グローバル経営にFITした働き方改革とは?求められる価値観の柔軟性

From: 働き方改革ラボ

2021年03月16日 07:00

この記事に書いてあること

近年、働き方改革が急速に進んでいます。しかし、海外のグローバル企業と比較すると、取り組みが停滞していたり、人事評価制度や終身雇用などのガラパゴス化した制度がみられたりしていて、まだ多くの課題があるのが現状です。今回は、日本の企業で現在進められている働き方改革が、グローバル化やグローバル経営にFITしたものとなっているのかを考えていきましょう。

グローバル化を容易にする働き方改革

現在、活発に進められている働き方改革は、デジタル化やIT化によって物理的な距離の問題を解消します。例えば、リモートワークを採用することで、事務所を構える必要がなくなったり、ペーパーレス化によって情報の共有が簡単にできるようになったりします。働く場所にとらわれない働き方が可能となるため、グローバル化にも対応しやすくなるでしょう。

ただし、企業活動を安定して継続するためには、異なる文化や商慣習・法律を背景にもつ国の労働者それぞれの多様性に柔軟に対応した「グローバル経営」に取り組む必要があります。日本で働く外国人労働者は年々増加しており、厚生労働省によると、令和元年10月末現在の外国人労働者数は約166万人で、前年同期比で13.6%増加し、過去最高を更新したとのこと。今後は外国人と働く機会が増えることは確実であり、その環境作りにも深く関わるグローバルレベルでの働き方改革の推進は必須といえます。

日本と海外の働き方

「少子高齢化による労働力不足」は日本社会における大きな課題ですが、新型コロナウィルスの影響でさらに少子化が加速するともいわれています。少子化に歯止めがかからない現状において、人材不足を補うためには、海外の人材を獲得していく必要があるでしょう。

外国人の社員を雇う場合は、現地の文化や慣習、法律等を考慮した働き方を提供しなければなりません。しかし、従来の日本の働き方は前述の通り、ガラパゴス化している制度が散見されます。例として挙げられるのが、2019年に解禁された副業の禁止や、終身雇用などです。これらは近年改善されてきてはいるものの、今後はさらに、日本の働き方と海外の働き方とをすり合わせていく必要がありそうです。

公正な能力評価のため、職務能力の見える化を実施する

日本で働く外国人の方々には、自身が企業から何を期待されどのように評価されているのかについて関心が高い傾向にあります。そのため、職務内容やキャリアプランを事前に明示してミスマッチを防ぐことや、外国人社員も納得できる公正な能力評価を構築する必要があります。さらに、その評価結果を昇進など社員の処遇に対して適切に反映させることも重要です。

ある企業では、外国人社員も納得できる公正な人事評価基準を策定し、全社員を対象とする職務能力の「見える化」を図ったことで、競争意識が刺激され、仕事へのモチベーション向上につながったという例も。また別の企業では、キャリアアップ思考が強い外国人に配慮するため、人事考課の結果を昇進に即反映するようにした結果、日本人社員にも良い刺激となり、社内の活性化につながったそうです。

多様性に寛容な姿勢で全社的に外国人労働者の受け入れ態勢を整える

グローバル経営では、日本人以外の労働者と仕事をする機会が増えることになります。その際、自分の価値観を基準に議論するのではなく、文化や慣習などに違いがあることを前提として、多様性に寛容な感覚を身につけることが求められます。そのためには、言語をはじめ、外国人社員の母国の宗教や文化などについても勉強する機会を設けるなど、ボーダレスな職場環境を目指すことが大切です。

その一例として、外国人社員に、業務の一部として英語教室の講師を依頼することで、外国人社員と日本人社員の相互理解を深める取り組みを行う企業もみられます。日本人社員にとっても語学力向上や、海外事業への意識向上といった良い刺激になります。

また、社員の能力開発やメンタルサポート、安全衛生などについても、日本人社員と同等のサポートが得られるように配慮する必要があるでしょう。

まずは企業戦略としてグローバル化が必要であることを全社の共通認識とすることが必要です。その上でメンター制度の導入など、社内での外国人社員の受け入れ準備を丁寧に行うことも、グローバル経営を進めていく上では重要になると考えられます。

働き方もグローバル化へ

企業は今後、人材獲得やビジネスチャンス獲得のため、さらなるグローバル化を進めていくことが予想されます。働き方改革には、その流れを後押しすることが期待されますが、解決すべき課題もあるのが実状です。多様で柔軟な働き方を選択できる社会を作ることを目的とする働き方改革。日本だけの価値基準に凝り固まらず、多様性を受け入れながら寛容な姿勢で改革に取り組むことが、グローバル化を進める大きなポイントになるでしょう。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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