【図解】Z世代の特徴や働き方とは? 教育のポイントを解説

From: 働き方改革ラボ

2023年08月08日 07:00

この記事に書いてあること

「Z世代」と呼ばれる新しい世代の若者が、社会で働き始めています。新入社員や取引先、顧客にZ世代が含まれる企業に勤めている方のなかには、彼らが何を考えて、どんな価値観を持っているのか気になっている人も多いのではないでしょうか。

そこで今回の記事では、Z世代が持っている特徴や仕事に対する価値観について調査結果なども用いながら解説します。Z世代とうまく付き合うために、まずは彼らの特徴を理解しましょう。

おさえておきたいZ世代の基礎知識

はじめに、Z世代の特徴や仕事に対する価値観を確認する前に、Z世代の定義や、Z世代が育った時代背景といった基礎知識から見ていきましょう。

Z世代の定義

Z世代の定義はとくに決められてはいませんが、1990年代後半から2010年生まれを「Z世代」と呼ぶことが多いといわれています。2023年現在では、10代から20代前半、学生から社会人になって数年経つ人が該当します。

Z世代が育った時代背景

Z世代がデジタルネイティブと呼ばれているのは、インターネットが急速に普及した時代に生まれ育った背景が理由です。

日本でインターネットが誕生した1984年を機に、スマートフォンをはじめとしたIT機器が身近な存在になりはじめた、アナログよりもデジタルに親しんでいる世代といえるでしょう。

X世代、ミレニアム世代、α世代との違い

Z世代のほかにも、「ミレニアル世代」や「α世代」、「X世代」という言葉を聞いたことがある方もいるでしょう。ほかにも、「バブル世代」や「キレる17歳世代」といった言葉が日本のメディアで取り上げられたこともあります。それらの違いはなんなのでしょうか。

X世代、ミレニアム世代、α世代の定義や特徴

ミレニアル世代は1981年~1996年に生まれた世代を、α世代は2010年〜2024年ごろまでに生まれた世代を指します。α世代はミレニアル世代の子ども世代、1965年~1980年に生まれた世代を指す「X世代」はZ世代の親世代であり、いずれもアメリカが発祥の言葉とされています。

X世代、ミレニアル世代、Z世代、α世代の定義や特徴をまとめると、下記の図の通りです。Z世代の特徴については次の章で解説していきます。

X世代の特徴

X世代の特徴として、他者に振り回されず、自らの軸を持って生きる「個人主義」の考え方を持っていることが挙げられます。X世代は高度経済成長期、バブル期に生まれたこともあり、経済的な変革期を経ている世代です。そのため、豊かさを求める傾向にあると考えられます。

ミレニアル世代の特徴

ミレニアル世代の特徴として、インターネットの発展とともに歳を重ねた「デジタル・パイオニア」であること、アメリカ同時多発テロといった世界を揺るがす出来事に遭遇した経験から社会問題への意識が高いことが挙げられます。

α世代の特徴

α世代の特徴として、オンラインゲームやインターネットショッピングなどオンラインでの消費やコミュニケーションに慣れ親しんでいること、国籍や年齢、ジェンダーにとらわれない多様性を重視した考え方を持っていることが挙げられます。

Z世代の特徴と働き方の価値観

X世代、ミレニアル世代、α世代との違いを抑えた上で、Z世代の特徴と働き方の価値観を見ていきましょう。

1.ソーシャルネイティブでSNSを活用する

Z世代のあいだでは、ミレニアル世代以前に比べてSNSが深く生活に浸透しています。

内閣府が発表した『令和4年度 青少年のインターネット利用環境実態調査結果(速報)』によると、青少年のインターネットの利用状況は年々増えています。Z世代だけでなく、α世代以降も、似た傾向を持って育つことが考えられます。

2.キャリアに保守的な傾向がある

キャリアに保守的な傾向があるのも、Z世代の特徴といえるでしょう。2023年2月発表の『Z世代の仕事に関する意識調査』(株式会社SHIBUYA109エンタテイメント)では、Z世代の27%は「出世したくない」と考えており、その理由としては「責任が重くなるから」「プライベートを重視したいから」という回答が多くなっています。

3.多様性や社会問題に関心がある

また、Z世代は多様性や社会問題に関心があるともいわれています。SNSの普及によって世界と日本を対比する機会が多かったり、それまでの世代よりも多様な考えに触れることが増えたりした結果ではないのでしょうか。

Z世代の理想の働き方とは? 4つのポイント

これまで、Z世代の特徴や仕事の価値観について見てきました。ソーシャルネイティブで保守的な傾向があるZ世代にとって、どのような働き方が理想なのでしょうか。この章では、Z世代の理想の働き方を、4つのポイントに分けてご紹介します。

1.オープンなコミュニケーションを取れる

ひとつ目のポイントとして、社内でオープンなコミュニケーションを取れる働き方が挙げられます。

SNSを使った情報収集や体験の共有を日常的に行っているZ世代は、自分のことをオープンに語ることに慣れています。そのためZ世代は、会社や上司ともオープンなコミュニケーションを求める傾向が高いです。

子どもの頃からデジタルデバイスに親しんできたZ世代は、わからないことをすぐに調べられる環境で育ったため、会社でも疑問点を上司や先輩に聞いて解決できる環境を整えることが大切です。

2.プライバシーが重視されている

ふたつ目のポイントとして、プライバシーが重視されている働き方が挙げられます。

Z世代はミレニアル世代やX世代等の世代と比較して、個人のプライバシーを重視する傾向があります。特にSNSでの不用意な投稿がトラブルを生むことを知っているため、プライバシー保護に注意を払っていると考えられます。

そのためSNSで体験や私生活を共有したいと感じている一方で、「よく知っている人だけにプライベートを知ってもらいたい」と考える人もいるかもしれません。私生活について知られることに慎重な人が多いということを留意して接することが大切です。

3.平等性・合理性を求める傾向がある

続いてのポイントとして、平等性や合理性を求める傾向があることが挙げられます。Z世代では、コミュニケーションも含めて対等であることや、業務内容や評価基準が平等であり、かつ合理性のあるものを求めているとされます。

これらもSNSが身近にあり、さまざまな意見や口コミ、競合他社の情報が入ってきやすいことが理由だと考えられます。

4.理不尽なことを押し付けられない

最後のポイントとして、理不尽なことを押し付けられない環境が挙げられます。

Z世代はネットに溢れる多くの情報を元にフラットな目で正しさを判断する力に長けているため、「会社の命令には従うべき」という根拠のない言葉には納得できません。公平性を欠く社内評価や、形式にとらわれた理不尽なルールを嫌がる傾向にあるため、仕事を任せるときや指導をする際には明確な根拠を提示するようにしましょう。

企業がZ世代の採用活動に取り入れたい3つのこと

企業側は、Z世代の理想の働き方を整えた上で、採用活動においてそのことをアピールする必要があります。そこでこの章では、企業側がZ世代の採用活動に取り入れたい3つのことを解説していきます。

1. SNSやオンライン面接の活用

ひとつ目が、SNSやオンライン面接の活用です。

SNSが身近にあるZ世代は、就職活動の情報サイトと並行して情報収集をSNSで行う傾向があると考えられます。また、近年では、TikTokやInstagramといったSNSで会社の様子を届けたり、質問コーナーを設けたりと、学生と企業との距離が身近に感じられるようなアピールをする企業も増えています。SNSによる採用活動は、採用後のギャップを減らすことにもつながるでしょう。

さらに、オンライン説明会やオンライン面接を取り入れることでIT環境が整っていることを学生に提示できるメリットもあります。距離の遠い学生であっても気軽に参加しやすくなるため、優秀な人材と出会える可能性も上がるでしょう。

2.意見をすり合わせる姿勢を持つ

ふたつ目が、面接時や教育時の際などに応募者と意見をすり合わせる姿勢を持つことです。

各個人や企業で価値観や考え方に違いがあって当然です。そういったときに「若者だから」「Z世代だから」と蔑ろにするのではなく、何を考えているのかを聞き、すり合わせる姿勢を持つことが必要です。

コミュニティを重視する傾向にあるZ世代に職場に対する居心地の良さを感じてもらうためにも、意見を真っ向から否定するのではなく、分かり合えるところを見つけようとするコミュニケーションをとっていきましょう。

3.積極的な情報開示を心がける

最後に、積極的な情報開示を心がけることが挙げられます。

Z世代は社会問題に敏感で、情報の透明性を求める傾向があるため、企業には、たとえ不利益になりそうな情報であっても包み隠さず開示する誠実さが求められています。また、もし情報を隠したとしても、SNSや口コミサイトなどで広がることも考えられます。信頼を落とさないためにも、積極的な情報開示を心がけましょう。

Z世代が活躍できる職場環境の整え方

労働人口減少の問題もあるなか、企業は、Z世代に「ずっとここで働きたい」と思ってもらえる職場の在り方を考えなければなりません。そこでこの章では、Z世代が活躍できる職場環境の整え方をご紹介します。

1.オフィス出社とリモートワークを掛け合わせ、働き方の多様性を整える

まずは、働き方の多様性を整えることが挙げられます。これは業務委託や短時間勤務などの業務形態はもちろん、職場環境において、オフィス出社とリモートワークを掛け合わせることも含まれます。

KDDIの調査によると、Z世代の社会人は「できる限り毎日、オフィスへ出社する」ことを希望している人が39%、「できる限りテレワーク、出社は最低限」を希望している人が27%、これらのハイブリットを求める人が19%いることがわかりました。

オフィスへの出社を希望する人が多い一方で、リモートワークの希望者も一定数いるため、適度に組み合わせることでさまざまな従業員の要望を叶えられると考えられます。コミュニケーションにおいても、オンライン・オフラインを使い分けるといいでしょう。

また、同じZ世代でも、学生に関しては、社会人と比べて「出社とテレワークを適度に組み合わせたハイブリット」を求めている傾向にあることもわかりました。出社だけ、テレワークだけ、と偏ることなく、“選択”できることが重要といえるでしょう。

2.週休3日制やフレックスなど制度を整える

次に、多様な働き方をできるよう制度を整えることが挙げられます。具体的には、正社員だけでなく、契約社員、アルバイトやパートなどの雇用形態のほか、週休3日制、フレックス制などの制度の充実が挙げられます。

KDDIがZ世代に「就業先の企業にあるとうれしい制度」について聞いたところ、Z世代の社会人、Z世代の学生、ミレニアル世代の社会人のなかでもっとも求められているのは「週休3日制」、次いで「フレックス」だということがわかりました。

ほかにも、キャリアアップやスキルなどの育成プログラムの充実といった、働きながら自己成長を図ることができる制度も人気です。福利厚生はもちろんのこと、従業員のやりがいにつながるような職場づくりが求められていると考えられます。

Z世代教育の3つのポイント

続いて、Z世代教育の3つのポイントをご紹介します。

1.オンライン、オフラインを掛け合わせて教育を行う

ひとつ目が、オンライン、オフラインを掛け合わせて教育を行うことです。ソーシャルネイティブであるZ世代は、オンラインでのコミュニケーションに慣れています。オフラインだけでなく、オンラインの研修やコミュニケーションを用いることで、Z世代にあった育成方法を充実させるといいでしょう。

2.「管理職3大スキル」を身につける

ふたつ目が、「管理職3大スキル」を身につけることです。

Z世代の部下を教育するためには「観察力」、「傾聴力」、「説明力」の総称である「管理職3大スキル」が必要だと言われています。それぞれの意味を解説していきます。

管理職3大スキル①観察力

「観察力」は、相手の表情や声、態度など、細かい変化まで読み取って対話をする力を意味します。オンラインコミュニケーションに慣れているZ世代は、オフラインに不慣れな傾向があります。萎縮してしまわないように、観察しながら接することが大切です。

管理職3大スキル②傾聴力

「傾聴力」は、思い込みなどで判断せずいったん「聴く」力をあらわします。話すときには、話の途中で遮るのではなく、最後まで聴き終えてから意見などを伝えるようにしましょう。「この人にはわかってもらえる」と思ってもらえるように振る舞うことで、信頼関係を構築できます。

管理職3大スキル③説明力

「説明力」は、何かを説明するときに理由や意味などを含めて伝える力をいいます。何かを指示するときに理由や意味を説明しなければ、理不尽だと捉えられてしまうこともあるでしょう。根拠を提示することで相手も納得して業務に取り組むことができます。

3.自律的な姿勢を育てるためのコミュニケーションを意識する

自律的な姿勢を育てるためのコミュニケーションを意識することも大切です。リクルートマネジメントソリューションズの記事では、Z世代の教育について「自律的な姿勢を育てる」ことを推奨しています。

そのなかでも「受信型コミュニケーションを心がける」「相談しやすい上司であるよう意識する」の2点がポイントとなります。

受信型コミュニケーションを心がける

自律的な姿勢を育てるためには、まず、自分発信の発言ではなく相手の言葉を受け止める「受信型コミュニケーション」を心がけることが大切です。Z世代は保守的という傾向があるからこそ、少しでも自律的な面を引き出せるよう、働きかけましょう。

具体的には、まず話を聴いた上で、Z世代の部下の個々人の強みや価値観、ありたい姿を理解したり、努力を見守ったりすることが大切といえます。また、「傾聴」も意識しましょう。「管理職3大スキル」にも通じますが、否定せずに、まずは話を聴くことが必要です。

相談しやすい上司であるよう意識する

次に、相談しやすい上司であるよう意識することが挙げられます。

リクルートマネジメントソリューションズのアンケートによると、「上司や先輩について、どんな人だと、自分のダメなところや悩みなど何でも話しやすいですか?」という問いに対する回答の上位に「普段から自分の人間性や価値観を認めてくれていると感じる人」「仕事ができて的確なアドバイスがもらえそう」が並びました。

「相談しやすい」と感じてもらうよう振る舞うことでZ世代の部下との関係性を構築しやすくなり、教育にも役立つでしょう。

Z世代教育の企業事例|株式会社リクルート

最後に、Z世代教育の企業事例をご紹介します。

株式会社リクルートでは、株式会社チームボックス 代表取締役・中竹竜二さんと共同で取り組んだ『オトマナプロジェクト』(2018年)などをはじめ、Z世代の価値観の理解や教育の実践につとめています。

対談インタビューでは「リーダーは率先して悩みをさらけ出す」「若者こそ新しい学びを得られる相手」などの言葉が並び、Z世代の部下をただの「部下」と括るのではなく、個として捉え、尊重した上で対等なコミュニケーションをとっている様子が伺えます。

まとめ

この記事では、Z世代の特徴や仕事に対する価値観を解説しました。もちろん該当の世代でも、この傾向が当てはまらない人もいるでしょう。さまざまな世代、考え方の人が集う会社だからこそ、制度の整え方やコミュニケーションの取り方に戸惑うこともあるかもしれません。試行錯誤しながら取り組みを続けることが必要です。

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参考・出典

・青少年のインターネット利用環境実態調査|内閣府
・Z世代の仕事に関する意識調査|株式会社SHIBUYA109エンタテイメント
・Z世代の理想の働き方は「オフィス」「対面」「地元」「安定」!?|KDDI
・【研修トピック】「Z世代」の若者に必要な「新入社員研修」とは?|日本経営開発協会
・Z世代の新人・若手の育て方・生かし方|リクルートマネジメント・ソリューションズ
・リーダーは学び続けるために弱さをさらけ出そう|リクルートマネジメント・ソリューションズ
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記事執筆

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