑色のインテリアなどを取り入れたりすることを負担に思う人もいるでしょう。詳しくは後述しますが、そのような場合は、デスクに置ける小さな観葉植物を取り入れることがおすすめです。

2.虫などの被害が出る可能性がある

2つ目のデメリットが、虫などの被害が出る可能性があることです。観葉植物を置く場合、虫が寄ってきたり、思ったように育たなかったりすることが考えられます。また、水やりや適宜日光に当てるなど、費用や時間面でのコストもかかるでしょう。そのような場合は、水やりなどがいらず、飾るだけで緑を取り入れられるフェイクグリーンの導入がおすすめです。

オフィスに緑を取り入れる3つの方法

グリーンオフィスの第一歩はオフィスにさまざまな観葉植物を取り入れることだと考える方も多いかもしれません。しかし、それだけではない方法もあります。そこでこの章では、オフィスに緑を取り入れるための3つの方法を解説していきます。

1.観葉植物を設置する

はじめに、先述していた観葉植物の設置が挙げられます。デスクまわりには小さな観葉植物、休憩室には背丈の高い観葉植物といったように、場所に合わせて植物を置くことで、インテリアの効果も期待できます。

本物の観葉植物に限らず、フェイクグリーンなどでも緑視率を上げることもできるので、管理面などを考えて気軽に取り入れたい方はフェイクグリーンを導入するといいでしょう。

2.レンタルサービスを利用する

いざオフィスに緑を取り入れたいと思っても「どの植物を買ったら良いか分からない」「職場全体に取り入れたい」など悩む方もいるでしょう。その場合は、オフィス毎の悩みや相談にも対応してくれるレンタルサービスが便利です。

レンタルサービスのなかには、植物のメンテナンスも行ってくれる会社もあるので管理面についても安心です。また、定期的に種類を交換してくれるサービスを利用すれば、職場の話題作りや雰囲気のリフレッシュにも効果が期待できるでしょう。

3.壁やインテリアに緑を取り入れる

さらに、観葉植物やフェイクグリーンだけでなく、壁紙やインテリアに緑色を取り入れるのもいいでしょう。壁紙を緑色に変更するにはコストがかかってしまうため、その場合には、緑の入った絵を飾る、休憩室などに緑色のマットを敷くなどがおすすめです。インテリアなどのバランスを意識しながら、緑を取り入れていきましょう。

オフィスの緑化への3つの注意点

続いて、オフィスに緑を取り入れる際の注意点を解説していきます。

1.植物の種類や数によって費用が異なる

1つ目が、観葉植物の種類や数によって費用が異なることです。植物は、取り入れたい種類によって金額が決められているほか、数を増やせばそれだけ費用がかかってしまいます。さらに、植物によっては水やりの頻度や日光に当てる時間が異なることから、管理が滞ることも考えられるでしょう。そのため、費用はもちろんのこと、どのような世話が必要なのかも調べたうえで導入を検討することをおすすめします。

2.緑を増やしすぎると逆効果になってしまう

2つ目が、緑を増やしすぎると逆効果になってしまう可能性があることです。観葉植物を多く配置すると管理コストがかかります。管理が滞り枯れた状態の観葉植物を放置することは、見た目だけでなく、虫が発生したりと衛生的にも問題となります。緑視率は、10%から15%の環境でストレス軽減などの効果を発揮しますが、それ以上となってしまうと効果が出づらいとされていますので、多くなりすぎないように注意することも必要です。

おすすめは、一度に導入するのではなく、デスクまわりなどのできる範囲から緑を取り入れ、バランスを図ることです。導入効果について従業員にアンケートをとるのもいいでしょう。

3.フェイクグリーンも活用する

3つ目が、フェイクグリーンも活用することです。先述したように、観葉植物は虫が寄ってきたり、適切な管理をしなければ枯れてしまったりします。そのようなことを避けるためにも、虫が寄ってこず、管理のいらないフェイクグリーンも活用がおすすめです。

すべての緑をフェイクグリーンにすることに抵抗がある方は、大きなものはフェイクグリーンにし、デスクまわりには観葉植物を導入するなどして、必要に応じて分けることをおすすめします。

グリーンオフィスの導入事例

最後に、グリーンオフィスの導入事例をご紹介します。

1.内田洋行

内田洋行では、オフィスの仕切りや広いデスクの中心に植物を置いており、社内の緑視率を高めています。本物の植物とフェイクグリーンを組み合わせているほか、天井からぶら下げたり、床に設置したりと、置き方にも工夫をしながら緑を取り入れています。緑視率を過剰に高めず、かつ業務に邪魔にならない範囲でグリーンオフィスを作っているのです。

2.第一生命 東戸塚教育センター

第一生命 東戸塚教育センターでは、1992年の新設時からクールダウンやリフレッシュ、研修後の頭の切り替え、目の疲れをとる効果などを期待し、緑を導入しました。なかでも特徴的なのが、新館にあるアトリウム内のクロガネモチというシンボルツリー。10mの大木がアトリウムの真ん中にそびえ立っており、従業員同士の雑談にもつながっているそうです。

3.千葉大学 医学部附属病院

2011年時点で病床数が835床、1日平均外来1946人の千葉大学 医学部附属病院では、2009年頃からグリーンの導入をはじめています。一般社団法人同仁会から開院のお祝いとして頂いたのがきっかけだそうですが、病院建設のために森林を伐採している経験からも、院内にグリーンを置くべきだと考え、緑を取り入れています。入院患者に邪魔にならないようにしているほか、震災などの事態を想定した設置を検討しています。

まとめ

今回の記事では、オフィス内に緑を取り入れることで得られる効果や取り入れる方法、導入事例を解説しました。

1日のなかでも多くの時間を過ごすオフィスは、できるだけ心地良い環境にしたいもの。オフィスの緑視率を上げて、人の集まる居心地の良いオフィスにしていきたいものですね。まずはご自身のデスクから職場の緑化をはじめてみてはいかがでしょうか。

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記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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