"恵方巻"買取り強要から考える企業リスクとは

From: 働き方改革ラボ

2019年02月01日 07:00

この記事に書いてあること

近年、恵方巻の季節になると、ノルマ達成を目的とした従業員への買取りの強要が必ず話題に上がります。

買取りの強要は、恵方巻だけでなく、クリスマスケーキや年賀状といった季節商品で行われ、従業員が自腹購入をする行為を「自爆営業」、強要が行われるアルバイトは「ブラックバイト」とも呼ばれます。

今回は、企業が買取り強要をすることによるリスクと、買取り強要の現場に居合わせた場合の対応について考えます。

なぜ、企業は従業員に買取りを強要をするのか?

買取りを強要させる商品の、今年度、今期、あるいは今月の売上予算達成のためであると考えられます。
売上予算達成という観点でメリットがあると判断し、従業員への買取りの強要を行っている、ということですね。

企業が、買取りを強要することのリスクとは?

3つのリスクが考えられます。

1.労働基準法違反による、罰則と企業イメージの毀損

例えば、ノルマに対しての未達成分を強制的に給与から天引きすることは、賃金全額払いの原則を定めた労働基準法24条1項(「賃金は、通貨で、直接労働者に、その全額を支払わなければならない。」) に違反します。
この場合、30万円以下の罰金を科される可能性があります。

労働基準法違反は、罰則そのものだけでなく、違反の事実による企業イメージの毀損というリスクがあります。

2.SNSでの告発による企業イメージの毀損

労働基準法に問われなかった場合も、従業員によるSNSでの告発リスクがあります。これも1と同じく、企業イメージの毀損に繋がります。
もしも現在、従業員に買取りの強要を行なっているのであれば、SNSを通じて、いつ実企業名・実店舗名で告発されてもおかしくない状況であると認識すべきです。

3.売上予算未達成の根本原因の解決ができない

買取りの強要により売上予算を達成していることは即ち、本来は売上予算が未達成であったことを意味します。
その場合、現在の営業体制や、マーケティング方法、場合によっては生産数の見直しが必要です。
数字上の達成のみに目を向け、根本的な課題解決に取り組まないことも、企業のリスクとなります。

得られるメリットに比べ、リスクが余りにも大きい

例えば恵方巻といった"単体商品"の"今年度"の売上予算達成というメリットと比べ、企業イメージの毀損は余りにも大きいリスクであると考えます。

企業イメージの毀損は、広く悪い影響を及ぼしますが、例えばメリットであったはずの売上予算達成の阻害要因にもなり得ます。
株式会社ホットリンクが行なった調査によれば、「SNS炎上した企業の商品やサービスを利用しますか?」という質問に対し、「気にしない」と回答した人の割合は、わずか8%
SNS炎上で失った信用は回復しますか?」という質問に対し、「回復しない」「あまり回復するとは思えない」と回答した人の割合は34%、「回復するが時間がかかる」と回答した人の割合は61%と、一度失った信用を取り戻すことは難しいことであると言えます。

自分が、現場に居合わせたらどうする?

自分が買取りの強要を受けた場合も、自分の企業が買取りの強要を行なっている場合も、どう対応していいか分からない人も多いと思います。

証拠を集めて、労働基準監督署へ相談というステップをとりましょう。

証拠を残す

特に、会社側からの買取りの強要があった事実と、自分が買取拒否の意思表示をした、という証拠を残すことが重要です。
例えば、会社側からの強要を示す、文書や音声、メールやラインなどを保管しましょう。
また、既に購入済の場合は必ずレシートも保管しておきましょう。

労働基準監督署へ相談する

労働基準監督署への相談を行いましょう。

電話・訪問

具体的な事案があり、労働基準監督署に対応を求める場合は、訪問電話かとされています。
最寄りの労働基準監督署を訪問するか、平日夜間・土日に無料で相談できる「労働条件相談ホットライン」が利用できます。

メール

個別の相談や対応は求めないということであれば、メールフォームでの情報提供も可能です。
労働基準法などの違反が疑われる事業場についての情報を受け付けており、立入調査対象の選定などに活用されるとするとされています。
情報提供のポイントも参考にしてください。

ブラックバイトユニオン

公的機関ではありませんが、もしあなたが学生で雇用形態がアルバイトの場合は、ブラックバイトユニオンに相談という方法もあります。
こちらも電話メールフォームでの相談が可能です。


まとめ

企業が、従業員への実費買取りの強要を行うことのリスクと、買取りの強要に居合わせた場合の対応策を紹介しました。

従業員への買取りのリスクは非常に大きく、それが常態化していたとしても、上司からの指示だとしても、立ち止まって考えることが必要です。

記事執筆

働き方改革ラボ 編集部 (リコージャパン株式会社運営

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